パレスチナ自治区・ヘブロンで撮影された銃撃の瞬間 “ナイフからカメラへ”非暴力で和平への道は?【news23】|TBS NEWS DIG

須賀川拓記者が取材した、パレスチナ自治区・ヘブロン。この地で撮影されたイスラエル兵によるパレスチナ人への銃撃の瞬間が証拠となり、イスラエル兵は有罪判決を受けました。“ナイフからカメラへ”非暴力の取り組みを取材しました。

■パレスチナ人を“公開処刑” 現場で何が?

中東・パレスチナ自治区、ヨルダン川西岸地区。

その中にある「ヘブロン」は、対立の最前線の町です。パレスチナ人の自治区にイスラエルが無理やり入植を繰り返しているため、いざこざが絶えず、凶悪事件も頻発しています。

23ジャーナリスト 須賀川拓記者
「ヘブロンというのは、町の中に入植者たちが入ってきて住み始めているので、入植者と、もともと住んでいたパレスチナ人との距離が非常に近いんですね。だから衝突が絶えない場所になっています」

治安の悪化でイスラエル側が町の一部を閉鎖したことから、ゴーストタウンのような場所も…。人権団体の代表を務めるパレスチナ人のイマドさんは、あの日のことを忘れることができません。

人権団体PHRD イマド シャムスィーヤ代表
「映像は加工してはいけません、音声も同じです。現場で起きたこと、それがすべてなのです」

すべての始まりは、2016年に起きた、イスラエル軍兵士による事実上の“公開処刑”でした。イマドさんは、その映像をあえて子どもたちに見せています。息をのみ、スクリーンを見つめる子どもたち…。

イマド代表
「2016年3月24日に撮影したものです。倒れている彼、アブデルは血を流していますが、生きています。撮影したこの時は、まだ生きていました」

イスラエル兵士をナイフで襲ったパレスチナ人のアブデル容疑者は、6発の銃弾を受けてその場に倒れ込みました。

イマド代表
「見えますか?アブデルの足は、まだ動いている。しかし到着した救急隊員は、彼を無視し軽傷だった兵士の手当てをしています」

イスラエル側の救急隊が応急処置を施したのは、イスラエル兵士にだけ。さらに、その後に続く映像には、イスラエル軍の兵士がライフルの撃鉄を上げる音が、克明に収録されていました。

イマド代表
「しっかりと見なさい。いま撃鉄を上げた。ゆっくりと近づいて、照準を定めます」

横たわるアブデル容疑者が銃殺される瞬間を、イマドさんのカメラは捉えていました。

イマド代表
「ここから先は君たちに見せることはしません。弾丸が貫いた彼の頭はバラバラになっていました」

どれだけ大切な証拠であっても、その場から生きて戻らなければ意味がない。イマドさんから子どもたちへのメッセージです。

イマド代表
「証拠を撮影することで、自分は安全です。あなたの周りにいる人も安全です。そして他の人を守ることもできるのです」

イマドさんが撮影した映像は、イスラエル側の裁判の証拠として採用されました。判決は禁錮9か月。罪は過失致死でした。どれほど理不尽なことが起きようとも、時には人の命が奪われる瞬間に遭遇しようとも、カメラを回し記録を続けることで、誰かが気が付いてくれる。それも抵抗の仕方だとイマドさんは伝えたいのです。

ヘブロン在住 ジャナさん(11歳)
「自由に外で遊びたいのよ。でも(入植者たちが)そうさせてくれないから」

ーー暴力ではなくカメラで戦うことについてどう思いますか?
「それが私たちの役目です」
ーー戦い方については?
「すばらしいです。私たちにとって役立つ方法です」
ーー向こうは武器を持っているけれど?
「私の武器の方が強いのよ」

■「武器から武器」じゃなく「ナイフからカメラ」へ

小川彩佳キャスター:
銃撃の瞬間は、本当にショッキングな映像ですね。

須賀川拓記者:
だいぶ前に起きた事案です。私も現場に行っただけで、当時の状況がイメージできてしまうのは、ショッキングな状態でした。それが現実なんだなということです。今回の取材のキーワードを「ナイフからカメラへ」としました。

実はこうしたイスラエル兵による凄惨な事件、限度を超えた暴力行為は、日常的に起きていることです。

藤森祥平キャスター:
私達が小さいとき、もっと前から、イスラエルとパレスチナの紛争が続いてきた中で、やられたらやり返す「武器から武器」じゃなくて「ナイフからカメラ」にして、これを子どもにやってもらうということですか。

須賀川記者:
子どもがやらなくちゃいけないというのも、そういった現場を目撃しなくちゃいけないということになりますから、子どもにとっての精神的な負担はかなり激しいですが、現場では、これが最善の道だと信じるしかない。そういったのも現実です。

小川キャスター:
そこまで追い込まれてしまっているところもあるわけですね。世界各地の現場で様々な紛争、そして対立を見てきた永井さんは、どのようにこの銃撃を見ていますか。

NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事 永井陽右氏:
端的に言って「あってはならないこと」。ただそうしたことが日常的に、憎しみの連鎖の中で起きている。そのことに、まず向き合わなければいけないなと思います。あとは、なぜ彼は兵士にナイフで立ち…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230926-6111717)

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