南アフリカで見つかった新型コロナの新たな変異株『オミクロン株』は、これまでにヨーロッパや北米など15の国と地域で確認されています。
世界中で警戒が高まっていますが、ヨーロッパでは海外への渡航歴がない人からも感染者が出ていて、すでに市中感染が起きている可能性もあります。
南アフリカの新規感染者数は、今月に入って急増の兆しが出てきていますが、警戒レベルは一番低いレベル1が継続されたままです。
ヨハネスブルグ日本人学校・緒方和幸校長:「(新規感染者)2万人超の状況からは、まったく落ち着いている。国が『学校閉鎖をしなさい』という状況ではないので、対面授業を続けている」
ただ、オミクロン株の出現で、入国制限に踏み切る国が、欧米を中心に増え続けています。
イスラエル、ベネット首相:「イスラエルを守るために、水際対策を強化しなければいけない」
イスラエルは今月から、外国人旅行客の受け入れを大幅に緩和したばかりでした。
一日当たりの感染者数が4万人前後の日が続くイギリスでは、危機感が強まっています。
イギリス、ジャビド保健相:「国外からのすべての渡航者に、陰性が確認されるまでの自主隔離を義務付けます。屋内や公共機関でのマスク着用も義務化します。変異株にまだ不明点が多いため、分析する時間を稼ぐことが目的です」
ヨーロッパでは今、再び拡大した感染によって、ロックダウンをしたり、ワクチン接種の義務化が始まったりと、各国が対応に追われている最中です。オミクロン株の出現は、その対応に追い打ちをかけることに他なりません。
アメリカ、ファウチ首席医療顧問:「変異株の流入は避けられないので、大事なのは備えられるか否かです」
オミクロン株は、すでに浸透しているのではないかという見方が強まっています。
オランダで先日、南アフリカから到着した航空機の搭乗者624人のうち、少なくとも13人がオミクロン株に感染していたという検査結果が出たからです。
ポルトガルでは、サッカーチームのクラスターで、選手・スタッフの13人がオミクロン株に感染していたことも判明しています。
スコットランド、スタージョン首相:「スコットランドで6人のオミクロン株感染が確認されました。南アフリカへの渡航歴も、渡航者との接点もない人もいます」
オミクロン株については、スパイク部分に多くの変異があること以外、その特徴などはまだ分かっていません。
ただ、イスラエルでは、3回目のワクチンを打っている人への感染が確認されています。
オーストラリア、ケリー主席医務官:「現時点で、前の株よりも症状が重くなる兆候はありません。感染力はデルタ株並みに強いため、感染が広がるでしょう。現時点で、ワクチンの効果がないという明確な証拠はありません」
南アフリカ医師会、クッツェー会長:「今後も重症化しないとは言い切れないものの、現時点の過剰な報道には医学的根拠はありません。ウイルスがワクチンの免疫を突破するとは言えません」
南アフリカでは、ワクチンの完全接種率が30%に届いていないことのほうが問題視されています。
南アフリカ、ラマポーザ大統領:「オミクロン株の発現で、世界が気付くべきです。ワクチンの不平等が続いてはならないことを。すべての人が接種をしない限り、危険が及び続けるのです。世界の富裕国は、途上国への渡航を禁じるのではなく、途上国の経済活動を支援し、各国民に対して直ちに十分なワクチンを供給すべきなのです」
ワクチン接種が進んでいない途上国では、変異株が出現するリスクが高いと言われてきました。免疫学の研究者は、このような警鐘を鳴らしています。
インペリアルカレッジロンドン、アルトマン教授:「ヨーロッパや北米と比べて、アフリカ大陸全体でワクチンはまったく足りていません。富裕国自らが未来の変異株を生み出しているも同然です」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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