「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」60点(100点満点中)
監督:ジェームズ・ガン 出演:クリス・プラット ゾーイ・サルダナ
見た目が気持ち悪いヒーロー
「アベンジャーズ」でおなじみのマーベル・コミックス共通の世界観の中で、宇宙を舞台にした異色のヒーローもの。それが「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」だ。いわば宇宙版アベンジャーズといったところだが、だいぶとっちらかってきて途中参加のハードル高いアチラと違い、本作は誰もが笑って楽しめる気軽なアクションものに仕上がっている。
幼いころから宇宙で育ったピーター(クリス・プラット)は、今ではトレジャーハンター「スター・ロード」として宇宙を飛び回っていた。あるとき彼は宇宙の命運を握るパワーストーンを手にするが、それにより星間戦争に巻き込まれてしまう。
さて、そんな主人公が組むことになる仲間たちがユニーク。モンサントもびっくり、口の悪い遺伝子組み換えアライグマ(声:ブラッドリー・クーパー)やその用心棒的存在の歩く植物(声:ヴィン・ディーゼル)。女殺し屋(ゾーイ・サルダナ)に乱暴者(デイヴ・バウティスタ)ときた。誰一人まともなやつがいない、前科者と変わり者の集まりである。
にょきにょき手足が伸びる気味の悪い木人間とか、薄汚い獣とか、美人が出てきたと思ったら全身グリーン姉さんとか、とにかく気持ちが悪い。小さい子供が初めて見たら、拒否反応を示しかねない豪華ラインナップである。
おまけに彼らヒーロー軍団は日本では知名度皆無なので、この異様なムード(だけどホントはいいやつ)に共感させるまでがちょいと手間取った感がある。
出てくる団体名(?)も把握しにくいし、見た目が悪党ということもあって、世界観がすっきりと入ってこない。なにか本当にこいつらが悪いことをしているように見えてしまう。やぼったい説明的シーンを減らしたことが、今回ばかりはマイナスとなっている。
主人公たちが殺す殺すいうから子供たちにも見せにくい。いっそダーク仕立てにして切り捨てるか、もう少しわかりやすく工夫してほしかったところ。もっとも、2作目からはこうした不満はないだろうから期待できそうだ。
ともあれ、彼らに共感できてからは何の問題もなく楽しめる、オーソドックスなヒーロー映画になるので存分に楽しんでいただきたい。
ところでこの映画にはアメリカのアクション映画のド定番、おなじみの特攻シーンが出てくる。ところが本作のそれは、悪党が命じる形、悪の特攻隊になっている。これまで戦後のアメリカ映画は日本コンプレックスをむき出しにした、ヒーローによる特攻シーンを量産してきたが、いよいよそうした傾向も終わりつつあるということなのか。少々気になる一本であった。