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【経済Q&A】

原油価格、なぜ下落? 産油国、減産協調できず

 原油価格が下落している。12日のニューヨーク原油先物市場では取引の中心となる米国産標準油種(WTI)の2月渡しが一時、1バレル=30ドルを割り込んだ。値下がりが続けば家計や企業に恩恵がある一方、長期的には日本経済への悪影響も懸念される。

 Q 原油価格の動向は。

 A 二〇〇〇年代に入ってほぼ右肩上がりに上昇し、〇八年七月には一バレル=一四七・二七ドルを記録した。中国やインドなどの新興国の経済が発展し、石油を大量に必要とするようになったためだ。リーマン・ショックによる一時的な落ち込み後も値上がり傾向は続いていた。

 Q なぜ値下がりに転じたのか。

 A 供給が増えすぎたためだ。米国が技術革新で泥岩から採れる新型原油「シェールオイル」の大量生産を始めたことが影響している。米国は現在では最大の産油国となり、今後は輸出も進める意向だ。昨年、核問題で欧米と最終合意したイランも経済制裁が解除されれば輸出を拡大する見込み。中国などの新興国の経済が減速し、需要の伸びが鈍ると見込まれることも値下がりにつながっている。

 Q 中東などの産油国の対応は。

 A 協調して生産量を減らすことで値崩れを防いできたが、原油価格の下落とともに競争が激しくなっている。昨年十二月の石油輸出国機構(OPEC)の定時総会では、減産を求める加盟国と生産量を維持してシェアを確保したいサウジアラビアなどが対立し、足並みがそろわなかった。有力な加盟国であるサウジはイランと国交を断絶すると表明しており、産油国全体で結束して対応することは難しいとみられている。

 Q 日本への影響は。

 A ガソリン代や電気代が安くなる。ただ長い目で見れば、産油国の財政が悪化して中東などの政情が不安定になる懸念もある。不安を抱えた投資家が、手持ち資金を安全な資産に移す動きが本格化すれば、株価の下落によって景気が冷や水を浴びせられる可能性がある。

 

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