あまりに気に入ってしまったので、衝動買い的にAmazonにDVDをオーダーしてしまいました。
タイトル §
『劇場版ロックマンエグゼ 光と闇の遺産』
(げきじょうばん - ひかりとやみのプログラム)
TV放映版とDVDの差は? §
資料にある映画の長さと比べて、TV放映版の時間が短すぎるので、ごっそりカットされたシーンがあるのではないか……という疑いを持っていました。
しかし、どうも状況は微妙に違ったようです。
短いカットに気付かなかった可能性はあり得ますが、大きく見てTVでカットされているのは以下の部分です。
- 絶体絶命でんぢゃらすじーさん (同キャラによるオープニングアニメ)
- ロックマンエグゼ&デュエル・マスターズ オープニング (劇場公開時のカップリング作品のキャラと一緒にロックマンが戦う、カップリング上映のオープニングアニメ)
- 未来を変えることはできなかった……というバレルとカーネルの会話 (熱斗が父に慰められるシーンと会議室のシーンの間) (2007年1月9日追記。これは間違いでした。TV放映版にもこのシーンが入っています。うっかり見落としていました)
- エンディング
これらのうち、最初の2つは割と長い時間を使っているにも関わらず、この「光と闇の遺産」という映画にとって100%無関係のシーンと断言して良いでしょう。見なくても何らインパクトはありません。
エンディングに関しては、後で詳しく検討しますが、まあインパクトは大きくはないと言えます。
すると、残りはバレルのシーンだけです。このシーンが無いことで、バレルの立場が分かりにくくなったという側面はあるかもしれません。しかし、実はこのシーンがあってもバレルの立場は良く分かりません。これは、劇場公開時にカットされたシーンの存在という別の可能性を示唆します。(後述)
というわけで、TV放映版は映画本編のほとんど全てを放送したものであって、質的に悪くなかったと言えるでしょう。
エンディング §
エンディングは、少し特異的だと感じました。なぜかといえば、ボーカルのないインスト曲だからです。良い音楽ですが、歌ではないので軽視されてカットされやすいのかも。
映像も、喜びのみんなとハイライトシーンのダイジェストという構成で、後者に注目すると重要度が低いと見なされてしまうのかもしれません。しかし、「喜びのみんな」のカット間を切り替える映像エフェクトは凝っていて、ここは見所だと思います。
また、実はハイライトシーンのダイジェストも、単にストーリーに沿って映像を並べるだけの安直な構成ではなく、個々の映像そのものの特質を踏まえて丁寧に再構成されていると思います。
この映画を味わい尽くしたいと思うなら、このエンディングは堪能すべきでしょう。
謎のカット……、揚陸艇に乗った熱斗達? §
実はDVDが届いた後、本編再生前に映像特典の予告編を再生しました。
すると、海上の揚陸艇から陸地を見ている熱斗、炎山、ライカというカットが……。
これはもう、てっきりTV放映時に切られたカットだと思いました。
そして、わくわくしながら本編再生を開始したのは事実です。
しかし、そのようなシーンは本編にはありませんでした。
厳密にはチェックしていませんが、もしかしたら他にもそのようなカットがあるかもしれません。
おそらく、DVDに収録された本編は劇場公開時の本編と同一と考えて良いでしょう。
ということは、実は映像として作られ、完成していながら劇場公開時に切り捨てられたカットが存在することが推測されます。
それは、この映画が抱えるいくつかの分かりにくい部分(バレルの行動の詳細や、熱斗達がどうやって上陸したのか分からない等)、を本来なら説明していた部分なのかもしれません。
というわけで、これは「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」以来の「公式に切り捨てられたシーンの存在によって微妙な不整合が生じたアニメ作品」となる可能性が出てきました。ちなみに、「新たなる旅立ち」でカットされたシーンがどのようなものかは資料によって明らかにされています。たとえば、本編中に「あの惑星」として言及された惑星が出てくるシーンがカットされているので、全体が整合しないという問題が起きていることが明らかに分かります。
オマケ・この映画に見られる不整合 §
上の文章を書いた後、5.1ch音声でもう1回見てしまいました。といっても、サラウンドをシミュレーションするヘッドホンアップを使っただけですが。
一応、不整合とおぼしき項目をリストアップしてみました。
- オープニングに、出演していない「やいと」ちゃんやナンバーマンが出ている (ナンバーマンは日暮のペットの落下時に声だけ出ているが)
- 日暮のペットが落下するシーンがそれっきりでどこにもつながらない (これは一瞬のシーンなので、これだけのものかもしれな)
- SF番組のコンベンションの描写がかなり長いにも関わらず、そのあとどこにもつながっていない (強いて言えば、まりこ先生の最後の通信が船の非物質化シーンにつながっているが、それにしては手前の描写が長すぎる)
- 熱斗達が島に上陸する方法が描かれていない
- IPCの輸送機が失われた描写がないにも関わらず、既に存在しないかのようにゴムボートで島を出て救援機を待っている
- バレルがどこで未来と過去を移動しているのか順番と整合性が不詳
これらの項目を見ると、本来あったかもしれないシーンや展開が推測できます。
しかし、詳細を論じてもしょうがないのでそれは書かずに置きましょう。