夕刊文化
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書の世界
石井明子書作展 美しい紙、引き立てる挑戦
2024/6/27 13:09 855文字石井明子書作展(30日まで、東京・銀座の鳩居堂画廊3階)は、のびやかな線と流し染めの紙の響き合いがみどころだろう。 石井明子さんは1945年、岡山県矢掛町生まれ。内田鶴雲、永井幸子に師事。毎日書道展審査会員。書道芸術院参事。 流し染め作家、藤川眞佐夫さんの紙に、かな書をどう書くのか? 創作意欲が高
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建築 石上純也 ハウス&レストラン まるで洞窟、驚異の実験=評・五十嵐太郎
2024/6/27 13:09 930文字石上純也が設計した山口県宇部市のハウス&レストラン(2022年)が、24年の日本建築学会賞(作品)を受賞した。これは国内では最高峰の建築デザインの賞であるが、実は彼による神奈川工科大学KAIT工房(08年)が09年に受賞したことに続くもので、2回目となる。ちなみに、通常、公共施設やある程度規模が大
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名著を探訪
戦後79年 『硫黄島の星条旗』/4 カメラが刻んだその時
2024/6/27 13:09 1373文字米軍は1945年2月19日、硫黄島(東京都小笠原村)に上陸した。前日までの砲爆撃で、日本軍守備隊に大損害を与えていることを前提としており、5日で島を占領できると考えていた。だが日本軍は総延長18キロの地下陣地を拠点とし、米軍の攻撃をしのいでいた。さらに上陸した米兵たちが狭い海岸に密集するのを見計ら
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書展クリップ
第19回 書・中野北溟教室展
2024/6/27 13:09 183文字30日まで 札幌市民ギャラリー2階 中野北溟さん「ゆらゆらり」▽加藤幸道さん「春の雪は」▽石原北陽さん「臨・金文」▽梶浦翠さん「幽情」▽佐藤昭子さん「雪のふるまちを」▽吉田三枝子さん「愚」▽大上凌胡さん「薫る道」▽山元昭子さん「地に伏せば」▽柏聡さん「お前たちは遠慮なく」▽大川宣子さん「鷹わたり」
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寄稿
「セクシー田中さん」を巡る問題 原作と制作、双方「納得」必要=伊藤弘了(映画研究者=批評家)
2024/6/26 13:10 3687文字連続ドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ制作)の原作者で漫画家の芦原妃名子(ひなこ)さんが急死した問題は、日テレと原作出版元の小学館がそれぞれ内部調査報告書を公表した。原作と映像化作品の相違を巡ってはこれまでも議論があった。本質はどこにあるのか。映画研究者の伊藤弘了さんが寄稿した。 小説やマンガ
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文芸時評
6月 手段と目的 合理性の半歩外にある日常=大澤聡
2024/6/26 13:10 1952文字経営学やマネジメント思想の正統性をちゃぶ台がえしにする書籍の邦訳が相ついだ。デニス・トゥーリッシュ『経営学の危機』や、マシュー・スチュワート『マネジメント神話』などがそれだ。科学性をうたう理論がじつのところ非科学的な手続きで組み立てられている、しかも経営学の始祖と目される人物からしてそうだった、日
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文芸時評
6月 私のおすすめ 大塚真祐子(文筆家・元書店員)
2024/6/26 13:10 717文字(1)ハン・ガン著、斎藤真理子訳『別れを告げない』(白水社)(2)アニー・エルノー著、堀茂樹訳『若い男/もうひとりの娘』(早川書房)(3)百瀬文『なめらかな人』(講談社) ◇読み手と史実結ぶ精緻な描写 現在では韓国の代表的な観光地とされる済州島で、かつて数万人の島民が虐殺され、その事実を長く封印され
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文芸時評
6月 私のおすすめ 渡辺祐真(書評家)
2024/6/26 13:10 727文字(1)金田光世『歌集 遠浅の空』(青磁社)(2)佐原ひかり『鳥と港』(小学館)(3)古川日出男『京都という劇場で、パンデミックというオペラを観る』(河出書房新社) ◇からりとした滋味深い美 (1)静物画や骨董(こっとう)品の味わいが少しずつ分かってきた。果物の絵や壺(つぼ)を見て何が楽しいんだろうと
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Topics
「汚い」とは何か 自身の暗部と歪みの表れ エッセー集『汚穢のリズム』から考える
2024/6/24 13:04 1493文字掃除洗濯、皿洗いに入浴。毎日の暮らしは、何かを「きれい」にする行為の繰り返しだ。裏を返せば、「汚い」ものは生きている限り生み出される。「汚い」とは何か。それらを遠ざける私たちの忌避感からどのような社会が見えるのか。今年1月に刊行されたエッセー集『汚穢(おわい)のリズム』(左右社)の編著者の一人、京
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Topics
気鋭の新人輩出、太宰治賞 さまざまな「仮面」で生きる 市街地ギャオさん「メメントラブドール」で
