新型コロナ「第6波」に備えるため、岸田総理も度々強調しているのが検査の拡充です。「第5波」では、濃厚接触者ですらPCR検査が受けられず、一家4人が“検査難民”となった女性が、不安な経験を証言しました。
ヒジカタ薬局 土方陽介さん
「在庫ございます。抗原検査キットを4キット買いたいという方ですね」
今、薬局への問い合わせが相次いでいるのが、抗原検査キット。次に来る「第6波」に備えて、政府が薬局での販売を認めました。ただ、検査不足を解消する切り札にはなりそうにありません。
記者
「抗原検査キットですが、PCR検査などと比べてウイルスを検出する能力が低いため、あくまでも、発熱など症状が明確に出ている人だけにしか推奨されていないのです」
未曽有の感染爆発となった「第5波」では、そもそも、感染者の数を正確に把握するための、検査すら追いつかない状況でした。
息子が感染し濃厚接触者になった女性
「こっちは差し迫った状態だから早く検査しなきゃいけないのに、なんでこんなことになるんだろう」
家庭内感染で検査が受けられないことの怖さを語る女性。一家5人のうち、まず、大学生の長男の感染が判明しました。同居する家族は、保健所から濃厚接触者に認定されましたが、PCR検査について聞くと・・・
息子が感染し濃厚接触者になった女性
「(検査を)希望すれば医療機関で受けられます。相談してみてください」
そこで、医療機関に問い合わせましたが・・・
息子が感染し濃厚接触者になった女性
「保健所からの指示がないと受けられませんと言われたんです」
保健所と医療機関の間でたらいまわし状態に。次女にも咳などの症状が出ていたため、糖尿病の基礎疾患がある夫とともに、別の医療機関でようやく検査を受けられました。しかし、症状のなかった女性と長女については・・・
息子が感染し濃厚接触者になった女性
「濃厚接触者の検査をしたいと言うと、症状がないとできないですと拒まれた」
結局、長女は1万5000円を払って民間の検査を受けることに。自身も職場での定期検査を受け、いずれも陰性でしたが、長男が発症してからすでに1週間以上も経っていました。
息子が感染し濃厚接触者になった女性
「しかも自費かと。近しい人が陽性になった場合、自分はもしかしたらと疑いを持つ人がいる。勤め先とかバイト先からすぐ検査してと結構言われるんですけど、誰でも受けられるという状況にしていかないといけないんじゃないかな」
都内では8月、感染者の4人に1人が家庭内での感染でしたが、同居している家族すら検査が受けられない状況だったのです。
国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授
「(検査不足は)確実に感染が広がる要因になる。(感染者の)家族や近くに職場でいる人などは濃厚接触者と判定して、そういう人たちは当然検査を受けて、さらにそれ以上に広がらないようにすることが感染を抑え込む上で大事」
東京都は、第5波でも、「必要な人は検査を受けられていた」としていますが、日本の検査数は、ピーク時でも1000人当たりの検査数は1件ほどで、イスラエル15分の1、イギリスの10分の1、アメリカの5分の1ほどにすぎません。政府や東京都は、たびたび、検査の拡充を訴えてきました。
菅義偉前首相(今年1月)
「検査体制を拡充していきたい」
小池百合子都知事(今年3月)
「PCRの検査などを拡充してまいります」
そして、岸田総理も・・・
岸田文雄首相
「予約不要の無料PCR検査場の拡大」
第6波を迎え撃つにあたって、確実に感染者を把握して早期に対処できるよう、今度こそ、十分な検査体制は構築されるのでしょうか。(15日16:23)
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