中国 全面的な金融危機発生の可能性60%超 |新唐人|中国経済|金融危機|中国情報|不良債権

【新唐人=米NYに本部を置く中国語衛星TV、中国ニュースを独自の視点でお届けします】#金融危機 【2014年6月12日】中国では銀行の不良債権が増え続け、金融業界がリスクにさらされています。また、経済成長の減速によって企業の収益が減少し、融資の返済を一層難しくしています。 中国当局が、過度の貸付や投資、生産能力過剰の局面を打開する為の行動をすぐに起こせないのなら、想像もつかない結果になるだろうと、経済学者は見ています。全面的な金融危機が発生する可能性はすでに60%を超えていると指摘しています。
中国当局が公表した、今年の第1四半期の経済成長率は、前季の7.7%から0.3%減少の7.4%。中国企業の収益にダメージを与え、返済能力の低下を招き、デフォルトの規模を大幅に拡大させています。

中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の5月15日の発表によると、今年の第1四半期の銀行不良債権は2009年以来の新高値を記録し、また四半期指標として2005年以来最大の増長幅となりました。第1四半期中国銀行業の不良債権は前年同期比540億元増の、5921億元から6461億元となっています。

中国エコノミスト 毛于軾氏

「中国には大きな危機が2つあります。不動産バブルと銀行の不良債権で、これは非常に直接的な危機です。この2つの問題は一触即発の可能性があります」

香港の政治評論誌「動向」によると、中国の金融機関が抱える不良債権総額は、今年3月現在30兆6550億元に上ります。一方、昨年1年間の不良債権額は3兆2105億元。今年第1四半期の不良債権額は、昨年のGDPの半分に相当します。

ウォール・ストリート・ジャーナルも、中国の経済成長の減速により、中国銀行業の第1四半期における不良貸付率はここ3年の最高レベルに達し、銀行業の不良債権残高は6461億元に上ると伝えています。

銀行の不良貸付率の上昇と、銀行システム外で発生し、監督管理されていない貸付規模拡大の問題、すなわちシャドー・バンキング問題など、中国の金融業が直面するリスクは日増しに高まっています。また、中国経済成長の減速によって企業の収益が減少し、多くの企業の融資の返済をいっそう難しくしています。

中国金融アナリスト 任中道さん

「局部的で地域的な危機はすでに起きています。信託について言えば、昨年だけでも十数件のデフォルト危機が現れ、リスクは極めて高くなっています」

世界各国は失速し続けている中国経済を注目しており、国際通貨基金IMFは、中国経済がハードランディングに直面していると警告。北京当局は経済刺激策や金融政策の緩和実施に積極的ではないため、多くの債務者は融資返済に頭を抱えています。

中国当局が短期間で刺激政策を実施する可能性が低くなり、最近の政府高官の言論からも読み取れるように、政治・経済情勢の揺れ動きに直面している現職の権力者でさえも「構造転換しない限り、経済成長の継続ができなくなる」ことを心得ているようです。

このほかに、世界1位となっている中国の外貨準備高がもたらした莫大な通貨発行が中国の物価を高騰させ、インフレに影響を及ぼしています。李克強首相は5月10日、ケニア訪問の際、約4兆ドルの外貨準備高は「大きな負担」で、「インフレに影響を及ぼし、中国マクロ経済のコントロールは大きな圧力を受けかねない」と述べています。

1978年、内外の圧力と経済崩壊に直面していた中国共産党は、10年に及ぶ文化大革命の被害を受けた民衆が安定した生活を渇望する心理を利用して、「委託加工」、「輸出による外貨獲得」などで、政権を持続させてきました。

その後、各地の地方政府はGDP、輸出による外貨獲得、外資企業誘致などのノルマ達成のため、安値で土地や環境資源、労働力を提供し、外貨準備高を追求してきたと同時に、莫大な外貨準備高を中国経済の「成果」として宣伝してきました。

在米経済評論家 ジェイソン・馬さん

「中共は経済を刺激するため、紙幣を大量発行し インフレを招きました。中国の通貨価値の下落は、通貨発行量による直接的な結果であり、対外では元の自由兌換を制限し、元の切り下げを抑制し、中国は輸出を主とする国なので、国際市場では元不足の現状を造り出しています。そのため外国と元を兌換する時、元が値上がりする現象を招きました。中国の巨額の外貨準備高は中国の誇りではなく、負担です。外国通貨を財産を担う媒体にせざるを得ないからです。外国が通貨価値を下落させると、中国国内では財産価値が減少します」

2006年、中国の外貨準備高は日本を超え、世界一になりました。その後、さらに増え続け、今年3月末には3.95兆ドルにまで増加しました。

中国中央銀行は購入した外国通貨の分に応じて、人民元を印刷するという政策を採っているため、2008年から現在までに、新たに増やした2兆ドルの外貨準備高に対し、およそ13兆元の人民元のベースマネーの発行を必要としています。すなわち、中国のベースマネー発行量は、国内の経済状況によるものではなく、外貨準備高によって決まるということです。巨額のベースマネーの発行によって、中国では物価が急騰し、特に不動産価格抑制政策を実施しても、価格の急騰を抑える事はできない状況です。

アメリカの経済学者、ロバート・トリフィン氏は、一国の外貨準備高は5ヶ月分の輸入需要を満すレベルにすべきだと考えています。政府データによると、2013年中国の輸入額は1兆9500億ドルで、5ヶ月分の輸入額は約7800億ドル。すなわち、中国の外貨準備高は1兆ドルで十分なのです。

一部の地方政府は早い時期から債務超過になり、借り入れを増やして維持しています。

中国民間投資顧問 鄭さん

「審計署最新の通告では、各地方政府の返済すべき債務は20数兆元に上ります。天文学的な数字です。返済すると言っても、どこから20兆もの巨額を出すのですか」

地方政府の債務は、昨年6月まで、すでに17.9兆元に達しており、うち、3分の1は今年返済しなければなりません。現在、危機がまだ起きておらず不良債権も暴露されていないのは、通貨の過剰発行で隠ぺいしているからです。   

中国第一経済日報は5月16日付けの報道によると、中国農業銀行のチーフエコノミスト向松祚(こう しょうそ)氏が15日、「2014中国金融フォーラム」において、中国が現在抱えている4大金融リスクは、「シャドーバンキングシステムリスク、「地方政府債務リスク」、「生産能力過剰業界の大規模な合併再編による破産リスク」および、「不動産バブル化リスク」であると述べ、これらのリスクがもし、同時に発生したら、中国は全体的なリスク、または金融危機を回避することは難しいと警告しています。中国で系統的、全面的リスク発生の可能性は既に60%を超え、さらには70%を超える可能性もあるとのことです。
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