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【望 〜都の空から】

小江戸(1)川越 蔵造り 町に活気

蔵造りの町並みや喜多院…。江戸情緒と往時の風格を今に伝える町並みが秋の陽光に映える=埼玉県川越市で、本社ヘリ「おおづる」から(木口慎子撮影)

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 川越と徳川幕府との関係は深い。1590年、江戸に入府した徳川家康は、太田道真・道灌父子が築いた川越城を北の守りとして重視し、忠臣・酒井重忠を初代川越藩主とした。以来21人の藩主には幕府の重臣が多い。とくに「知恵伊豆」と呼ばれた老中・松平信綱は、新河岸川舟運や川越街道整備、町割りを手がけ、川越が近代まで埼玉の商工業の中心となる基礎を築いた。

 古刹(こさつ)・喜多院には、三代将軍家光が移築させた江戸城・紅葉山の客殿、書院のほか、仙波東照宮などの国指定重要文化財が並ぶ。

 昭和まで年間200万人だった観光客を627万人(昨年度)まで押し上げ「小江戸・川越」の名を知らしめたのは、旧市街地・一番街の蔵造りの町並み整備だ。かつて蔵造りは「時代に合わない」と看板で隠され、商店街はさびれる一方だった。危機感を持った若手経営者や市職員有志、建築家らが1983年、「川越蔵の会」を発足させ、行政や経済界を巻き込んで今の姿をよみがえらせた。

 蔵の会の4代目会長原知之さん(54)は「観光客相手の店だけでなく、古くからの専門店が残っているのが一番街の魅力」と語る。江戸の天下祭の姿を伝える「川越まつり」を受け継いできた川越商人の心意気が、今も息づく。 (中里宏)

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