連載
くらしの明日
社会保障のあるべき姿を専門家が論じます。
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私の社会保障論 生活者の目線大切に=ワーク・ライフ・コンサルタントスーパーバイザー 渥美由喜
2024/3/7 02:01 918文字このコラムも最終回なので、生活者目線の社会保障で大切なことをまとめたい。 介護は、「現在=点」ではなく、「過去・未来に続く線」で捉えると気が楽になる。幼い頃、可愛がってくれた父への感謝、年老いた未来の自分がお世話になる誰かへの感謝の先取り。介護は介互。 次に看護。今も小児病棟でがんと闘っている子ど
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私の社会保障論 先駆者としての挑戦=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2024/2/8 02:00 934文字65歳以上の何割が収入を伴う仕事をしているか、高齢者11万人に聞いてみた。その答えは3割弱。65~69歳に限定すると、もはや男性では6割、女性も5割弱が働いているという。趣味やスポーツの会などへの参加割合が、就労を上回るのは、前期高齢者(65~74歳)ではなく、女性では75~79歳、なんと男性では
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私の社会保障論 「やかましい」で改革を=関西広域連合有識者委員・渥美由喜
2024/1/11 02:04 915文字最近、知人がA県庁に情報公開請求したデータを分析した結果、職員の長時間労働と昇進・昇格の間には高い相関関係があった。実は、A県庁は数年前の、「職員が長時間労働でうつ病になり自死する」という痛ましい事件を機に、働き方改革に取り組んできた。 2018~21年の総務省調査によると、A県庁の時間外労働は都
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私の社会保障論 見えてきた「五方良し」=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2023/12/14 02:01 934文字うまくいくと「五方良し」となる新しい官民連携を政府が社会保障分野で進めていると、1年前の本コラムで紹介した。従来の仕様書・プロセスに対する支払いに対し、新しい成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)では、成果の大きさに応じて支払う。介護・疾病予防の成果が上がれば、認知症
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私の社会保障論 命を引き継ぐ介護=関西広域連合有識者委員・渥美由喜
2023/11/16 02:00 916文字ヤングケアラーとは、「本来大人が担う家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」(厚生労働省)という。 十数年前、認知症・統合失調症を患う父の元に毎日通っていた私は、保育園児だった息子による「孫介護」に救われた。下の世話を受けることで意気消沈した父は、幻聴や幻覚があり、しばしば激高した。父に恩
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私の社会保障論 学際的な「人間の科学」=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2023/10/19 02:01 950文字社会保障は、貧困の原因となる疾病、障害、失業、高齢(長生き)などによる出費や収入減少などをカバーする医療(健康)・介護・雇用・年金保険や所得保障などによって貧困を防ぐための仕組みである。それに関わる学際的な研究分野をなんと呼んだらいいのだろう。 私の場合、医療現場で「貧困など社会経済的なストレスに
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私の社会保障論 育休、夫婦日数差が問題=関西広域連合有識者委員・渥美由喜
2023/9/21 02:00 941文字厚生労働省の「雇用均等基本調査」(2022年度)によると、男性の育児休業取得率は前年の14%から22年には17%と上昇した。政府は、6月に策定した「こども未来戦略方針」で、これを25年に50%、30年に85%と大幅に引き上げる目標を立てた。 しかし、「取得率」よりも「取得日数格差」こそ、大きな問題
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私の社会保障論 道の駅で健康づくり?=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2023/8/24 02:02 942文字「自然に健康になれる環境づくり」による「ゼロ次予防」の効果検証を重ねている。新たに「健康支援型『道の駅』」の効果を7年かけて検証した。道の駅の拡張移転前後で、近隣に住む高齢者に、多面的な行動の変化と健康の改善がみられたことを日本公衆衛生雑誌に報告した。 舞台は千葉県睦沢町の「道の駅むつざわ」で、2
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私の社会保障論 「介護離職ゼロ」実現へ=関西広域連合有識者委員・渥美由喜
2023/7/27 02:00 905文字2000年代後半に、毎年約5万人だった介護離職者数は、その後、10年で倍増した。そこで、15年に当時の安倍晋三内閣は「介護離職ゼロ」を目標に掲げた。しかし、今もなお年に約7万~10万人とほぼ横ばいだ。 他方、介護休業は対象家族1人につき通算93日取得できる。また、介護休暇は、対象家族が1人の場合は
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私の社会保障論 健康なまち「共創元年」=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2023/6/29 02:00 926文字「健康なまちづくり」を目指した産官学民による「共創」の動きが増えたのは気のせいだろうか。「自然に健康になれる環境づくり」を「行政だけでなく、大学等の研究機関、企業、(中略)住民組織等の関係者が連携」して行うとした第3次国民健康づくり運動「健康日本21(第3次)」を厚生労働省が5月31日に告示した。
