4月は値上げの春。今年も「小麦」「電気」「ガス」「ケチャップ」などが「値上げ」します。節約術に長けたブロガー平塚さんのケースでは、2021年度は前年度に比べ、ガス代で月1000円上昇している例もあり、この春の更なる値上げの動きは経済的にはさらに厳しい状況になります。今年はさらにその先に「円安」「ウクライナ情勢」による物価の変動もあり得ます。29日に岸田首相が関係閣僚に指示した経済対策なども含めて解説します。
■「節約だけではカバーできない」 家計簿で支出の“見える化”を
街を歩いていても「値段が上がったな」という印象をお持ちの方、多いのではないでしょうか?その値上げについて、家計簿を使った節約術のブロガーである平塚千晶さんにお話を伺いました。
平塚さん宅(都内在住・5人家族)の月平均のガス代、2020年度と2021年度を比べると
▼2020年度・・・4826円
▼2021年度・・・5844円
月々で1018円上がっています。
さらに食費も月平均で、2019年度と2021年度を比べると
▼2019年度・・・6万3000円
▼2021年度・・・7万3000円
月々1万円上がっているということでした。
その平塚さんがつけている家計簿の中で、一番値上がりを実感しているのが「サラダ油」なのだそうです。2020年11月26日では253円、2022年 3月28日時点で455円となっています。
最近の値上げについて平塚さんは「値上げするたびに節約でカバーしてきたが、節約だけではカバーできないほどの値上げになってきている」と話しています。
そんな中でも、今からできる節約術として平塚さんは「家計簿をつけること」を推奨しています。家計簿をつけていない人というのは、自分の支出を把握できていない人が多いのだそうです。支出を“見える化”するだけで意識も変わり、月1万円は節約できるのではないかと話していました。
■相次ぐ値上げラッシュ 7年ぶりの値上げも
これから4月以降、そして4月中、さまざまな商品が値上げされると予測されています。
▼輸入小麦・・・国の売り渡し価格 前年比17.3%
▼大塚食品「ボンカレーシリーズ」・・・一部商品が10円の値上げ(7年ぶりの値上げ)
▼カゴメ「トマトケチャップ」など・・・3%~9%値上げ(6年ぶりの値上げ)
▼日本製紙クレシア「ティッシュペーパー」・・・家庭用紙製品30品目以上 10%以上値上げ
▼東京電力・・・標準的な課程の場合 115円値上げ
▼東京ガス・・・標準的な課程の場合 83円値上げ
平塚さんに、今後の不安な点を伺ったところ「購入頻度の高いお肉、お魚など、定価のないものの値段が更に上がると厳しい」と話しています。
TBSスペシャルコメンテーター星治:
4月は、もう一つ恐ろしいことが起きるんです。2021年に携帯電話料金がガクッと下がったんですね。その効果が1年過ぎてちょうど抜け落ちてくるので、前年比で比べると4月の携帯電話料金が上がるようになってしまう。おそらく4月の物価指数は相当上がってくるということになります。これはある意味では、菅前首相の置き土産のようなところがあるんですよね。ですから4月は非常に“物価高”というのが話題になると思いますね。
■物価高騰 懸念材料は「ウクライナ情勢」と「円安」
「みずほリサーチ&テクノロジーズ」の酒井才介さんは、5月以降も値上げラッシュが続く可能性が高いと語っています。その懸念材料として「ウクライナ情勢」そして「円安」の問題を挙げています。
まず、ウクライナ情勢についての懸念です。4月の値上げの主な要因は、新型コロナウイルスであり、ウクライナ情勢を背景にした原油高・小麦高、それらによる経済への影響というのは、これから本格化してくると酒井さんは話しています。
電気・ガス代は夏ごろまでさらにもう一段階値上げがあるのではないか。また、食料品も夏から年末にかけて段階的にさらに値上げしていくだろうと予測しています。
そして円安についてです。輸入品の価格高騰などが考えられますが、円安基調というのは当面の間続き、ウクライナ情勢による物価高騰にさらに拍車もかかるのではないかと話しています。そして、家計への影響として、2人以上の世帯における家計の負担が年間平均で6万3870円増えると予測しています。
星コメンテーター:
アメリカなどは7%ぐらい物価が上がったので、対抗策として0.25%利上げをしたんですね。次はさらに0.5%上げそうなんですけど。日本は利上げで対抗できないっていうのはなんとも苦しいところなんですね。日本は国債をいっぱい抱えてますので、国債の金利にも跳ね返りかねないということで、なかなか利上げに踏み切れない。全体として景気が少し良くなってもらって、将来少しずつ日本も利上げできるような環境になればいいんですけど、そうすぐには来ない感じですね。
■2兆円規模の総合緊急対策 その効果は?
このような値上げの状況を受けまして29日、岸田総理は物価上昇に対する総合緊急対策の策定を指示しました。4本の柱として
(1)原油の高騰対策
(2)穀物などの食料品対策
(3)中小企業の資金繰り支援
(4)生活が困窮する人などへの支援
これらを盛り込んだもので、規模としては2兆円程度と見られています。
この総合緊急対策について酒井さんは「物価高騰に対し、低所得者を中心とした生活支援策を迅速に行うという観点では評価できる。ただ、今後中長期的な政策も必要」と話しています。
さらに、TBS経済部の片山薫記者は「原材料の高騰、家計の負担に対し“予算規模が小さすぎる”という批判が与党内からも出てくる可能性がある」と話しています。
星コメンテーター:
2兆円を財源にすると言ってますけど、この2兆円は元々コロナ向けの予備費。それを景気対策に使っていいのかなという問題もありますよね。短期的には景気刺激がそれなりにあるかもしれないが、これら全てを借金で賄っているわけですから、借金があり、国債が発行され、将来不安があるということになると、若い人を中心にあまりお金を使いませんよね。消費には繋がらないので、いくらカンフル剤でやっても、景気全体が拡大していくというサイクルにはならないので、抜本的な効果には繋がっていかないということですよね。2兆円というと、1人あたり約2万円ですから、それほど好景気に対して強い刺激になるということはないと思います。
(29日20:03)
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