難病の子供の支援と偽って街頭募金をしたとして、大阪府警捜査2課は9日、NPO法人「W・S・A」(大阪市住吉区)代表、中村穣次容疑者(32)ら5人を詐欺容疑で逮捕した。捜査関係者が明らかにした。昨年から南海・難波やJR天王寺などの駅前で募金を続けており、府警は少なくとも数百万円を集めたとみて、被害実態の解明を急いでいる。

　逮捕容疑は大阪府泉佐野市内で先月、先天性の難病「骨形成不全症」を患う少女への支援と偽り、数人から計1000円の寄付金を詐取したとしている。府警は中村容疑者らが当初から寄付金を詐取する目的だったとみている。

　街頭募金を巡る詐欺事件の場合、不特定多数の募金者を特定して被害実態の詳細をつかむことは困難だ。しかし、府警が05年に全国で初めて摘発した事件の最高裁決定(10年)は「募金の方法や期間、総額を示せば罪の内容は特定可能」との判断を示し、虚偽の募金活動全体を一つの罪と解釈できるとの初判断を示した。これを受け、府警は今回のケースについても立件は可能と判断。「1000円」の詐取容疑で逮捕に踏み切り、今後、被害総額の解明を進める。

　大阪市に提出された法人登記簿などによると、W・S・Aは今年8月設立。難病についての普及・啓発活動や難病患者に対する相談・支援を主な事業としている。しかし、届けられた大阪市住吉区の事務所は実態がないという。

[毎日新聞]