『ゴッド・ディーバ』50点(100点満点中)
芸術の粋に達した近未来デザインに驚く
主要人物3名のみ実際の俳優を使って撮影し、残りの登場人物すべてと、背景のほとんどをCGで作成して合成した近未来SF映画。天上界で死刑を宣告されたある神様が、わずかな残り時間を使って人間のヒロインを探し出そうとする。彼の目的と、ヒロインに隠された秘密とは?!
今回、個性的なビジュアルを作り上げた監督は、バンド・デ・シネ(フランスのコミック)の巨匠として知られるエンキ・ビラル。この人の近未来デザインは、『フィフス・エレメント』や『ブレードランナー』、『マトリックス』等、多くのSF作品に影響を与えた事でマニアの間では知られている。『ゴッド・ディーバ』は、彼のオリジナルストーリーを自身の手で映画化した本格的な意欲作だ。
映画『ゴッド・ディーバ』は、そんな芸術の粋にまで達した近未来デザインが最大の見所。大胆な試みである人間とCGキャラクターの共演は、CGの質感と本物の俳優の差が少々大きすぎるが、SFというジャンルのせいか、さほどの違和感は感じない。コンピュータの技術が進んでいけば、そうした違和感はどんどん解消されていくに違いない。そのとき、この映画でスタッフが積んだ経験は、必ずや独自のノウハウとして役に立つだろう。
『ゴッド・ディーバ』は、SFジャンルといっても、ファミリーで見に行けるような気軽なものではなく、“エンキ・ビラル”の名前にワクワクしてしまうような、マニアックな大人向けの作品。興味のある方は、とっつきにくい内容ではあるが、思い切ってチャレンジしてみてはいかが。