真相・ニュースの現場から

ミネラルウオーターの町から消えた川　相次ぐ水枯れの原因は？

　ミネラルウオーターが生産されるほど良質な水に恵まれる北海道のある地域で、一本の川の水が枯れた。川から水を引いていた畜産農家は十分な水を確保できず、飼育する牛を減らさざるを得なくなるなど影響が出ているが、同様の異変は近隣自治体でも報告されている。何が起きているのか。　8月20日、記者は北海道南部の黒

上智大生殺害28年　今も背中押すあの笑顔　大学先輩「忘れない」

　岐路に立つと、彼女の笑顔を思い出す。会うことはできなくても、優しい瞳が今も背中を押してくれる。　出会いは、冨樫信一郎さん（51）が上智大の英語学科2年生だった1993年10月。翌年の新入生の面倒を見る「ヘルパー」に選ばれた。　◇半月形の優しい瞳　20人ほどの在学生が教室に集められた最初のミーティン

三菱重工爆破事件から50年　2容疑者が逃亡中、父失った息子は…

　50年前、中学生最後の夏休みが終わろうとしている暑い日だった。自宅のテレビは、東京・丸の内の三菱重工業本社ビル前で爆弾が爆発し、多数の死傷者が出ているのを伝えていた。父の勤務先で大変なことが起きたと感じたが、まさか巻き込まれているとは思わなかった。　＜関連記事＞　連続企業爆破事件の受刑者からの手紙

「死ぬときはありのままで」　御巣鷹にたたずむ在日朝鮮人家族の銘標

　1985年8月12日に起き、単独機では史上最悪の520人が犠牲になった日本航空123便の事故。墜落した「御巣鷹（おすたか）の尾根」（群馬県上野村）には、犠牲者が発見されたそれぞれの場所近くに木などを立てて名前を記した「銘標」がある。　「本名で立ててくれたんや」。事故から3年ほどして初めて現場の山に

元組員のマナブが430万円で買った家、「俺ん家」と名付ける意味

　2月、東京・渋谷の居酒屋で「セカンドチャンス！」の集まりがあり、全国から来た30人近くが近況を語り合った。　その中に、初めて参加する20歳の男性がいた。　「先月まで少年院にいました。そのとき、マナブさんの話を聞いて今日、来させてもらいました」　まだどこかあどけなさの残る彼の門出を、みんなが大きな拍

「おれ、牧師になる」　塀の中で出会った一冊の本、人生を変える

　一冊の本が、読んだ者の人生を変えることがある。　マナブ（49）はあの日、「絶望が希望に変わった」と言う。　マナブこと遊佐学さんは18歳で覚醒剤に溺れ、暴力団にいたこともあります。今、49歳にして新たな道を歩み始めました。その姿を通して「やり直し」ができる社会を全5回の連載（連日5時30分公開）で描

街を歩けば警察官に呼び止められ…　一生、消せないヤクザの過去

　ヤクザだったとき、肩で風を切っていた。　東京・新宿の歌舞伎町。　2023年の冬、この街を歩いていたマナブ（49）は、少し先にある新宿区立大久保公園の方に目を向けた。　マナブこと遊佐学さんは18歳で覚醒剤に溺れ、暴力団にいたこともあります。今、49歳にして新たな道を歩み始めました。その姿を通して「や

「人間やめますか？」CMに感じた恐怖、それでも溺れた覚醒剤の沼

　1980年代、盛んに流れたテレビCMがある。　「覚醒剤やめますか？　それとも人間やめますか？」　10代からたばこも酒もシンナーもやっていたマナブ（49）だが、「シャブ（覚醒剤）はまずい」と手を出さなかった。そのCMが頭にこびりついていた。　マナブこと遊佐学さんは18歳で覚醒剤に溺れ、暴力団にいたこ

「昔、ヤクザでシャブ中で」49歳のマナブ、どん底からのリスタート

　築40年のその家は、しばらく誰も住んでいなかった。　5DKの部屋はふすまで仕切られ、押し入れの上には天袋がある。目立たない一戸建てだ。　430万円で売りに出されていた栃木市の空き家を7月、不動産屋から鍵を借り受けた一人の男性が訪れた。　「いいじゃない」　昭和の香りがする室内だが、張り替えられた新し

端緒は「内部告発」も　SNS投資詐欺の拠点に多数の「打ち子」

　大阪府警が二つのグループを摘発したSNS型投資詐欺事件で、複数の不審情報や「内部告発」が捜査を始める端緒だったことが明らかになった。グループの拠点になっていたビルの内部は異様な光景が広がっていた。　「高級ブランドの服を着た大勢の若者が出入りし、日中はカーテンで閉め切られているビルの一室がある」　こ