2024/6/24 13:04 1448文字気鋭の新人に贈られる第40回太宰治賞(筑摩書房、東京都三鷹市共催)に大阪府在住の会社員、市街地ギャオさん(31)の中編小説「メメントラブドール」が選ばれた。同作はギャオさんのデビュー作。「夢の中にいる気持ち。歴史ある立派な賞に自分が選ばれていいのかな、という感じ」と語った。 太宰治賞は1965年か
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大津・三井寺に「句業の結晶」 柿本多映さんの句碑建立
2024/6/24 13:04 669文字大津市在住の俳人、柿本多映さん(96)の句碑が同市の古刹(こさつ)・園城寺(おんじょうじ)(通称・三井寺(みいでら))に建立され、6月9日に除幕式があった。父・守明さんが最高位の第161代長吏(ちょうり)をつとめていた園城寺の山内で生まれ育った柿本さんは、「子どものころに遊んでいた思い出深い地にこ
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「無言館」共同館主に内田也哉子さん就任
2024/6/24 13:04 454文字日中戦争や太平洋戦争で戦死した画学生の遺作を展示する長野県上田市の美術館「無言館」は、文筆家の内田也哉子さんが共同館主に就任したと発表した。 東京都千代田区の立命館東京キャンパスで記者会見を開いた内田さんは「戦争を知らない者として、また今なお戦争が絶えない世界に暮らす者として、稀有(けう)な美術館
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クリップ
文学賞 第16回角川春樹小説賞
2024/6/24 13:03 71文字■第16回角川春樹小説賞(角川春樹事務所主催) 桜田光さんの「真令和復元図」に決まった。桜田さんは佐賀県嬉野市在住。受賞作は今秋、刊行予定。
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クリップ
文学賞 第46回小説推理新人賞
2024/6/24 13:03 88文字■第46回小説推理新人賞(双葉社主催) 朝水想(あさみ・そう)さんの「神様、どうか私が殺されますように」に決まった。朝水さんは千葉県出身、東京都在住。受賞作の刊行時期は未定。
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書の世界
愛媛独立書展 覇気充満、2人の記念碑
2024/6/20 13:42 1013文字愛媛独立書展(23日まで、愛媛県美術館南館)は、愛媛県独立書人団の最高顧問2人の個展コーナーを設けて第35回記念展を祝っている。 三浦白鷗さんは1944年、松山市生まれ。沢田大曉に師事。毎日書道会参事、独立書人団審査会員。6月15日、79歳で逝去。 76年、87年、93年、2004年、16年に続く
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Topics
愛知・財賀寺が「出開帳」 千手観音像、各地へ巡行 26日まで奈良のカフェに
2024/6/20 13:42 1339文字企業のロビーや一般家庭、飲食店。そんな場所を転々と移動している観音様がいる。財賀寺(ざいかじ)(愛知県豊川市)の千手観音像(江戸時代初期)だ。秘仏である本尊のお前立ち像で、寺の開創1300年行事をPRするため6年前から各地で「出開帳(でがいちょう)」を続けている。5月下旬からは奈良市内のカフェに安
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アジア文学への招待
紀蔚然さんハードボイルド 台湾社会を映し出す独白
2024/6/20 13:41 1422文字濃密なモノローグに導かれるようにストーリーが展開する台湾発のハードボイルド。元大学教授で劇作家の私立探偵・呉誠(ウーチェン)が活躍する「台北プライベートアイ」シリーズの第2作『DV8』(舩山むつみさん訳、文芸春秋)が刊行された。著者の紀蔚然(きうつぜん)さん(70)は「第1作は執着のある極端な人を
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詩の遊歩道
新しいかたちを刻む線=蜂飼耳
2024/6/19 13:16 1631文字俺たちの地図が重なりあうときに一本の線が新しいかたちを刻む咲き匂う薔薇の土地で精霊たちのほそい喉から静かに滲み出すことば 写真評論家であり、きのこをめぐる文学の仕事でも知られる飯沢耕太郎は、詩の書き手としても活動の場を広げる。『完璧な小さな恋人』(ふげん社)が刊行されたのは2022年だが、それ以降の
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ニッポンへの発言
キーワード ハックする自民党=中森明夫
2024/6/19 13:16 1493文字なんだか政治の底が抜けてしまったようだ。自民党の裏金問題と、つばさの党の選挙妨害である。片や堂々たる政権党であり、こなたお騒がせの泡沫(ほうまつ)政党だ。けれど両者に共通するものがある。それは一般常識をはるかに懸け離れた感覚であり、「脱法的」な呆(あき)れるその手法であった。 脱法ではあるが、違反
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時の展望台
魯迅ゆかりの老舗「内山書店」 「隣人」知るための選択肢を
2024/6/19 13:15 2045文字本の街、東京・神保町に店を構える内山書店は、中国や台湾、香港の関連図書をメインに扱う専門書店だ。1917年に中国・上海で創業。当時は谷崎潤一郎(1886~1965年)や魯迅(1881~1936年)ら、日中の文化人が集うサロン的な役割を果たしたことで知られる。終戦に伴い、上海の店舗は閉じられたが、3
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