草花の成長が勢いを増す今の季節、「草むしりに苦労している」という方もいらっしゃると思います。そんな方への力強い「助っ人」が、ヤギです。ユニークな草刈り代行サービスが、農家や企業などの間で人気を集めています。
RKB正福里奈「工場の裏手の敷地、こちらの斜面に…… いました! ヤギです。こちらをジーっと見ています」
佐賀県嬉野市にある機械メーカーの敷地に放たれた、2匹のヤギ。斜面に生える草を黙々と食べています。実はこれ、仕事なんです。「草刈り代行サービス」として派遣されました。
伊藤飛鳥さん「けっこう急斜面で、今まで従業員に草刈りをしてもらっていたんですが、危ないのでちょっと借りてみようかと。本来従業員にやってもらいたい仕事は生産活動なので、そちらに時間を充当できるのが一番大きなメリットですね」
このヤギを使った「草刈り代行サービス」を請け負っているのは、佐賀県武雄市の農家、原口浩信さんです。
原口浩信さん「(レンタルの)きっかけは、ヤギが増えて、ここの除草のために2匹もらったんですよ。それで、増えていって」
もともとは2匹しかいなかったヤギ。それが繁殖を繰り返し、今では35匹にまで増えました。去年3月に「1日100円程度」で貸し出しを始めたところ、問い合わせが相次ぎました。
原口浩信さん「JRの高架下とか、九電はダムでしたね。ある程度は(草を)食べていたみたい。借り手がいる限りはですね」
「草刈り代行サービス」好調の背景にあるのは、耕作放棄地の問題です。農家の高齢化で手入れが難しくなった場所でも、ヤギを放つことで草が伸び過ぎるのを防ぎ、休耕地として保てるのだそうです。
「わぁ、かわいい! よかったね。来たよー!」
ヤギのレンタルは、こんな効果も生み出しています。
森山洋子さん「(ヤギの)ミキちゃんはよく食べてくれるし、おとなしいし、なついてくれてたので、今年もまた指名でお借りしました」
佐賀県鹿島市の森山洋子さんです。「使わなくなった畑の除草に」と去年ヤギを2匹借りました。今年も同じヤギを借りたところ、2匹の赤ちゃんを出産。かわいらしい赤ちゃんヤギを一目見ようと、孫や近所の子供たちが遊びに来るようになりました。
「かわいい」
「(子供が)初めて触った動物が、ヤギだった。命の大切さを学べる、いい機会だと思う」
いまでは、大切なペットのような存在になっています。
森山洋子さん「本当に除草目的だったんですけど、預かってみると本当にかわいくて。ゴールデンウィークも、どこかに行くよりここでと言う人もいて。除草だけでなく、コミュニティーにも役立ててうれしいなと思っています」
黙々と、そしてかわいらしく草を食べ続けるヤギ。面倒な草刈りや耕作放棄地の管理だけでなく、地域のコミュニケーションにも一役買っています。
powered by Auto Youtube Summarize