「女性と女性が精神的な特別な関係性を持ち、異性との関係に優越するというパターンを便宜上【レズもの】と呼ぼう」
「それで?」
「アナ雪、マレフィセントは完全に【レズもの】。そして、それに続くシンデレラも、レズSM的に【いじめも愛の一形態】と見なすなら、継母からのシンデレラへの失恋物語と見ることができ、これも【レズもの】」
「ディズニーに多いね」
「最近は多いのだ」
「じゃあ、昔のダーティーペアも【レズもの】なの?」
「そうとも言えない。異性との関係に優越するほどの関係性とまでは言えないからだ」
「ふーん」
「そういう意味で男の存在感が薄いか存在しない作品も一種の【レズもの】と見なすことができ、アイスやシックスエンジェルスもそれに類するものとして扱って良いかも知れない」
「それにしても比較的新しい潮流だね」
「そうだ。比較的古い作品には、そういう【レズもの】は見出しにくいのだ」
「なぜそういう作品が増えて来たの?」
「理由が分かれば苦労はしない」
「君にも分からないのか」
「ところがね。非常に近いところにもう1つ事例があったのだ」
「どこに?」
「魔女アーデラの事件簿。これはまさに、女性と女性が精神的な特別な関係性を持ち、異性との関係に優越する作品そのものだ。他人事として考えていたが、これによって他人事では無くなったぞ」
「なんてことだ」
「どうしよう」
「自分で書いたのなら理由が分かるはずだ」
「理由を説明せよというのなら説明はできるのだ」
「どんな理由だよ」
「この作品の原形企画はね。レズ要素は存在しなかった。正確にはあったことはあるのだが、あくまで脇役の補助的な設定に過ぎなかった」
「なんでレズ要素が全面的に入ってきたの?」
「どうも、凡庸で物語が順調に転がっていかないと思ってね。一部キャラの性別を入れ換えてみたのだ」
「なんで?」
「男は理屈で動くが女は直感で動くからだ」
「ふーん。それで実際に物語はまわるようになった?」
「予想以上に上手く物語がまわった」
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「魔女アーデラの事件簿って、みんな読んでくれないけど特に面白いよ。よく書けている内容だ」
「どのへんが?」
「ファンタジー世界と見せかけて実はゲームの中。MMORPGの中なんだよ。そして、死んだはずの人間のキャラクターがうろうろ歩き回っている」
「バグかよ」
「その辺も含めて、プログラムで動いている以上何もかも分かっているはずなのにゲーム内に存在する謎がポイントだ」