「悪い円安」景気回復にブレーキ? 企業・家計にダメージも

17日に4年8か月ぶりの円安水準となった円相場。円安は多くの日本企業にとってプラスに働くはずなのですが、いま、これが景気回復の足を引っ張りかねない「悪い円安だ」との指摘もあるんです。いったい、どういうことなのでしょうか?

 生活雑貨がずらりと並ぶ都内の100円ショップ。およそ1万点におよぶ品揃えで地元住民の生活を支えてきましたが、いま、ある懸念を抱えています。

ザ・ハンドレッド・ストアーズ 代々木八幡店 引地英一 店長
 「円安と石油(価格)の高騰ですね。高い仕入れ値で買わないといけなくなりますので」

 いまは事前に安く輸入した在庫でしのいでいますが、いずれ値上げせざるを得ないといいます。

ザ・ハンドレッド・ストアーズ 代々木八幡店 引地英一 店長
 「やはり100円の物が200円になるような状況になってくる。(商品の価格を)200円、300円で出すのは、とても心苦しく思っています」

 背景にあるのが、このところ急速に進む「円安」です。

記者
 「きょうは113円後半から114円前半で推移しています」

 17日、円相場は一時、114円97銭をつけるなど、今年に入って10円以上円安が進んでいます。景気回復が進むアメリカの長期金利が上昇し始めたことで、超低金利の日本円より、ドルを運用したいとの思惑から円を売ってドルを買う動きが進んでいるのです。通常、円安が進むと、輸出を主体とする企業にとっては円建ての売り上げが増えるため、業績が押し上げられるメリットがあります。

ホンダ決算会見 今月5日
 「為替が円安になると、企業の業績がアップするというのは、その通りでございます」

 ただ、現在は世界的に原油や原材料の価格が高騰。そんななか、円安が進むと、材料の輸入コストがかさみ、企業の業績が圧迫され、メリットよりデメリットが大きい「悪い円安」になってしまうというのです。

 「こういうのも高い。安くなった材料なんてないよね」

 こうした「悪い円安」は、中小企業の経営を直撃しています。健康器具を製造する都内の工場。原料のプラスチック樹脂の価格が高騰しているといいます。

日進工業株式会社 竹元盛也 社長
 「キロあたり30~40円のものが一気に100円上がったり、これまでの常識では考えられない値上がりのしかた」

 これに円安が追い打ちをかけました。

日進工業株式会社 竹元盛也 社長
 「高い材料でも買うしかないですし、そこから先はお客さんに(値上げの)相談ですね」

 新型コロナの感染拡大も落ち着き、「これから景気回復」というタイミングで襲ってきた「悪い円安」。企業が製品の価格を上げれば、賃金が上がらないなか、物価だけが上がってしまい、消費回復の足も引っ張りかねません。

大和証券 末廣 徹 シニアエコノミスト
 「食材とか、企業努力する余地が少ないものほどダイレクトに(価格が)上がっていく。日本経済が出遅れたから円安が進んでいるという事なので、少し円が弱い状態が続いてしまう」
(18日15:08)

▼TBS NEWS 公式サイト
https://news.tbs.co.jp/index.html

▼TBS NEWS 公式SNS
◇Twitter  https://twitter.com/tbs_news?s=20
◇Facebook  https://www.facebook.com/tbsnews
◇note  https://note.com/tbsnews
◇TikTok  https://www.tiktok.com/@tbsnews?lang=ja
◇instagram  https://www.instagram.com/tbsnews_insta/

▼チャンネル登録をお願いします!
http://www.youtube.com/channel/UC6AG81pAkf6Lbi_1VC5NmPA?sub_confirmation=1

▼情報提供はこちらから「TBSインサイダーズ」
https://news.tbs.co.jp/newsi_sp/tbs-insiders/

▼映像提供はこちらから「TBSスクープ投稿」
https://news.tbs.co.jp/newsi_sp/toukou/

powered by Auto Youtube Summarize

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事