ウクライナ東部への攻撃激化が懸念されるなか、残虐性が高いとされる、ある特殊部隊の存在が明らかになりました。
ウクライナ東部、激戦地の最前線にはロシア軍の特殊部隊、通称「カディロフ部隊」が送り込まれています。
12日にロシア側が公開した映像の場所は、マリウポリだといいます。
カディロフ部隊:「隊長の命令を100%遂行します」
彼らはロシア連邦の南部に位置するチェチェン共和国の特殊部隊です。部隊の兵士は約1万人いると言われています。
そのトップとして指揮するのはチェチェン共和国の独裁者、ラムザン・カディロフ首長。
自身のSNSで自撮りの動画を公開し、ウクライナ東部への攻撃をアピールしています。
チェチェン共和国・カディロフ首長:「我々はマリウポリをはじめ、その他の市町村にてピンポイントで攻撃を開始する用意がある。ルハンシク州やドネツク州をまず全域で解放する。総司令官、我が親愛なるプーチン大統領による指示を受けた。その後、キーウ(キエフ)や他の街も占拠する」
プーチン大統領の指示で動いているのはカディロフ首長のプライベート・アーミー「カディロフ部隊」です。マリウポリなどへの攻撃を宣言し、その後、首都キーウの制圧も目論んでいるといいます。
カディロフ部隊:「命は守る。降参しろ」
ロシア軍のなかでも「特別な存在」だと専門家は指摘します。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は・・・。
軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「チェチェンで独自の勢力を持っているが、実際にはプーチン大統領と非常に関係が近く、特別な待遇を受けている。犯罪者が多い。いわゆる無法者でプーチン大統領の政敵に対する暗殺事件などで使われている」
犯罪者などで構成された無法者集団だといいます。
カディロフ首長はウクライナ軍が徹底抗戦する激戦地のマリウポリへの攻撃を命じています。
チェチェン共和国・カディロフ首長:「まだ地下室がいくつかあり、そこに数十人ずついるようだが、近日中に終わらせるつもりだ」
カディロフ部隊が12日に公開したマリウポリでの映像。
カディロフ部隊:「出てこい」
地下室を手投げ弾で攻撃。
チェチェン共和国・カディロフ首長:「我々の目的は町を占拠するのではなく、チェチェンの言葉で『悪魔』と言われるナチス、過激派を滅亡させることだ。国への責任として最高司令官(プーチン大統領)のいかなる命令も遂行する」
プーチン大統領への忠誠を誓うカディロフ首長。2人の関係は・・・。
軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「彼は自分がチェチェン共和国で傍若無人に自分の王国として振る舞うためにプーチン大統領にすり寄っている」
カディロフ首長とプーチン大統領の関係は、1990年代に始まったチェチェン紛争にさかのぼります。
チェチェン紛争はソ連崩壊後、ロシアからの独立を目指すチェチェン共和国の独立派と、分離を認めないロシア軍との間で起きた民族紛争です。
当時、チェチェン共和国の独立派を指導したのはカディロフ首長の父親、アフマド・カディロフ氏でした。
ところが・・・。
軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「その後(父親は)プーチン派に寝返って、それをプーチン大統領は利用して、彼をチェチェンのリーダーとしてそえた」
しかし紛争後、父親は暗殺されます。
その後、プーチン大統領が息子のラムザン・カディロフ氏をチェチェン共和国の首長に推薦したのです。
プーチン大統領は今回のウクライナ侵攻でカディロフ部隊を利用していると黒井氏は指摘します。
軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「ウクライナ軍の反撃にあって犠牲が多いエリアにあえてカディロフの部隊を投入している。カディロフの部隊は相当、今回も戦死者を出している。カディロフ部隊はロシア軍の正規軍に入っていないから、戦死者が増えてもロシア軍の戦死者に数えないで済むという利点ある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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