3年に一度の豪奢な祭典『第17回世界バレエフェスティバル』が開催 「全幕特別プロ」では『ラ・バヤデール』を上演

ニュース
クラシック
舞台
2024.3.26
『第16回世界バレエフェスティバル』カーテンコールより     photo:Kiyonori Hasegawa

『第16回世界バレエフェスティバル』カーテンコールより     photo:Kiyonori Hasegawa

画像を全て表示(14件)


2024年7月~8月、東京文化会館にて、今日のバレエシーンをけん引するトップダンサーたちが3年に一度、東京に集う『世界バレエフェスティバル』が開催されることが決定した。

『世界バレエフェスティバル』は伝統と実績において名実ともに世界最高のガラ・パフォーマンスとして国際的に名を馳せているが、その歴史は1976年にまでさかのぼる。

英国のマーゴ・フォンテイン、ロシアのマイヤ・プリセツカヤ、キューバのアリシア・アロンソ。世界が東西で対立し、移動手段や情報伝達においても今日ほどの自由が与えられていない世の中で、当時の三大プリマが同じ舞台に立つ。その事実は世界に衝撃を与えたとともに、芸術こそが文化や政治の違い、そして国境を越え人と人とをつなぐ架け橋になれるのだということを証明した。その後、この舞台に時代の寵児たちが次々と続く。ジョルジュ・ドン、パトリック・デュポン、シルヴィ・ギエム、アレッサンドラ・フェリ、マニュエル・ルグリ、ウラジーミル・マラーホフ。“バレエフェス”に招かれることはダンサーにおいてもステータスとなり、最高峰のスターたちが誇りと意地をかけて至芸を競う『世界バレエフェスティバル』は、開催のたびに大いなる熱狂と興奮を生んできた。近年では仲間同士が集まった催しは珍しくないが、それらとは全く異なるのものであり、「ガラ」という言葉はこの“バレエフェス”から広まった。

『第16回世界バレエフェスティバル』カーテンコールより     photo:Kiyonori Hasegawa

『第16回世界バレエフェスティバル』カーテンコールより     photo:Kiyonori Hasegawa

各国トップ・カンパニーを代表し選ばれた出演者たちは、さまざまな芸術的背景をもつ。彼らが披露するバラエティに富んだ作品やスタイルは、そのまま国際的なバレエの縮図として見える、つまり『世界バレエフェスティバル』を観れば、バレエ界の“いま”を体感できる。

22年『ロイヤル・バレエ・ガラ』より『白鳥の湖」』ウィリアム・ブレイスウェル     photo:Kiyonori Hasegawa

22年『ロイヤル・バレエ・ガラ』より『白鳥の湖」』ウィリアム・ブレイスウェル     photo:Kiyonori Hasegawa

21年世界バレエフェスティバルBプロより『海賊』 オニール八菜 マチアス・エイマン      photo:Kiyonori Hasegawa

21年世界バレエフェスティバルBプロより『海賊』 オニール八菜 マチアス・エイマン      photo:Kiyonori Hasegawa

『ラ・バヤデール』オリガ・ルミルノワ     photo by Damir Yusupov

『ラ・バヤデール』オリガ・ルミルノワ     photo by Damir Yusupov

『ダイヤモンド』サラ・ラム

『ダイヤモンド』サラ・ラム

『マイヤリング』フリーデマン・フォーゲル      (C)Roman Novitzky

『マイヤリング』フリーデマン・フォーゲル      (C)Roman Novitzky

『第17回世界バレエフェスティバル』で上演される予定の演目は『海賊』、『ドン・キホーテ』、『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』、『ジュエルズ』より“ダイヤモンド”、『グラン・パ・クラシック』、『オネーギン」、『ロミオとジュリエット』、『シナトラ組曲』、『ジゼル』 ほか。A・Bプロいずれかで上演される。

そして、『世界バレエフェスティバル』で恒例となっている「全幕特別プロ」も行われる。「全幕特別プロ」は世界選りすぐりのスターの妙技を、本来の全幕バレエで存分に味わっていただこうという催しだ。今回上演されるのは、ドラマティックな物語と古典バレエの至芸が壮大なスケールで繰り広げられる『ラ・バヤデール』(マカロワ版)。

