警察本部
警察本部(けいさつほんぶ)は、都道府県警察の本部。 「都道府県警察」とは、警察法2条に定める事務を執り行うために、当該都道府県が設置した組織であり、その中枢が「警察本部」である。 警視庁は東京都の特別区の区域内に、道府県警察本部は道府県庁所在地に置かれる。
なお、皇宮警察本部については、皇宮警察本部の項目を参照のこと。
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[編集] 設置
日本の警察は、公安委員会制度(国家公安委員会と都道府県公安委員会)を定めることで民主的運営と政治的中立性を確保し、警察庁と都道府県警察が役割を分担することで全国一律・画一的な調整機能と自律的・地方分権的な警察運営の実現を図っている。そして、警察の執行事務を一元的に担うのは、都道府県公安委員会の管理の下に置かれる都道府県警察であり、都道府県警察の本部が警察本部である。
警察本部は、都警察においては警視庁と呼ばれ、道府県警察においては道府県警察本部と呼ばれる。
警察本部の長は、警視庁においては警視総監、道府県警察本部においては警察本部長である。警視総監及び道府県警察本部長は、それぞれ、都道府県公安委員会の管理に服し、警視庁及び道府県警察本部の事務を統括し、並びに都警察及び道府県警察の所属の警察職員を指揮監督する。警視総監は、首都に集中する各国大使館、首相官邸や国会、最高裁ほか、国の機関の警備事務などの監督も行うため、国家公安委員会が都公安委員会の同意を得た上に、内閣総理大臣の承認を得て任免する。警察本部長は、国家公安委員会が道府県公安委員会の同意を得て、任免する。
[編集] 位置
[編集] 警察本部と都道府県知事
都道府県警察は、都道府県公安委員会の「管理下」にあり、都道府県公安委員会は、都道府県知事の「所轄下」に置かれる。
また、警視庁及び道府県警察本部は、それぞれ、都道府県公安委員会の管理の下に、都警察及び道府県警察の事務をつかさどり、都道府県公安委員会を補佐する。さらに、警視総監及び道府県警察本部長(警察本部長)は、それぞれ、都道府県公安委員会の管理に服し、警視庁及び道府県警察本部の事務を統括し、並びに都警察及び道府県警察の所属の警察職員を指揮監督する。
このように、都道府県知事と都道府県警察の間に、都道府県公安委員会という合議制の行政委員会を挟むことで、強大な執行力を有する警察の民主的運営と政治的中立性を図っている。
[編集] 警察本部と警察庁
日本の警察は、内閣総理大臣の所轄の下に国家公安委員会が置かれ、その管理の下、特別の機関として警察庁が置かれる。国の組織である警察庁は、警察制度の企画立案のほか、国の公安に係る事案についての警察運営、警察活動の基盤である教養、通信、情報収集と分析、鑑識等に関する事務、警察行政に関する調整等を行う。警察庁の長である警察庁長官は、国家公安委員会の管理の下、「これらの警察庁の所掌事務について」都道府県警察を指揮監督している。
これに対して、都道府県警察は個別事件の捜査等の「執行事務」を一元的に担う。都道府県公安委員会の管理の下に置かれる都道府県の組織であり、国家公安委員会や警察庁の地方機関ではない(警察庁の地方機関としては、管区警察局などが置かれている)。もっともこの執行事務のうち、警察庁の所掌事務については長官の指揮監督を受け、警察本部の幹部人事・運営の面でも警察庁の強い影響下に置かれる。
[編集] 構成
都道府県警察には、警察官その他所要の警察職員が置かれる。このうち警視総監及び警察本部長をはじめとする警視正以上の階級にある幹部警察官は、国家公安委員会が任免権を有する一般職の国家公務員(地方警務官)であり、都道府県知事にはその任免権と懲罰権がない。それ以外の都道府県警察の職員は、地方警察職員と呼ばれる都道府県の公務員(地方公務員)である。
都道府県警察には、本部組織が置かれるほか、警察学校、警察署、交番などが置かれる。本部組織は、政令(警察法施行令)に定める基準に従い、各都道府県の条例により定められる。必置部署として、警務部、生活安全部、刑事部、交通部、警備部の5部が置かれる(警察法施行令4条、別表第一)。人口、犯罪発生状況その他の事情により必要があるときは、この5部のほか、警務部の所掌事務のうちいくつかを分掌する総務部、地域警察その他の警らに関することを所掌する地域部、公安警察に関することを所掌する公安部、組織犯罪の取締りに関することを所掌する組織犯罪対策部が置かれる。2012年1月現在、公安部(警視庁公安部)は、警視庁のみに置かれ、組織犯罪対策部は警視庁と福岡県警(名称は暴力団対策部)に置かれている(なお、兵庫県警察など大都市圏の警察本部には、刑事部の下に部と課の中間の組織として「組織犯罪対策局」などの名称で組織犯罪対策部署が置かれている)。
都道府県警察の組織は、都警察の組織、道警察の組織、府警察及び指定県(政令指定都市を包括する県)の県警察の組織、指定県以外の県警察の組織の4つの類型に大別できる(前の3つがいわゆる大規模警察本部)。都警察の組織は、本部を警視庁と呼ぶこと、長を警視総監とすることのほか、副総監、公安部・組織犯罪対策部が置かれることなどを特徴とする。道警察は、区域を5つの方面に分け、各方面に方面公安委員会及び方面本部を置くこと、各方面本部には基本的な5部を置くことなどを特徴とする。府警察及び指定県の県警察の組織は、政令指定都市の区域内における警察本部の事務を分掌させるため、市警察部を置くことなどを特徴とする[1]。指定県以外の県警察の組織は、県公安委員会の委員が3名であること(都道府及び指定県の公安委員会では5名)、基本的な5部の体制を採ることなどが特徴である[2]。
[編集] 規模比較
都道府県警察の規模の上位は、警察官(地方警察職員たる警察官)の定員でみると、次のとおりである。左表は2007年度(平成19年度)における警察官の定員(警察法施行令による)、右表は2006年(平成18年)10月1日現在における各都道府県の推計人口[3]。
- 各都道府県の警察官の定員
- 各都道府県の人口(参考)
- 東京都 1265万9千人
- 神奈川県 883万人
- 大阪府 881万5千人
- 愛知県 730万8千人
- 埼玉県 707万1千人
- 千葉県 607万4千人
- 北海道 560万1千人
- 兵庫県 559万人
- 福岡県 505万4千人
- 静岡県 379万7千人
- 茨城県 297万2千人
- 広島県 287万5千人
- 京都府 264万3千人
このように、警察官の人数からみた都道府県警察の規模は、都道府県人口の規模には一致しない。これは、各都道府県警察の管内における犯罪発生率・面積・重要施設の所在および各都道府県の警察予算等が考慮されているためである。
[編集] 警察本部の一覧
各都道府県警察本部の詳細については、各都道府県警察の項目を参照のこと。
管区警察局の管轄外 | 東北管区警察局の管轄区域 | 関東管区警察局の管轄区域 | 中部管区警察局の管轄区域 |
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富山県警察 | 石川県警察 福井県警察 | 岐阜県警察 愛知県警察 | 三重県警察 |
近畿管区警察局の管轄区域 | 中国管区警察局の管轄区域 | 四国管区警察局の管轄区域 | 九州管区警察局の管轄区域 |
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鳥取県警察 | 島根県警察 | 岡山県警察 広島県警察 | 山口県警察 |
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[編集] 脚注
[編集] 関連
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