宿泊無断キャンセルで親子逮捕|01月22日 京都府のニュース

01月22日 12時25分

ホテルの無断キャンセルを繰り返したとして、51歳の女とその息子が逮捕されました。
警察は、宿泊予約サイトで得られる特典のTポイントに目をつけて、全国のホテルなどで無断キャンセルを2200回以上行い、Tポイントを不正に得ていたとみて捜査しています。

逮捕されたのは、住所不定の自称・自営業、岸田治子容疑者(51)と息子で自称・会社員の治博容疑者(30)です。
警察によりますと、2人は去年8月、インターネットの宿泊予約サイト「一休」を通じて偽名で予約した京都市の4つのホテルを無断でキャンセルし、業務を妨害したとして、私電磁的記録不正作出・供用や偽計業務妨害の疑いが持たれています。
「一休」を通じて予約すると、特典として宿泊代金の一部がTポイントとして還元されますが、ホテル側の手続き忘れなどによって、無断キャンセルでもTポイントが付与されるケースがあるということです。
警察は岸田容疑者が特典のTポイントに目をつけて、全国のホテルや旅館の予約と無断キャンセルを2200回以上繰り返し、およそ190万円分のTポイントを不正に得ていたとみています。
調べに対して、息子の治博容疑者は「間違いありません」と容疑を認め、母親の治子容疑者は「覚えていません」と容疑を否認しているということです。
2人の所持品からは、60枚以上のTポイントカードなども押収されていて、警察は、気付かれないように、大量のカードを使いわけながら、不正にポイントを得ていたとみて、調べを進めています。

【ポイント不正取得の手口】
今回の事件では、無断キャンセルを悪用して、Tポイントを不正に取得していました。
その手口です。
通常、宿泊予約サイト「一休」でホテルを予約した場合、宿泊代金をホテルに支払ったあと、その一部がサイトから利用者にTポイントとして還元されています。
しかし今回の事件では、岸田容疑者は当日、無断キャンセルしたため、宿泊代金は支払われていません。
ホテル側は予約の際にサイトに登録されていた電話番号に連絡しましたが、つながらず、さらに名前も偽名が使われていたため、キャンセル料も請求できませんでした。
さらに無断キャンセルの場合、ホテル自らが、予約サイトに宿泊がキャンセルされたことを連絡する必要がありますが、連絡を忘れてしまうケースが相次ぎ、ホテルが一部を負担して、Tポイントがそのまま付与されていたということです。
警察の調べで、岸田容疑者は2200回以上の無断キャンセルを繰り返し、およそ190万円分のTポイントを不正に取得していたとみられています。

【専門家“個人確認強化を”】
今回の事件について、インターネットを通じた宿泊ビジネスに詳しい同志社女子大学の大津正和教授は「宿泊サイトの運営会社は、会員を集めるため、予約登録をしやすい方向で動いてきたが、利用者の個人情報の確認が徹底されていない部分が今回悪用されてしまった。利用者の個人確認や無断キャンセルが発生した時に対応できるように、クレジットカード情報の登録などで、確認を強化する必要がある」と指摘しています。
また、ポイント制度について、大津教授は「宿泊サイトの競争が激化する中で、利用者を獲得するために、多くのポイント提供制度が出てきているが、システム面では、宿泊施設の忙しさなどが考慮されていない。現場のホテルが利用しやすいシステムに改善していくことも今後、求められる」と話しています。

【被害にあったホテルは】
無断キャンセルの被害にあった京都市のホテルは、去年8月、宿泊当日の夜に、朝食付きツインルームの1泊の予約をインターネットの宿泊予約サイトを通じて受けました。
しかし当日、宿泊予定の2人は現れず、そのまま無断キャンセルされたということです。
このため、登録時に入力された電話番号に連絡しましたがつながらず、その後、警察から岸田容疑者が偽名で予約していたことを知らされたということです。
このホテルでは、無断キャンセルのあと宿泊予約サイトに連絡して手続きを行ったため、ホテル側が負担することになるTポイントは付与せずにすみました。
ホテルの担当者は「今回の事件は詐欺行為のようなもので、絶対に許せません。無断キャンセルは、毎月10件以上は起きており、本来宿泊できたはずの別の人が宿泊できなくなり、ホテルとしても大きな損害です。宿泊予約サイトには、入力する個人情報のチェックを厳格化するなど、対策してほしい」と話していました。

【一休コメント】
宿泊予約サイトを運営する「一休」では、「サイトが犯罪に利用されたことを真摯に受け止めています。安心して利用者や宿泊施設に使用してもらうため、システムの改善に取り組むとともに、悪質な無断キャンセルを防ぐための啓発を行なっていきたい」とコメントしています。

powered by Auto Youtube Summarize

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事