東京バレエ団『ラ・バヤデール』第2幕“影の王国”より     Photo:Koujiro_Yoshikawa

東京バレエ団『ラ・バヤデール』第2幕“影の王国”より     Photo:Koujiro_Yoshikawa

東京バレエ団『ラ・バヤデール』      Photo:Koujiro_Yoshikawa

東京バレエ団『ラ・バヤデール』      Photo:Koujiro_Yoshikawa

主演は、この演目でいま考え得る最強の二組ともいえるペア。まずは、絶対的なテクニックとオーラで女王の如く君臨する英国ロイヤル・バレエ団のマリアネラ・ヌニェスと、同バレエ団の美しき貴公子リース・クラーク。そしてボリショイ・バレエからオランダ国立バレエに電撃移籍した、たおやかなオリガ・スミルノワと、圧倒的な超絶技巧を武器にマリインスキー・バレエ初のアジア人プリンシパルとして活躍するキム・キミンという刺激的なペア。共演は東京バレエ団。

マリアネラ・ヌニェス

マリアネラ・ヌニェス

リース・クラーク

リース・クラーク

オリガ・スミルノワ     Photo:Maria-Helena Buckley

オリガ・スミルノワ     Photo:Maria-Helena Buckley

キム・キミン    photo:Yuji Namba

キム・キミン    photo:Yuji Namba

異国情緒豊かな古代インドを舞台に、主人公ニキヤと恋人の戦士ソロルが愛憎渦巻く宮殿の陰謀に巻き込まれる悲恋を描く『ラ・バヤデール』は、名場面“影の王国”における群舞が、往年の名プリマであり本作の振付家であるナタリア・マカロワを感嘆させ、その完成度の高さが海外公演でも絶賛を浴びた十八番の演目だ。また華やかな婚約式の場面やブロンズ像の踊りはもとより、終幕のソロルと王女ガムザッティ、魂となったニキヤのドラマティックなパ・ド・トロワから寺院の崩壊というカタストロフになだれこむラストシーンは、見る人を興奮と感動の渦に巻き込む。

なお、先頃紫綬褒章を受章したゲスト・プリンシパルの上野水香が、このたび初めてガムザッティ役を踊ることも話題だ。

上野水香

上野水香

今この瞬間に、最も輝きを放っている旬のスターのみが一堂に会する『世界バレエフェスティバル』。クオリティとボルテージの高さにおいて他の追随を許さない、まさに唯一無二の祭典となる。

極限まで鍛え抜かれた肉体と精神が、高い表現力をともなうことで感動をもたらすバレエの真骨頂を、劇場で堪能しよう。

公演情報

『第17回世界バレエフェスティバル』
 
【Aプロ】2024年
7月31日(水)18:00
8月1日(木)18:00
8月2日(金)14:00
8月3日(土)14:00
8月4日(日)14:00
 
【Bプロ】
8月7日(水)18:00
8月8日(木)18:00
8月9日(金)14:00
8月10日(土)14:00
 
会場:東京文化会館(上野)

指揮:ワレリー・オブジャニコフ ほか
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
 
予定される上演演目:
『海賊』、『ドン・キホーテ』、『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』、『ジュエルズ』より“ダイヤモンド”、『グラン・パ・クラシック』、『オネーギン」、『ロミオとジュリエット』、『シナトラ組曲』、『ジゼル』ほか

※上記の演目はA・Bプロいずれかで上演されます。プログラム内容の詳細の発表は6月の予定。
 
【ガラ】
8月12日(月祝)14:00
会場:東京文化会館(上野)
※演目・料金・発売方法などの詳細は6月ごろに発表予定です。

入場料(税込)
S:¥29,000 A:¥27,000 B:¥23,000 C:¥19,000 D:¥16,000 E:¥10,000
 
【一般発売】4/12(金)10:00 より
 

公演情報

『第17回世界バレエフェスティバル』
【全幕特別プロ『ラ・バヤデール』】
 
日程:2024年7月27日(土)15:00
ニキヤ:マリアネラ・ヌニェス
ソロル:リース・クラーク
ガムザッティ:上野水香
ハイ・ブラーミン(大僧正):安村圭太
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):岡崎隼也
ブロンズ像:宮川新大
 
日程:2024年7月28日(日)15:00
ニキヤ:オリガ・スミルノワ
ソロル:キム・キミン
ガムザッティ:伝田陽美
ハイ・ブラーミン(大僧正):柄本弾
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):井福俊太郎
ブロンズ像:池本祥真
 
会場:東京文化会館(上野)
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
上演時間:約2時間50分(休憩2回含む)
 
入場料(税込)
S:¥20,000 A:¥18,000 B:¥15,000 C:¥12,000 D:¥10,000 E:¥8,000
 
【一般発売】5/20(月)10:00 より 
 
シェア / 保存先を選択