「お金を返してほしい」と訴えようとした女性が警察官に取り囲まれる。経営危機に陥っている中国不動産大手の恒大集団をめぐり、抗議行動に出た市民が妨害される事態が起きています。
「恒大は金を返せ! 詐欺犯だ!」
これはおととい、東北部の遼寧省瀋陽市で撮影された映像。
恒大集団傘下の会社が販売した金融商品を購入した人たちが、瀋陽市や南部の海南省など各地で恒大集団などに滞っている元本や利息の支払いを求めました。
広東省深セン市では…。
返金を求める女性
「お金を返してほしいだけなのに、こんなに多くの警官に囲まれてすごく不安。何の法律違反もしていないのに」
女性は深センにある恒大の事務所を訪れ、直接訴えようとしたのですが、最寄りの駅で待っていたのは制服や私服の警察官たち。女性は取り囲まれました。
警察官
「身分証を見せてください」
女性
「なぜですか?怪しいものはもっていません」
警察官は、執拗に身分証の提示を求めるなどして行く手を阻み続けます。
返金を求める女性
「私はただの主婦なのに…警官がこんなにも。返金の要求を止められました」
その後、この女性を含め、深センに集まった人たちはバスに乗せられ、恒大の担当者がいるという場所に連れていかれたものの、担当者はおらず、結局、訴えが聞き入れられることはありませんでした。
中国の不動産業界で2位だった恒大集団。しかし、中国政府が不動産バブルを抑制するために融資引き締め政策をとったことで、急速に資金繰りが悪化。去年秋、日本円で32兆円という巨額の債務を抱え、経営危機が表面化しました。
恒大をめぐっては、夏に予定していた再建計画の発表が先送りになったほか、今後の収益の柱と位置付ける電気自動車事業も天津市の工場の従業員を6割削減すると伝えられるなど、再建のめどはたっていません。
そんな中、先週末、こんなうわさも…。
「許家印氏が建物から飛び降りた」
恒大集団のトップ、許家印氏が亡くなったという説です。恒大側は、許氏の肉声をわざわざ公開するなど火消しに追われました。
許家印氏の肉声とされる音声
「物件の引き渡しのシーンを使った宣伝活動を強化させねばならない」
ゼロコロナ政策とともに不動産市況の低迷が経済減速の要因となっている中国。恒大集団の苦境は、今の中国経済の象徴ともいえそうです。
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