東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

就職支援?「上から目線」 厚労省ポスターに現場から批判続出

厚労省が地域若者サポートステーションの広報に使っているポスター

写真

 無職の若者の就職を支援する厚生労働省の「地域若者サポートステーション」(サポステ)の広報用ポスターに現場関係者から批判が出ている。「キミはまだ本気出してないだけ。」との応援メッセージが、職に就けない責任を個人に押しつける印象を与えているからだ。

 サポステは、厚労省が二〇〇六年四月に始めた事業で、全国百六十カ所に窓口がある。委託を受けたNPO法人などがニート(十五〜三十四歳の無職で求職しておらず、通学や家事をしていない人)やひきこもりの若者らに就労相談や面接訓練、職場体験などを通して社会参加を促している。

 メッセージは、四十歳の無職男性が漫画家を目指す様子を描いた人気漫画「俺はまだ本気出してないだけ」とタイアップ。一五年度は約四千八百万円を投じてポスターやパンフレットを作り、今年三月まで使う予定。厚労省によると、昨年十二月の使用開始後、サポステのスタッフらから「上から目線だ」「無職の若者すべてが本気を出していないように誤解される」との指摘が数件寄せられた。

 ニートやひきこもりには病気・けがを抱えていたり、家庭環境や障害などで人間関係をうまくつくれない人もいる。厚労省の担当者は「『本気』には『本当の気持ち』という意味や、どんな思いでも打ち明けてほしいという願いを込めた」と説明する。

 若者の就職支援に取り組むNPO法人「育て上げネット」理事長で政府の一億総活躍国民会議メンバーの工藤啓さんは「本気かどうか他人が断定できるのか。サポステを利用しようと思った人が嫌な気持ちを抱き、足が遠のかないか心配している」と話した。 (我那覇圭)

 

この記事を印刷する

PR情報