本・書評
-
波音BGMにゆったり 海辺のセルフ古書店 「廃れた場所、イメージ変わって」 潟上 /秋田
2024/9/29 05:14 693文字秋田県潟上市の海辺に、海水浴客、息抜き中の会社員、買い物帰りの中高年、さまざまな人が訪れる古書店がある。昨年10月にオープンした「出戸浜の本やさん」は、料金箱に代金を入れて本を持ち帰るセルフ方式で、無人営業の時間帯も。「誰もがふらっと立ち寄れる場所に」。店主の柳山めぐみさん(42)が願いを形にした
-
今週の本棚
鹿島茂・評 『サド侯爵の呪い 伝説の手稿『ソドムの百二十日』がたどった数奇な運命』=ジョエル・ウォーナー著…
2024/9/28 02:01 1422文字◆『サド侯爵の呪い 伝説の手稿『ソドムの百二十日』がたどった数奇な運命』=ジョエル・ウォーナー著、金原瑞人・中西史子・訳 (日経ナショナルジオグラフィック・2420円) ◇数奇に数奇重ね…ノンフィクション フランスではこれまでオートグラフ(自筆原稿、手紙)は書籍とは別のジャンルとして市場を形成して
-
今週の本棚
川畑博昭・評 『未来への遺言 いま戦争を語らなきゃいけない』=前田浩智、砂間裕之・著
2024/9/28 02:01 1377文字(晶文社・1980円) ◇平和のための記憶、生の声の継承 敗戦から七十九年の夏も「八月報道」が盛んだった。僕には例年以上に、年ごとに少なくなる戦争体験者の<生の声>への焦燥感が強く感じられた。<生の声>は、この世の不条理を正すのに欠かせない経験者の直接の語りである。 毎日新聞の主筆と取締役の二人の
-
今週の本棚
『「昭和天皇拝謁記」を読む 象徴天皇制への道』=古川隆久ほか著
2024/9/28 02:01 488文字(岩波書店・2860円) 『昭和天皇拝謁記』は初代宮内庁長官・田島道治が昭和天皇との対話を書き残したもので、岩波書店から関連資料などを含めて全7巻で刊行された。本書は拝謁記の翻刻にあたった研究者らによる解説書だ。 拝謁記は、日本現代史における第一級の史料だ。昭和天皇の肉声、しかも外部に伝わることを
-
今週の本棚
『韓流ブーム』=桑畑優香、八田靖史、まつもとたくお、吉野太一郎・著
2024/9/28 02:01 475文字(ハヤカワ新書・1078円) 日本には「第四次韓流(はんりゅう)ブーム」の波が押し寄せたばかりだという。第一次(2003~08年ごろ)のさなかは、テレビドラマ「冬のソナタ」が日本で放送され、街に「ヨン様」旋風が吹き荒れた。第二次(10~12年ごろ)はKARA、少女時代ら「K―POP」勢が浸透する。
-
-
今週の本棚・CoverDesign
鈴木成一・選 『大転生時代』
2024/9/28 02:01 136文字一見して冒険活劇の体であるが、アニメ風の雑多なキャラクターの悉(ことごと)くが胡乱(うろん)な空気を醸している、という意外性に引き込まれる。この作家の企(たくら)みにまんまとヤラレそう。 ◆ 本格SF長編『大転生時代』(島田雅彦著・文藝春秋・2310円)より。
-
今週の本棚
『防災イツモマニュアル』=防災イツモプロジェクト・編
2024/9/28 02:01 483文字(ポプラ新書・1045円) なぜこんなにも災害は容赦ないのだろうか。地震、火災、豪雨、噴火……。いまや「被災地」が日本中にある。 「昔の『常識』は今の『非常識』!?」「今こそ、防災をアップデートしませんか」。帯の文言で思わず手に取ったこの本。2020年の同名の単行本の内容を更新。地震や土砂災害など
-
本はともだち
読書感想画コンクールの指定図書 心に残ったことを表現
2024/9/28 02:01 1456文字<くらしナビ ライフスタイル> 本を読んで心に残ったことや感じたことを絵で表現する「第36回読書感想画中央コンクール」(全国学校図書館協議会、毎日新聞社など主催)の作品募集が始まった。指定図書に選ばれた13冊を紹介する。 ■小学校低学年(1~3年)の部 まほうのアブラカタブレット(如月かずさ・作、
-
今週の本棚
伊藤亜紗・評 『地図とその分身たち』=東辻賢治郎・著
2024/9/28 02:01 2077文字◆東辻(とうつじ)賢治郎・著 (講談社・1980円) ◇「迷う」「誘われる」…不可思議な世界 小学生のころ、社会科の時間に地図帳を開くのが好きだった。指定された一点(たとえば東京駅)を索引をたどって地図上に探し、そこを出発点にして先生の指示にしたがってみんなで旅に出る。ある時は中央道にそって河口湖
-
今週の本棚・編集後記
私が子供の頃…
2024/9/28 02:00 162文字私が子供の頃、友達からこんなことを言われました。「ルパンって『おじいさん』よりも『孫』のほうが知られてるよね」。当時は夕方に、アニメ「ルパン三世」の再放送が頻繁に流れていました。いやいや、「おじいさん」の物語も胸躍るのです。週末は「なつかしい一冊」に登場した『奇巌城』を、手に取ってみては?(代)<
