科学・テクノロジー
-
世界で拡大する森林火災 大気を汚染、日本で死者2万人増の予測も
2024/6/24 06:00 1823文字湿潤な日本では人ごとに感じられるかもしれないが、世界各地で大規模な森林火災が相次ぎ、この20年間で焼失面積は倍増した。日本にも国境を越えて大気汚染物質が届いており、火災の規模が大きくなれば、国内で年間2万人以上も死者が増えるとの予測もある。 夏の北極域は、煙でかすむ。「ずっと曇りガラス越しに見てい
-
アポロ計画に学ぶ食中毒予防 静岡市とJAXAがコラボ動画
2024/6/22 10:30 445文字本格的な食中毒のシーズンを迎え、静岡市は安全な宇宙食を追求しているJAXA(宇宙航空研究開発機構)とのコラボで衛生意識向上を呼び掛ける動画を作成し、21日から配信を始めた。 同市は昨年度から「たべしず動画」として食の安全・安心に関わる情報をユーチューブで配信してきた。これまでに約70本配信しており
-
JAXA、2023年以降複数回のサイバー攻撃 中国系ハッカーか
2024/6/21 17:09 431文字宇宙航空研究開発機構(JAXA)が昨年から今年にかけて複数回のサイバー攻撃を受けていたことが21日、分かった。関係者によると、中国系ハッカーによる攻撃とみられる。大量のファイルが閲覧され、その中には秘密保持契約を結ぶ外部の企業や機関の情報も含まれていた可能性がある。 JAXAは「詳細は調査中。(不
-
重粒子線がん治療 効果の高い新たな技術「マルチイオン」とは
2024/6/19 07:00 1868文字炭素イオンを腫瘍に照射する、がんの「重粒子線治療」。公的な保険診療の適用が広がってきたが、一部のがんでは再発例があるなど課題も残る。そこで、複数の種類の粒子を組み合わせた「マルチイオン」による、世界初の臨床研究が日本で動き出した。 がんの3大治療法は、手術と放射線、投薬だ。重粒子線は、このうち、放
-
100年続く「職人技」の調査 小さな印で分かる鳥の驚きの生態
2024/6/15 11:00 2949文字鳥類は見た目だけで一羽一羽を区別するのが難しい。判別できるよう「足環(あしわ)」と呼ばれる印を付け、個々の鳥の移動の様子などを調べるのが「鳥類標識調査」だ。日本ではちょうど100年前に始まったこの調査。鳥の知られざる姿が小さな足環を通じて見えてくる。 ◇アシ原が最もにぎわう季節に実施 人間の背丈ほ
-
-
星空と宇宙
超新星ハンター 世界2位の板垣公一さん
2024/6/14 07:00 2351文字ある日突然、太陽の何億倍もの明るさで星が輝き出す「超新星」。大きな質量を持った星が、寿命の最後に大爆発するなどの現象のことです。超新星を国内で最も多い179個発見し、世界的な「超新星ハンター」として知られる山形市在住の板垣公一さん(76)を訪ね、超新星発見の魅力を伺いました。 山形市の中心部から蔵
-
コモンエイジ・公共のかたち
いじめ認定に3年 小さな町が「重大事態」を放置したまさかの理由
2024/6/13 06:00スクープ 1798文字愛媛県久万高原町内の町立小学校で、いじめ防止対策推進法の「重大事態」に当たるいじめ事案が起きたにもかかわらず、町教委の予算不足で第三者委員会の設置が遅れ、重大事態の認定まで発生から3年かかっていたことが毎日新聞の取材で判明した。児童の父親(48)は「対応の遅れで転居を余儀なくされた。全国の小さな自
-
不妊治療で注目集める「子宮内フローラ」 バラ色だけではない現実
2024/6/11 16:00 1528文字子宮内は無菌状態だという常識が覆されたばかりか、善玉菌が妊娠する可能性とも関係するとの研究が近年進んでいる。不妊で悩む人には希望となりうる話だが、治療法はいまだ確立されていない。顕微鏡で花畑のように見えることから子宮内フローラと呼ばれる細菌の集まり。期待と限界を探った。 腸内や口腔(こうくう)内な
-
健康な人の腸内細菌を保管・治療に活用 「バンク」の運用始まる
2024/6/11 07:30 943文字難病の潰瘍性大腸炎の治療に取り組む順天堂大の医師らが設立したバイオベンチャー企業が今年4月、「腸内細菌バンク」の運用を始めた。患者の治療法の開発に役立てるため、健康な人から腸内細菌の提供を受けて保管する、国内では初の取り組みだという。 人の腸には約1000種類、40兆個もの細菌がすみついており、病
-
世界大学ランキングを不適切操作? 日本人研究者が明かした裏契約
2024/6/11 06:00スクープ 2835文字大学の国際競争力を示す「世界大学ランキング」。その順位を、サウジアラビアの大学が不適切に操作している疑いが浮上した。海外の著名な研究者に金銭を払って所属先を変えさせ、自国の研究人材としてカウントしているというのだ。著名研究者のリストには日本人の名も。その一人が、隠された契約条件の存在などの内幕を取
