発達障害や不安障害の患者さんに「これだけ落ち込んでいるということは、私はうつ病なんでしょうか?」と聞かれることがよくあります。これは言葉で説明するのが大変難しいのですが、主治医の言うことを聞き入れ、「病名探し」をやめて本当にあなたが悩んでいることにきちんと向き合うことが大事ではないかと思います。
まず前提として、「うつ病」は脳や遺伝子的な問題があり、それがストレスや出来事がきっかけで不安やうつが生じるという病気です。落ち込みが3〜6ヶ月と長期にわたり続いたり、一旦良くなっても再発を繰り返す、中高年で発症することが多いという特徴があります。
それに対し、「二次障害のうつ」というのは、例えば発達障害の人がそれゆえに仕事でミスを繰り返してしまって傷つき、その結果不安や落ち込みがひどくなるというものです。パニック障害でも不安障害であっても、ベースの疾患を持っている人が、疾患がゆえに生活の中で傷つくことが多く結果として落ち込みが深くなってしまうことがあります。
ですが、落ち込みが軽いからうつではない、深いからうつだというものでもありません。
これを考えているといろいろな疑問がわいてきます。
1つ目は、「合併」なのか「二次障害」なのかをどうやって見分けるのか?という疑問です。二次障害ということは主観的に因果関係があることになりますが、これは並列で考えられないのか?という話です。現在の診断体系DSM-5の1つ前、DSM-4までは多軸診断といって同じ精神症状に対して階層性を分けていましたが、今は疾患に対して主観的な因果関係を持たせないようにするために多軸診断を放棄しています。
2つ目は、ドクターによって診断が違うのはなぜか?という疑問です。これは、ドクターがどういうことに注目しているかによります。主観性をできるだけ排除していこうすれば限りなく合併症という考えに近づきますし、主観的に、臨床的に考えればあるでしょうということになれば二次障害の方に近づきます。
また、不安やうつに質的な違いがあるかというと、あるという人もいればないという人もいます。古典的な精神医学ではあるとされていたのですが、近年は質的な違いは人間には見分けられないという方向に行っています。
3つ目は、脳や遺伝子は問診でわかるのかという疑問です。古典的には「了解性」で判断すると答えています。その人の落ち込みに共感できる場合は了解とし、それによって二次障害としてのうつなのか本物のうつなのかを見分けようとしました。今は、年齢や経過などを見つつ「総合的に」判断するということになっています。
ややこしいのですが、主治医が「発達障害が原因で落ち込んでいるんですね」と言ったらそれを信頼し聞き入れてみましょう。病名探しをやめて治療に専念していただくほうが建設的ですし、治療が進むと思います。
00:00 今日のテーマ
02:20 二次障害の「うつ」とは?
03:43 いろいろな疑問がわいてくる
09:07 病名探しをやめて、治療に専念しましょう
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