「マラヴィータ」60点(100点満点中)
監督:リュック・ベッソン 出演:ロバート・デ・ニーロ ミシェル・ファイファー

古臭いし平均的

「マラヴィータ」をみると、リュック・ベッソンの微妙なギャグセンスは相変わらずだなと改めて思うとともに、今となってはずいぶんオヤジくさく見えるものだなあと感じてしまう。むろん、書いている自分のことは棚に上げている。

舞台はフランスのノルマンディー地方。越してきたばかりのアメリカ人一家には秘密があった。一家の主フレッド(ロバート・デ・ニーロ)は元マフィアの大物で、FBIの証人保護プログラムによってこの地に隠れ住んでいるのだ。各地を転々としてきた一家は偽装生活には慣れたものだが、それでも妙に自己顕示欲が強く、回顧録なんぞを書き始めたフレッドの暴走によって、血眼になって彼らを探しているマフィアの殺し屋たちに居場所が知れようとしていた。

さて、このデ・ニーロ演じる主人公は、いい年をしてめっぽう血の気が多く、ちょいと気に障れば残酷きわまり無い方法でそいつをぶち殺す……のだが、今は隠れている身なので一応妄想だけにとどめている。マフィア映画のイメージ強いデ・ニーロが演じているからこそ笑える、セルフパロディというべきブラックジョークの数々である。

娘が処女喪失したり、弟が学園でいじめられたり。そんな日々と並行してマフィアの追撃戦が巻き起こる。何気ない日常とマフィアもののシュールな対比。それで笑わせようとしているわけだが、これがいまいち笑えない。

マーティン・スコセッシが製作総指揮で主演がロバート・デ・ニーロということで、受けて立つフランスの監督としては映画ネタマフィアネタを大サービスしたつもりなのだろうが、これで観客が喜ぶと思っているのだから感覚が20年くらいは遅れている。

まとめとしては、映画館で爆笑するのがはばかられる歳になった映画好きの中高年が、にやにやしながら見るような映画。面白いかといわれればそれなりだし、決して退屈するわけではないが、だから何? と、言いたくなる。冷めやすいコーヒー店にあたってしまったような、そんな微妙な一本である。



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