統一地方選の後半戦、北海道では町村長と町村議会議員の選挙が告示されました。
地方議会では立候補者の人数が定員に届かない「なり手不足」が深刻となっています。
■斜里町長選に立候補無所属・現馬場隆候補(72):
「徹底して安全に取り組む、新しい魅力ある知床を見出していく。このことは斜里の未来にとって大きな前進につながる。」
■斜里町長選に立候補山内浩彰候補(63):
「いま一番打撃を受けている観光業も、みなさんと一緒に斜里のマチの再建に向けてしっかり取り組んでいかないといけない。」
オホーツクの斜里町の町長選挙には無所属の現職・馬場隆さんと、無所属の新人・山内浩彰さんが立候補しました。
投開票日の23日は知床沖の観光船沈没事故から1年で、斜里町内では追悼式が行われます。
選挙では今後の知床観光のイメージ回復も争点の一つとなります。
18日、道内では35の町村長選挙と100の町村議会議員選挙が告示されましたが、立候補者の人数が定数を下回り無投票で終わった選挙もあります。
深刻な「なり手不足」の問題。
空知の北竜町議会には次世代の「なり手」が現れず、辞めるに辞められないベテラン議員も。
■松永毅町議(議員歴32年、9期目):
「展望だとか発展した意見だとか内容はない。ただ、今は惰性でやっているから。」
こうした地方議会の危機に一人の町民が立ち上がりました。年齢は、82歳。
ことし2月に当選したばかりの「1年生」議員です。
■鶏舎にて:
「おはよーおはよー。」
毎朝の日課は、飼っているニワトリへの餌やり。
空知の北竜町の農家、尾崎圭子さんです。
ニワトリの世話を終え、自宅を出発した尾崎さん。
その行き先は…なんと、町議会。
尾崎さんは当選2回、町で唯一の女性町議です。
■尾崎議員一般質問:
「マイナンバーカードの是非と今後の扱いについて質問させていただきます。」
山と農地が広がる北竜町。この30年で町の人口は1700人ほどまでほぼ半減し、65歳以上の高齢化率は45%に達しました。
議会は存続の危機に立たされています。
■佐野豊町長:
「担い手がいなくなれば自治は衰退し、空洞化する。民主主義が機能しなくなるという恐れがある。」
町長の危機感は、ことし2月に行われた選挙結果に向けられたもの。定員8人の町議選に立候補したのは7人だけ。町の歴史上、初めて「定員割れ」となってしまいました。
■木村和雄さん:
「ちょっと額にでも入れてなくさないように保管しようかなと思います」初めて選挙に出て無投票で当選した木村和雄町議。
82歳の「1年生議員」です。
「(出馬表明が)5人しかいなくて、それでいよいよ1週間前になって、よしやるぞという気になったんですね」
先月31日の臨時議会では議長席に座った木村さん。
「1年生」でありながら最高齢の木村さんが、法律に基づいて臨時の議長を務めました。
「健康に注意しながら、任期中に何かの道付けができるような役割は果たしたい」なぜ、若い「なり手」が現れないのか。
唯一の女性町議尾崎さんが指摘するのが「長い拘束時間」と「低い報酬」です。議会や研修などで最低でも年間70日は拘束される町議の仕事。
このほかに勉強会や行事などに参加しても、議員報酬は毎月一律で17万7000円。
ここから税金などがひかれ、手取りが12万円台になる月もあるといいます。
「Q議員だけで暮らせる?」
「A無理ですね。」「なかなか議員だけでは難しい。報酬上げないとだめですね。」
北竜町では、来年2月の町長選と同時に、1人不足している町議の補欠選挙も行われます。
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