警視庁
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警視庁(けいしちょう、Metropolitan Police Department, MPD)は、東京都を管轄する警察本部。東京都内に101警察署を配置し、2008年1月1日現在、所属警察官数は42,984人。
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[編集] 概要
東京都公安委員会の管理の下、「都警察の本部として警視庁を置く」(警察法47条1項抜粋)こととされる。 警視総監がその事務を統括するが、給与支払権者は、東京都知事である。他の府県警察が管区警察局を間に挟むのと異なり、広大な面積を有する北海道警察と同じく、警察庁の直接監督下にある。
名称を他の道府県警察本部と同式の「東京都警察本部」もしくは「東京都警」にしないのは、日本の首都である東京都内を管轄している他に、皇族警衛、立法府、行政機関、駐日大使館、他の警備、内閣総理大臣、他の要人警護にも当たっているからである。パリ、ロンドンの首都警察呼称の日本語訳にも「警視庁」が用いられる。
本庁の所在地は千代田区霞が関二丁目1番1号。本部の所在地付近の旧称「外桜田門」から、通称あるいは隠語として「桜田門」または「本庁」と呼ばれることもある。
[編集] 沿革
- 1874年1月15日:東京警視廳として創設
- 1877年:警視隊より抜刀隊を編成、西南戦争田原坂の戦いに参加。
- 1931年:警視庁本部庁舎竣工
- 1947年1月1日:皇宮警察部設置
- 1948年3月:皇宮警察部を国家地方警察本部に移管
- 1948年5月25日:警視庁予備隊を発足
- 1954年7月1日:警察法の制定により自治体警察と統合し現在の体制になる
- 1957年4月1日:予備隊を機動隊に改称
- 1980年:現警視庁本部庁舎竣工
- 2007年:パトカーのデザインを52年振りに「POLICE」のロゴ入りのものに変更すると発表、東京マラソン2007で使用され、その後、地域課や交通機動隊等のパトカーを順次新デザインに変更している
[編集] 予算
警視庁の運営費用は、他の道府県警察と同様に、警察法第37条や警察法施行令第2条、第3条の規定にあるものは国庫が支弁ないし補助し、それ以外のものについては東京都が支弁する。
[編集] 人事
警視庁における警視正以上の警察官(地方警務官)の任免は警察法の規定により国家公安委員会が東京都公安委員会の同意を得て行う(警察庁が補佐する)。警視総監の任免については、国家公安委員会が東京都公安委員会の同意を得るとともに、内閣総理大臣の承認が必要である。
警視以下の警察官については、警視総監が東京都公安委員会の意見を聞いて任免する。警部以上の者の人事は警務部人事第一課で、警部補以下の者は人事第二課が担当している。
[編集] 規模
警視庁は世界有数の大都市である東京を管轄する警察であり、所属警察官・職員の人数や予算額は、日本の警察組織の中で群を抜いている。日本最大の規模である。
[編集] 所属警察官
- 警察官 42,984人(2008年1月1日現在)
- 事務及び技術職員 2,841人(同上)
[編集] 出向者
警視庁は東京都の警察機関であるが、重要なセクションの管理職の多くが、国家公務員採用I種試験に合格し、警察庁に警察官として採用されたいわゆるキャリア、推薦組といわれる準キャリアによって占められる。このキャリアは、警察庁からの出向者であり、その出向者の絶対数は警視庁が日本で一番多いといわれる。
[編集] 組織
警視庁本部には、警視総監,副総監の監督の下、9の部及び犯罪抑止対策本部が置かれている。
- 総務部
詳細は総務部 (警察)を参照
- 警務部
詳細は警務部を参照
- 交通部
詳細は交通部を参照
- 警備部
詳細は警視庁警備部を参照
- 地域部
詳細は地域部を参照
- 公安部
詳細は警視庁公安部を参照
- 刑事部
詳細は刑事部を参照
- 生活安全部
詳細は生活安全部を参照
- 組織犯罪対策部
詳細は組織犯罪対策部を参照
- 犯罪抑止対策本部
- 警視庁警察学校
- 東京都府中市に設置。1879年に東京市麹町区(当時)に開学し、その後新橋、九段、中野と移転した後、2001年8月6日に府中市へ移転し現在に至る。警視庁警察官の初任研修を行う機関。上級幹部教育を行う警察大学校が隣接。中級幹部教育を行う関東管区警察学校は東京都小平市に設置されているが、警察庁関東管区警察局の管轄である。
[編集] 方面本部
- 第1方面本部 - 担当区:千代田区・中央区・港区・島嶼部及び東京湾岸警察署管内
- 第2方面本部 - 担当区:品川区・大田区(いずれも東京湾岸警察署管内を除く)
- 第3方面本部 - 担当区:世田谷区・目黒区・渋谷区
- 第4方面本部 - 担当区:新宿区・中野区・杉並区