-
-
屋久島の植物、なぜ小型化? 東北大などが奇妙な法則を解明
2024/6/8 16:33 916文字鹿児島県の屋久島には植物学者の間で「奇妙な現象」とされる法則がある。約80種類もの植物が一斉に小型化しているのだ。島外では普通の大きさの植物がなぜ小さくなるのか――。謎に包まれた法則を東北大などの研究チームが解き明かし、ある動物に由来する可能性を明らかにした。 同大などによると、島内では茎や葉の長
-
三菱重工のプロマネ 「H3」まさかの失敗から1年で成功の舞台裏
2024/6/6 06:30 2255文字日本の宇宙開発の根幹を担う新型ロケット「H3」。その船出は、新たに開発した主エンジンの不具合による度重なる延期や、まさかの初号機打ち上げ失敗、わずか1年での原因究明と2号機打ち上げ成功など劇的な展開が連続した。「Return To Flight(飛行再開フライト)」までの舞台裏を、三菱重工業前プロ
-
暮らしの中の科学
河川が増水すると魚や生き物はどこに行く? 正しかった定説
2024/6/2 05:30 833文字川面を悠々と泳ぐ魚やカメなど河川の生き物たちを見ながら、ふと疑問がわいた。大雨で川が氾濫した時、生き物たちはどこへ向かうのか。ヒントは太公望の定説にあった。 「釣り人の間では、大雨などで河川が増水すると、魚は本流から流れの弱い支流に逃げ込むと語り継がれてきました」。こう話すのは、北海道大の小泉逸郎
-
梅雨なのにいない? あの「陸の貝」はどこへ
2024/5/31 11:30 1645文字気付けば今年も憂鬱な季節がやってきた。そんな梅雨の風物詩はアジサイだけではない。あの生き物を忘れてはならない。一見するとグロテスクではあるが、ノロノロと進む姿が愛らしい。俳句でも夏の季語として親しまれてきたが、最近あまり見かけないような気がする。背景を探ってみた。 「見かけないと実感しています。身
-
iPS網膜移植 元理研・高橋政代氏、特許巡る裁定請求で和解
2024/5/30 20:48 944文字iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の網膜の細胞を世界で初めて患者に移植した、元理化学研究所プロジェクトリーダーの高橋政代氏(62)が、網膜細胞の製造方法の特許を持つバイオベンチャー企業「ヘリオス」(東京都)などに対し、特許技術を使わせるよう経済産業相に裁定を求めた問題で、条件つきで高橋氏側の特許使
-
-
細胞を培養して作る「母乳」 実用化に向けてベンチャー続々
2024/5/28 06:00 2080文字牛などの筋肉の細胞を増やして作る「培養肉」の流通が米国で始まった。同様に、細胞を培養し、人工的に母乳を作る「培養ミルク」の研究開発が今、日本を含む世界で動き出している。乳房にある、ミルク成分を産生する細胞を用いる取り組みだ。 ◇培養した乳腺組織から微量のミルク 大阪大とTOPPANホールディングス
-
米アラスカ州の氷河から高濃度メタン 最大40倍、高い温室効果も
2024/5/26 07:30 560文字米アラスカ州の氷河を起源とする河川から、通常の最大40倍となる高濃度メタンが検出されたと、国立極地研究所や海洋研究開発機構などのチームが発表した。周辺の大気中のメタン濃度も3倍高かった。メタンは二酸化炭素より二十数倍も強い温室効果を持つ。地球温暖化対策を考える上で、どのような仕組みで氷河中に蓄積さ
-
雌ゴキブリの「性フェロモン」の役割解明 駆除剤の開発に期待
2024/5/24 19:47 576文字ゴキブリの雌が発する性フェロモンが雄の行動を制御する仕組みを解明したと、福岡大などのチームが発表した。雌は雄を巧みに近づけて周りにとどめ、効果的に交尾をしていると考えられ、チームはゴキブリ駆除剤の開発に生かせるとしている。 ゴキブリの性フェロモンには、主成分と副成分があり、いずれも強い誘引性を持つ
-
“黄色のアオガエル”公開 専門家「相当頑張って生きたのでは」
2024/5/24 10:00 478文字和歌山県立自然博物館(海南市船尾)で、“黄色のアオガエル”が展示されている。田辺市の畑で発見されたシュレーゲルアオガエルの成体(体長約5センチ)で、一般的には緑色のため、鮮やかな黄色は珍しいという。 博物館によると、シュレーゲルアオガエルは日本固有種で、県内の里山でも多く見られるという。黄色の個体
-
血液検査で認知症判別 国内初の大規模実証に成功 東大など
2024/5/23 11:57 450文字アルツハイマー病の原因とされるタンパク質を無症状の人らの血液中から測定し、脳内での蓄積状況を判別することに成功したと、東京大の岩坪威教授(神経病理学)らのチームが23日、国際専門誌に発表した。従来より効率的に早期段階の認知症診断につながると期待される。日本人を対象にした大規模な実証は初めてという。
-