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私の社会保障論 児童への性加害問題=関西広域連合有識者委員・渥美由喜
2023/6/1 02:01 900文字20代前半から約20年間、近所の公園で「子ども会」を続けた(10年前に中断)。毎週2~3回、各2時間程度、近所の子どもとドッジボールや刑泥(刑事役が泥棒役を捕まえる遊び)で遊んだ。クリスチャンの私は毎回、聖書の話を紙芝居で熱演した。 当初、冬のボーナスで購入した「青いクマの着ぐるみ」が人気で、毎回
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私の社会保障論 健康長寿の10年=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2023/5/4 02:00 899文字「ヘルシーエージング(健康長寿)の10年」という言葉を聞いたことがあるだろうか。日本ではほとんど報じられていないが、国連と世界保健機関(WHO)は、2021年から30年までの10年間をそう位置づける決議を採択した。特にアクションを起こすべき四つのエリアなどを掲げ、取り組みを進めている。途上国を含め
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私の社会保障論 「イクメンは出世する」=関西広域連合有識者委員・渥美由喜
2023/4/6 02:00 919文字2006年に内閣府の委託を受け、私が担当した「スウェーデン企業のワーク・ライフ・バランス調査」で、男性役員は一般社員よりも育休取得率が高かった。つまり、男性の育休取得率が低かった頃に取得した社員が、その後、出世して役員になっていた。 数十社にヒアリングしたところ、出世した要因には共通点があった。第
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私の社会保障論 自然に健康になるには=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2023/3/16 02:00 926文字運動やダイエット、減塩はつらい。だから長続きしない人も多い。暮らしているだけで「自然に健康」なら楽ちんだ。しかし、そんなうまい話が本当にあるのだろうか? 例えば住宅。寒いと血管は収縮するから血圧は上がる。逆に、断熱改修をして暖かい住宅にすると血圧は下がる。そんな知見が蓄積され、世界保健機関(WHO
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私の社会保障論 ハラスメントを類型化=関西広域連合有識者委員・渥美由喜
2023/2/16 02:00 929文字私は企業コンサルティングをしているため、職場のネガティブな情報を知る機会が多い。 深刻なパワハラ(権力や立場を乱用した嫌がらせ)事案では、加害者・被害者ともに評価が高い「エース社員」が多い。加害エースが罰せられる姿を見た管理職層は、「物言えば唇寒し」と部下や後輩に対して弱腰になりやすい。部下層は「
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私の社会保障論 ごちゃ混ぜの効用=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2023/1/26 02:00 948文字多様性(ダイバーシティー)という言葉を聞く機会が増えた。「ごちゃ混ぜ」と呼ぶ人もいる。性別、年齢、障がいの有無、人種、性的指向から、キャリアや立場まで幅広い。「誰一人取り残さない」社会をめざす国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」や地域共生社会などもある。企業でも、多様な商品の少量生産にシフトし
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少数者が活躍する環境=関西広域連合有識者委員・渥美由喜
2022/12/29 02:00 922文字「女性活躍」という言葉を見るたび、「いつ次の段階に進むのか」とじれったくなる。 10年前、コンサルティングした「発達障がい者の就労支援」に取り組むNPOの事例を紹介する。発達障がい者は、ネガティブ要素の裏に才能が隠れているケースが多い。ある女性は、極度の潔癖症でコミュニケーションが苦手なため、十数
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私の社会保障論 「五方良し」は可能か=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2022/12/8 02:01 931文字多くの人が一度は聞いたことがある「三方良し」。「売り手良し」に加えて「買い手良し」、さらには「世間良し」の三つがそろってこそ、持続可能になるという。では社会保障の持続可能性を高めると期待されるPFS(成果連動型民間委託契約方式、Pay For Success)を聞いたことがあるだろうか。 PFSで
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私の社会保障論 中立的な指標とは=関西広域連合有識者委員・渥美由喜
2022/11/10 02:01 923文字「男女の賃金格差是正」という政府方針の下、従業員301人以上の企業は、男女別、かつ正規・非正規別の賃金差の開示が義務付けられた。女性活躍の状況を評価する指標の一つになる。 「男性と比べ女性の平均賃金の水準が低い状況」は問題で、マクロ指標(各産業の賃金総額)は是正すべきだ。しかし、各企業で賃金格差の
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私の社会保障論 「エビデンス」生む調査=千葉大予防医学センター教授・近藤克則
2022/10/20 02:00 930文字一人の力は小さくても、力を合わせれば、時に1+1が3とか4の大きな力を発揮する。それと同じように、調査への回答など数字を集めただけの「データ」から、生活や政策に役立つ「エビデンス」(科学的根拠)を生み出せる。 私たちが取り組む日本老年学的評価研究(JAGES)では、64市町村の高齢者25万人以上の
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