東京・江戸川区でレストランを営む、ネパール人のマラカール・ウルミラさん(56)。
ウルミラさんの店は本格的なネパール料理が味わえると評判だ。おいしさの秘密はスパイスの絶妙な配合。ターメリックやチリパウダーなど20種類以上を料理によって使い分けている上、常連客1人1人の好みを覚えて、その量や配合を調整しているというのだ。
ウルミラさんは、日本からネパールにきていた青年海外協力隊の寮で働いたことで日本に興味を持ち、29年前に来日。レストランでアルバイトをしながら料理の勉強をし、7年後に現在の店を開いた。開店当時は、客足が全く伸びず1日1組しかお客がこないこともあったという。
「どうやってもお客さんが増えなくて、朝昼晩と食事をすることもできなかった(ウルミラさん)」
そんな中、足繁く通ってくれた常連客も。そうしたお客さんたちがいたからこそ、ここまでやってこられたのだという。
「恵まれてる私。皆に感謝しながら毎日歩いてる(ウルミラさん)」
ある日。東京・豊島区の子ども食堂にウルミラさんの姿があった。この子ども食堂は、家庭に複雑な事情を抱える児童を中心に、食事の提供などをしている。ウルミラさんは知人の紹介でこの子ども食堂のことを知り、自分も参加したいと手を挙げたのだ。
実はウルミラさん、今年5月にもコロナで困っている人たちにカレー弁当を無料配布。
「次は子どもたちに食べてもらいたい」と考えていたそう。
無料配布を翌日に控え、ウルミラさんは近所の八百屋さんでトマトやタマネギなど、大量の野菜を購入。甘味のある野菜をたっぷり使い、ルーにとけ込ませることで辛さを和らげるのだという。
「子どもたちに食べてもらうためには、栄養たっぷりのおいしいものを出したい(ウルミラさん)」
そんなウルミラさんの活動を娘のジョティさんはどう見ているのだろうか。ジョティさんはこう話す。
「自分が大学で希望している専攻はボランティア。お母さんの姿勢を見てやりたいなって思った。」
娘の言葉に、ウルミラさんは思わず涙…。
そして迎えた、無料配布の日。カレー弁当は50食用意。子ども食堂には、ご近所の方も集まって長蛇の列ができていた。おいしそうにカレーを頬張る子どもたちの様子に、ウルミラさんも笑顔。
「子どもたちが喜んでくれて嬉しい。私にできる事これくらいしかないからね。もっと、もっと頑張ります」
(2021年11月22日放送「news every.」より)
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