-
-
今週の本棚・著者に聞く
小倉和夫さん 『駐韓国大使日誌 1997~2000』
2024/9/28 02:00 795文字◆小倉和夫(おぐら・かずお)さん (岩波書店・6600円) ◇いかに相手の心をとらえるか 外交もやはり人が担っている営みだ――。そのことが垣間見える私的記録を公開した。通貨危機の中で金大中氏が韓国大統領になり、日韓関係を大きく変えた時期に駐韓大使を務めた。 印象的なのは、日本の植民地だった時代に教
-
今週の本棚
藻谷浩介・評 『ラボっ子 旅に出る。』=神山典士・著
2024/9/28 02:00 1375文字◆神山典士(こうやま・のりお)著 ◇世界で日本にだけある教育活動の話 (冨山房インターナショナル・1980円) 誰しも、うまく言語化できていない原体験を、あれこれ持っているのではないか。 悪い方でいえば、いわゆるトラウマだが、その逆も多いはずだ。自分にとって、とても大事な成長のプロセスだったのだが
-
今週の本棚・話題の本
『サテンdeサザン』=吉村和真
2024/9/28 02:00 818文字長かった残暑もようやく終わろうとしているが、夏の思い出に野外音楽フェスティバルを挙げる人もいるだろう。特に今年は国民的バンド・サザンオールスターズが「最後の夏フェス」を宣言して話題となった。 そのサザンとコーヒーとタバコをこよなく愛する人たちが集う喫茶店のマンガ、渋谷直角『サテンdeサザン』(小学
-
今週の本棚・情報
ベストセラー
2024/9/28 02:00 179文字<1>透明な螺旋(東野圭吾著・文藝春秋) <2>赤と青のガウン オックスフォード留学記(彬子女王著・PHP研究所) <3>珈琲色のテーブルクロス 杉原爽香51歳の冬(赤川次郎著・光文社) <4>傲慢と善良(辻村深月著・朝日新聞出版) <5>お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件(10)(
-
今週の本棚・なつかしい一冊
田淵俊彦・選 『文庫版 怪盗ルパン 奇巌城』=モーリス・ルブラン原作、南洋一郎・文
2024/9/28 02:00 1047文字(ポプラ社 660円) 私は小学生のころ、一日に何冊も本を読むほどの「本の虫」だった。「もう寝なさい」と言われても、ベッドに入って隠れて本を読んでいた。そんな私に教師だった父と母はあきれたが、あるとき一計を案じた。「毎月必ず本をあげる」と約束すれば、それを楽しみに待つのではないか。そして父が選んだ
-
-
今週の本棚
『現代調理道具論』=稲田俊輔・著
2024/9/28 02:00 503文字(講談社・1760円) 何を買うか、何を手放すか。調理道具には高価なものもあり、収納にかなりのスペースを必要とする場合もあって、取捨選択が難しい。新しい調理家電の購入には慎重な人も少なくないはず。その道具がどれだけ有効活用できるかは、その人(家庭)の食生活、ひいてはライフスタイル全体にかかわる問題
-
今週の本棚
渡辺保・評 『役者絵の図像学 錦絵 八犬伝を読む』=岩田秀行、小池章太郎・著
2024/9/28 02:00 1378文字(文学通信・5500円) ◇当代の芝居通が語る幕末劇壇史 「役者絵」とは、江戸時代の浮世絵版画の歌舞伎役者を描いたものをいう。現代でいえば人気役者のブロマイドといってもいい。 もっとも初期には似顔ではなかった。それが一筆斎文調、勝川春章以来、似顔になって明治時代に及ぶ。 そこには、この絵はだれか、
-
今週の本棚
『名文で学ぶ英語の読み方』=北村一真・著
2024/9/28 02:00 524文字(SB新書・990円) ≪英語の意味を正しく理解する≫英文読解より、英文≪鑑賞≫のほうが大事。≪「上手(うま)いこと言うなあ」と、思わずニヤッと≫できたら、楽しくて身につく。とても正しい。だから英語の本をまる一冊読んでみましょう。その準備のための本だ。 いきなりではむずかしいので、まず『イソップ物
-
町田そのこさん著「わたしの知る花」 “絵描きジジイ”語り手が描く
2024/9/27 11:00 2031文字福岡県在住の作家、町田そのこさんの新著『わたしの知る花』(中央公論新社、1870円)が刊行された。2021年に本屋大賞を受賞した『52ヘルツのクジラたち』(同)も映画化され、年内にさらに2冊出るという新刊ラッシュの町田さんに話を聞いた。【上村里花】 「一人の人物を、本人ではなく周囲にいる人の語りか
-
小泉今日子と岡崎京子 「型破り」な2人のキョウコをつなぐカギ
2024/9/27 07:00 2665文字物言うアイドル、物書くアイドル。キョンキョンこと小泉今日子さんは1980~90年代、そんな「型破り」なポジションでアイドル界に独自の道を切り開いた。 同じころ、漫画界に風穴を開けたもう一人の「キョウコ」がいた。サブカル誌から青年誌、そして女性ファッション誌へと活躍の場を広げた岡崎京子さんだ。 社会
-