- 第5方面本部 - 担当区:文京区・豊島区
- 第6方面本部 - 担当区:台東区・荒川区・足立区
- 第7方面本部 - 担当区:江東区(東京湾岸警察署管内を除く)・墨田区・葛飾区・江戸川区
- 第8方面本部 - 担当区:立川市・武蔵野市・三鷹市・府中市・昭島市・調布市・小金井市・小平市・東村山市・国分寺市・国立市・西東京市・狛江市・東大和市・清瀬市・東久留米市・武蔵村山市
- 第9方面本部 - 担当区:八王子市・青梅市・町田市・日野市・福生市・多摩市・稲城市・羽村市・あきる野市・西多摩郡
- 第10方面本部 - 担当区:北区・板橋区・練馬区
[編集] 警察署
101の警察署を有す(【 】内の市区町村は警察署所在地)
[編集] 第1方面
[編集] 第2方面
[編集] 第3方面
[編集] 第4方面
[編集] 第5方面
[編集] 第6方面
[編集] 第7方面
[編集] 第8方面
[編集] 第9方面
[編集] 第10方面
[編集] 今後新設予定の署
- 南大沢警察署(2009年4月新設予定)
[編集] 体制
(2008年1月1日現在)
- 警察官 42,984人
- 職員 2,841人
- 警察署 101署
- 交番 831ヶ所
- 駐在所 253ヶ所
- パトカー 1,401台
- 白バイ 951台
- ヘリコプター 14機
- 水上警備艇 25隻
- 警察犬 57頭
- 馬 15頭
[編集] 特科装備
- 機動隊・広域街宣車輌 55台
- 機動隊・爆発物処理班特科車輌
- 機動隊・10t積載型大型トレーラー 37台
- 交通機動隊・道路交通取締支援車輌 50台
- 公安情報収集工作指揮車 台数非公開
- 公安監視カメラ配備車輌 台数非公開
[編集] マスコットキャラクター
- ピーポくん
- 暴力団追放キャラクター
[編集] 主なイベント・運動
- 警視庁主催水曜コンサート - 演奏は警視庁音楽隊が務める。
- 交通安全パレード
- 芸能人による一日署長・110番の日の一日通信指令本部長
- 交通安全運動
- 全国交通安全運動
- 歳末特別警戒運動
- 薬物取締強化運動
- 暴力団追放運動
- 交通安全教室 - 管内の小学校に警察官を派遣し、交通安全指導を行う。
- 常時防犯運動
- 年頭部隊出動訓練 - 神宮外苑で行われる。日時は発表しないが、一般公開されているので見学できる。
- 機動隊観閲式 - 同上。
- 警視庁主催納涼大会 - 警察と市民の交流活動。警察署で開催される。
- 携帯電話使用ドライバー摘発取締最強化警戒運動
- 警視庁主催・柔道大会 - 警察官限定の内部イベント。柔道の腕を各署対抗という形で競う。
- 警視庁主催・射撃訓練 - 警察官限定の内部イベント。
- 一日署長もちつき大会 - 一日署長イベントが冬季に行われる場合のみ実施される。見学のみできる。
- 警視庁主催・歌謡大会 - 警視庁幹部主導で行われる。アイドル歌手を招いての親睦イベント。
- 警視庁騎馬隊パレード - 交通パレードと併合して開催する。
- 警視庁見学ツアー
- 警視庁白バイ安全運転競技大会
- 警視庁慰霊祭 - 殉職者を偲んで慰霊するために実施する。全国的に実施されており、国家公安委員長・警察庁長官・警視総監も出席する。
[編集] 備考
23区及び狛江市などの市外局番03エリアで110番通報した場合は、桜田門の本部庁舎に繋がる。多摩地域の市外局番03エリア以外で110番通報した場合、立川の多摩庁舎に繋がる(但し、044エリアは神奈川県警に、048エリアは埼玉県警に繋がる)。
南方諸島で110番通報した場合、それぞれの所轄警察署に繋がる。ただし、携帯電話から110番すると受信した基地局の回線が収容されているNTT局舎や携帯電話事業者のネットワークセンターに依存するため、県境などでは適切な警察に繋がらない事がある。例えば、多摩川の東京側から110番しても川崎側の基地局で受信し神奈川県警へ繋がったり、神奈川県の座間市は東京都町田市のNTT局舎で接続されているため神奈川県警ではなく警視庁に繋がる。他県でも同様の事が発生する。
[編集] ギャラリー
警視庁(右)と警察庁がある中央合同庁舎第2号館(左奥) |
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[編集] 関連項目
- 警察庁
- 警察署
- 刑事 (警察官)
- 弥生慰霊堂
- 警視流
- 山岳救助レンジャー部隊
- 警視庁皇宮警察部(1947年-1948年)
- 田宮榮一
- 黒木昭雄
- 東京消防庁
- 首都警察
- 国家地方警察東京都本部
- ヨハネスブルグ(新人職員研修先)
[編集] 外部リンク
※警視庁の組織については
を参考にしている。
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