施行10年、暴力団構成員3分の1に 兵庫県暴排条例.

施行10年、暴力団構成員3分の1に 兵庫県暴排条例.  暴力団組員への利益供与などを規制する「兵庫県暴力団排除条例」(暴排条例)が2011年に施行されてから、4月1日で丸10年となる。暴力団排除に関する県民や企業の「責務」を明記したのが特徴で、兵庫県警暴力団対策課は「民間の意識を高め、『警察対暴力団』から『社会対暴力団』という構図に変えることができた」と強調する。この間、県内の暴力団構成員数(準構成員を含む)は3分の1以下に減少している。  19年10月、暴力団組員にあいさつ料(みかじめ料)を支払ったとして、兵庫県姫路市内の違法賭博店の元経営者らが、暴排条例違反容疑で県警に書類送検された。暴力団の資金源を断つため、特定の歓楽街であいさつ料を受け取った組員側だけでなく、渡した店側にも罰則を科す条文が、同年2月に加わっていた。   組員の不当要求行為を禁じる「暴力団対策法」(1992年施行)に対し、組員と関わる民間人や法人の行為にも規制を掛けるのが、暴排条例だ。あいさつ料などの提供や、組事務所に利用される不動産の売買契約を禁じ、悪質な違反には公表や罰金などのペナルティーも定める。県警はこの10年で、利益供与や組事務所の工事請負に関連し、2件の摘発、15件の勧告をした。   暴排条例は10年に福岡県が制定し、兵庫を含めて11年中に全都道府県で施行された。全国の構成員数はこの頃から減少傾向が強まり、10年の7万9千人から、19年には4割以下の2万8千人に減少。県内構成員数も、10年の2810人から19年に約3分の1以下の870人まで減った。   こうした社会的包囲網が強まった一方、15年に起きた特定抗争指定暴力団の山口組(神戸市灘区)と神戸山口組(同市中央区)の争いは終結の兆しが見えず、一般人との中間に位置する不良集団「半グレ」が台頭するなど、新たな課題も生まれている。      兵庫県警の担当者は暴力団排除条例について「事業者が暴力団との付き合いを断る根拠が生まれた」と話す。金融機関や不動産業者などが組員との契約を拒否する「暴排条項」も広がったが、脱退した組員の社会復帰にはなお課題が残る。   暴力団の所属を隠した契約で、組員が摘発される事件は増えた。県内に住む元組員の40代男性は「そもそも持ち家がある組員は少なくほとんどが身分を偽って賃貸で住んでいる。アパートや携帯電話の契約、金融機関口座の開設など、何を理由に逮捕されるか分からなくなった」と話す。   生活が厳しくても上部団体が求める上納金は変わらず、「最後は何のためにヤクザをやっているのかも分からなくなり、限界だった」と振り返る。   長く暴力団追放運動に携わる垣添誠雄弁護士(兵庫県弁護士会)は「暴力団の構成員数が減少しても、離脱者が仕事に就けず、組と関わり続ける『共生者』となっては意味がない。社会復帰の支援はまだ十分でなく、暴力団排除施策との両輪で人とお金をかける必要がある」と指摘する。

powered by Auto Youtube Summarize

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事