2009年8月9日長崎の式典(撮影 乗松聡子) |
平和のための漫画を描き続けている西岡由香さんは、長崎平和宣言起草委員会の一員。西岡さんより、5月11日に開かれた、2013年第一回目の起草委員会の様子の報告がとどきました。下記ご覧ください。日本の現状についてのたくさんの賢明な意見が出ています。
関連報道: 長崎新聞「平和宣言文の起草委初会合」
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2013/05/12092724010345.shtml
報道にもあるように田上市長は出席者12人のうち8人から出た憲法改変への反対を、「一つの候補として検討していくことになる」と、「一つ」扱いしている。これは事実上の「国防軍」容認発言であろう。長崎の平和宣言文は、核兵器はいけないとしながらも戦争は容認というスタンスを世界に示すのであろうか。福島で高汚染地の子どもたちが放置されている状態に目をつぶりながら訴える「反核」とは一体何なのか。そして、世界一の核兵器大国との軍事同盟を容認しながら核兵器に反対するという矛盾にどう向き合うつもりなのか。これらは長崎に限らず、日本の「反核兵器」コミュニティ全体が対峙しなければいけない問題ではないだろうか。@PeacePhilosophy
【起草委員会報告】
今年第一回目の起草委員会、15人の委員のうち3人が欠席で、12名参加でしたが、ほとんどの方が口にされたのは、先日の「NPT再検討会議準備委員会」で「核兵器の非人道的影響に関する共同声明」に日本政府が署名を拒否したことへの批判でした。田上市長は「理解できない」。他にも「正気に返ってほしい」、「被爆者、被ばく者を踏みにじる出来事が続いている」という声も。
憲法改正への危機感を語られたのは8人。「96条を改正し、敷居を低くしているが狙いは9条。また、改正案前文からは過去の戦争へのスタンスがすっぽり抜け落ちている。簡単に歴史を
忘れて良いのか?」「最近のニューヨーク・タイムズは3度にわたって“ナショナリスト安倍”と批判記事を載せている。内容は「戦争讃美」「慰安婦問題」への反省がなく、中韓激怒は当然、アメリカも快く思っていない、という内容」「憲法改正は長崎市の平和憲章とも反する」「9条が変われば非核3原則もなくなるおそれがある」など。
特に、被爆者の谷口すみてるさんは、マイクを握って開口一番「日本は、昔は5年おきに戦争をやってきた。それに歯止めをかけたのが9条。いま、憲法を変えるべきではない」「原爆の内部被爆は発表されなかった。福島も、内部被ばくは発表されない。どういうことなのか?原爆投下から68年、今まで以上に大きな声で訴えなければ」と、時おり咳こまれながら話されました。去年まで、短い発言だったのですが、今年は長い時間マイクを握られて、その一語一語からもどかしい思いがほとばしるようでした。
原発の再稼働反対、などについての発言ももちろんあったのですが、戦前のようなキナくさい空気への警鐘が多かった気がします。「在留外国人への批判は、かつては表だって言えなかったが、いまは偏狭なナショナリズムがあふれている。まわりを皆、敵のように見る風潮に対して、それはやめるべきだ、と言うことも必要なのでは」「未来の人たちに対して我々はどんな責任を取れば良いのか?」「日本政府に文句を言っているが、そういう政府を選んでいるのも私たち自身、内から変えていくことも大事」「北朝鮮を糾弾するだけでは解決にならない」などなど。
一昨年は原発事故、去年は核兵器の非人道性、今年は憲法やナショナリズム、原発事故から2年しかたっていないのに、社会の動きが目まぐるしくて、洗った洗濯物が乾かないうちに、次の洗濯物に埋もれそうな感じです。3.11以降、この国では時間の速さが変わってしまったかのようです。
西岡由香
No comments:
Post a Comment