「えみ」から届いた魔法の誘い　SNSに仕掛けられた投資のワナ

　投資の講師は「えみ」と名乗っていた。SNS（ネット交流サービス）にあふれる高級ブランドバッグやおしゃれな料理の写真。その誰もがうらやむような優雅な暮らしぶりの投稿は、「ワナ」の入り口だった。　関連記事　端緒は「内部告発」も　SNS投資詐欺の拠点に多数の「打ち子」　「先月に来た20代の生徒30人弱の

「かっこいい姿を見せよう」　立ち直らせてくれたあの人への誓い

　立ち直れたのはあの人のおかげだった。過ちを繰り返した自分を否定することなく、ずっと向き合ってくれた。なのに、突然やってきた永遠の別れ。何もお返しができないままだった。気持ちは沈むが、心に決めた。「あの人にかっこいい姿を見せよう」　5月27日、谷山真心人（まこと）さん（27）はニュースを見て衝撃を受

「かわいい」と褒められて　アプリの男性の甘い誘い、失った900万円

　振り込んだ額はあっという間に900万円に膨れ上がった。親族や消費者金融から借金を重ね、マッチングアプリで知り合った男性の甘い誘いに応じていた。1円も戻ってこないと思い知ると、インターネット上で見つけた弁護士に行き着いた。「泣き寝入りは駄目です」。その言葉を疑うことはなかった。　男性は「清水大輔」と

追跡　公安捜査

捜査の表彰状はシュレッダーに…かすむ大義、そして残された正義

　ある中小企業が突然、不正輸出のぬれぎぬを着せられました。　捜査した公安警察の手法に疑念が持たれています。　その内幕を明らかにしようと、記者は追跡を続けました。　約1年にわたる取材録をつづります。　連載「追跡　公安捜査」は全10回です。　このほかのラインアップは次の通りです。　第1回　「公安は同じこ

追跡　公安捜査

未解決の長官狙撃事件の深層、調査報道で見えた公安捜査の「限界」

　ある中小企業が突然、不正輸出のぬれぎぬを着せられました。　捜査した公安警察の手法に疑念が持たれています。　その内幕を明らかにしようと、記者は追跡を続けました。　約1年にわたる取材録をつづります。　連載「追跡　公安捜査」は全10回です。　このほかのラインアップは次の通りです。　第1回　「公安は同じこ

追跡　公安捜査

「ちゃんと調べてください」警部補4人、管理官に異例の直訴も不発に

　ある中小企業が突然、不正輸出のぬれぎぬを着せられました。　捜査した公安警察の手法に疑念が持たれています。　その内幕を明らかにしようと、記者は追跡を続けました。　約1年にわたる取材録をつづります。　連載「追跡　公安捜査」は全10回です。　このほかのラインアップは次の通りです。　第1回　「公安は同じこ

「限界です」携帯メモにつづった孤独　白杖の妻を手にかけた男性

　白杖（はくじょう）をついて徘徊（はいかい）する妻（当時85歳）の姿を、そっと後ろから見守ってきた。見知らぬ人に話しかけ、避けられる姿を目の当たりにした。それが、耐えられないほどつらかった。　「限界です」「刃物は傷つけてかわいそうなので首を絞めようと思います」。男性（80）は、胸中を自らの携帯電話の

「誰にも言うなよ」　17歳少年が6年間受け続けた性暴力

　青い軽乗用車が怖い。6年間性暴力を振るい続けた「いさお」の愛車を思い出すからだ。「また家に来ているんじゃないか」。自宅近くの角を曲がる時は今でも、胸の鼓動が速くなり、体がこわばる。トラウマを抱えながらも、「被害を話したい」と取材に応じた17歳の少年には、当事者として伝えたい思いがあった。　札幌市の

追跡　公安捜査

他社のスクープに「やられた…」　つかめなかった真実、調査報道の壁

　ある中小企業が突然、不正輸出のぬれぎぬを着せられました。　捜査した公安警察の手法に疑念が持たれています。　その内幕を明らかにしようと、記者は追跡を続けました。　約1年にわたる取材録をつづります。　連載「追跡　公安捜査」は全10回です。　このほかのラインアップは次の通りです。　第1回　「公安は同じこ

追跡　公安捜査

公安の聴取あったのか　私の直撃に答えた社長、4日後の態度急変

　ある中小企業が突然、不正輸出のぬれぎぬを着せられました。　捜査した公安警察の手法に疑念が持たれています。　その内幕を明らかにしようと、記者は追跡を続けました。　約1年にわたる取材録をつづります。　連載「追跡　公安捜査」は全10回です。　このほかのラインアップは次の通りです。　第1回　「公安は同じこ