名古屋栄の「ドン・キホーテ」横、通称「ドン横」に集まる少年少女たちがいます。6月27日、「ドン横」が閉鎖され、いわゆる「ドン横キッズ」たちはどこに行くのでしょうか?そんな少年少女たちを支援する着ぐるみの団体がいます。
地べたに座りたむろする少年少女。中にはタバコを吸っている人も…
「気の合う人たちが多いので楽しいですね。おもしろい場所。遊び場」(21歳の男性)
6月25日(土)、午後9時すぎの名古屋・栄エリア。多くの若者たちがたむろする中、歩き回っているのは、少し怪しげな着ぐるみ姿の団体です。
「『ドン横』で事件が起きていたので、薬物とかはないと思うんですけど声かけて仲良くなれたらいいなみたいな」(声をかける荒井和樹さん)
「『ドン横』最近、事件多いですよね」(栄に座っていた男性)
「そうなんですよ」(荒井さん)
この団体の正体は、少年少女が事件や犯罪に巻き込まれないように声かけ活動をする、NPO法人「全国こども福祉センター」です。
着ぐるみ姿で犯罪に巻き込まれないように声がけ10年以上
名古屋駅を拠点に、週に1度の活動を10年以上続けてきました。
「こっち勧誘が多いから気を付けてねって声掛けしていたところなんだ」(名古屋駅周辺で高校生に声をかける全国こども福祉センターの荒井和樹さん)
高校生や20代などの若者が中心となり活動してるのには、訳がありました。
「世の中では非行と呼ばれることをやってきたので、自分も経験していたからこそ、その分知ってるからこそ助けてあげたい」(全国こども福祉センターの活動メンバー 17歳の女性)
「高校生の時とかは制服着て、家にも帰りたくないし、行くところないって言ってここら辺(名古屋駅周辺)に座って何時間も暇つぶしてると、おじさんたちが話しかけてきて『どっかいこうよ』って声かけてくるんですよね。当時の自分みたいな子たちに、今度は自分が声かける側にまわりたい」(活動メンバー 26歳の女性)
「ドン横」に集まる少年少女 性被害やオーバードーズも
この日、名古屋駅での活動を終えて向かったのは、「ドン・キホーテ栄本店」のすぐ近く、「ドン横」です。
たむろする少年少女が「ドン横キッズ」と呼ばれていて、性被害にあうなど事件が起きています。
「ドン横の王」を名乗る20歳の男性は、16歳の少女にみだらな行為をしたとして逮捕され、罰金50万円の略式命令を受けました。
「ここにこれば絶対誰かと話ができる。そういう場所でもあるから楽しい、安心できる場所。酒飲んでしゃべって終わりです」(ドン横にいた男性 19歳)
男性は、薬の過剰摂取「オーバードーズ」をしているといいます。
「テンション上げるため、タバコと一緒です。だから力が入らない。編集とかゲームを仕事にしていたので、中学から夜までゲームしてて、親はゲーム反対みたいな感じだった」(ドン横にいた男性 19歳)
ツイッターで知り合った友人に誘われて東京から来たという少年は…
「(高校は)全日制行ってて、前期の単位を全部落としたから、今遊んでます。(お金は、知り合いの)中高生から定期的にもらえる。2日で5万円もらいました。(両親は)心配はしているけど僕が遊んでいるから楽しんでみたいな。自分の人生だから」(東京からドン横に来た少年 17歳)
「ドン横」は高層ビル建設で閉鎖 集まる場所は「オアシス21」に移動
愛知県警が、去年10月から6月15日までの間、栄エリアを中心に保護した少年少女の数は、25人に上ります。
「移動しまーす。こっちです」(全国こども福祉センターのメンバーに呼びかける代表の荒井和樹さん)
25日、着ぐるみ姿の団体が移動した先は「ドン横」のすぐ近く、水の宇宙船がシンボルの「オアシス21」です。
「学校帰りにちょっと終電の時間まで寄って時間をつぶそうっていう場所になっている。これは事実だと思うんですよね」(荒井和樹さん)
予想通り、座り込んでいる少年少女の姿がありました。団体の代表、荒井さんは1週間前に周辺の下見をしていたのです。
「こんにちは。ごめん、なんとなく話しかけちゃった。ドン横って楽しい?」(荒井さん 17日)
「まぁ」(少女)
「荒井さん:よく来るんですか?」(荒井さん)
「まぁ」(少女)
全国こども福祉センターが「オアシス21」に到着しました。ここでも、未成年がたばこを吸ったり、寝転んだり…「ドン横」にいた少年少女の姿もありました。
「オアシスのほうが人がいるじゃない。めちゃくちゃいるじゃない」(荒井さん)
荒井さんが、「オアシス21」での活動を決めた理由はもう1つ、「ドン横」が閉鎖されるためです。
地上41階、地下4階建ての超高層ビルが建設予定で、6月27日、「ドン横」に立ち入れないようにフェンスで囲われました。
荒井さんは、「ドン横」にいた少年少女が、「オアシス21」に集まると考えたのです。
顔を合わせ声掛けることで信頼関係「継続的にひとりの子と関わっていくことが大事」
着ぐるみの団体が、声をかけて交流を深めていきます。
「犯罪を見逃さないっていう正義感がいいと思いました。僕も一緒に混ざって声掛けしたいと思いました」(声をかけられた男性 18歳)
「すごくおもしろい人たちでした。知らなかったから話を聞けてよかった」(声をかけられた少女・17歳)
顔を合わせ話し合うことで、信頼関係を生んでいきます。「ドン横」にいた少年とも話をしました。
「よかったら友達になりませんか?」(荒井さん)
「いいよー」(少年)
「ありがとう。仲良くしてくれて」(荒井さん)
連絡先を交換することができました。
「ドン横が無くなると同時に、オアシス21に子どもたちの滞留所が変化してきたと思います。継続的にひとりの子と関わっていくことが大事だと思います」
(6月28日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
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