毎度ご視聴ありがとうございます。
最初の国歌和訳動画である、ロシア連邦国歌を投稿してから早6年が経ちました。
当時私は高校1年生で、趣味のロシア語和訳を発信しようと投稿を始めましたが、
当時の技術力不足と肝腎のロシア語読解力不足により、所々誤訳があるほか、
ロシア語原詞がついていないなどの問題がありました。
そこで今回、6年を経て新たに一からロシア国歌を和訳し、ロシア語原詩と仮名によるルビを
添えた上で新たにロシア連邦国歌の和訳動画を投稿いたしました。
曲の経緯などは割愛させていただきますが、以下に歌詞の註釈を書いておきます。
1番
держава と страна:1番の序盤でдержава と страна という言葉が出てきます。いずれも「国」に相当する言葉ですが、ロシア語ではほぼ同じ意味の言葉を使う場合でも、全く同じ単語を繰り返し使うことは教養がなく好ましくないと考えられる傾向があります。なので、それぞれ「国家」と「国」という訳し分けをしていますが、前者はдержать(保持する) という動詞に由来するもので、「主権」や「統治権」のほか、「強国」や「(複数形で)列強」という意味があります。後者は英語 country に相当する語で、統治機関としての国家・政府という意味以外に「故郷」や「故地」という意味を含んでいます。従って、священная(聖なる) という雅語を含んだ1文目には「強さ」を連想させる держава が、любимая(愛すべき、親愛な)という親しみを強調した2文目では「故郷」というニュアンスを持つ старана を使っているとも考えられます。
「汝が持てるもの」:「持てる」とは「持つことが出来る(можно владеть/be possible to posses)」ではなく、「持っている」という文語です。原語では твоё достояние(your property) で「君の財産、所有物」の意味ですが、君の所有物と訳すのもどうかと思ったので「汝が持てるもの」とそれっぽくしてます。
なお、ここでいう「持てるもの」とは直前の歌詞にある могучая воля(雄大な意志) と великая слава(偉大なる栄光) を指しています。
繰り返し部分
Славься(栄光あれ):不定形はславиться で、славить(讃える)の –ся動詞(受身や再帰などを表す) に当たります。従って、逐語訳に近くするなら「讃えられてあれ」となりますが、語感がどうにも微妙なので「栄光あれ」と意訳しています。Слава(栄光)とは語幹・語根が共通なのでまぁ許容範囲です。
「兄弟の如き国民の永年の結束」:原詞 братских народов союз вековой を英語に直訳すると、the old-age union of fraternal people となります。
要は「古くから兄弟のように慣れ親しんできた人々の連合体」ということですが、ロシア語の народ は単なる「民衆、人民(people)」の他に「民族、国民(nation)」の意味もあります。
更に、народ は単数形が使われるのが普通ですが、ここでは複数形が使われていることから、単なる庶民や民衆のことではなく、連邦内に数多く存在する諸民族のことを指していると考えられます。
2番
「南方の海から極地まで」:南方の海(южные моря)には複数形が使われていることから、特定の海ではなく黒海やオホーツク海などの総称でしょう。また、当然ながら極地(полярный край)とは北極のことですが、ロシアは南極にも6箇所の観測基地(うち1箇所はベラルーシと合同)があります。
「真に唯一」:訳に苦しんだ箇所です。原文では Одна ты такая。такая(男:такой) は形容詞で、「そのような、その通りの(such)」という意味。日本語だと「然る」という語が近いような気がしますが、日常ではどうにも馴染みが無く、「しかと唯一の国」などと訳しても全くピンと来ない気がしたので「真に唯一」としています。
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