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どうして神奈川には運転免許試験場が二俣川にしかないの?

ココがキニナル!

神奈川県は運転免許試験場が横浜旭区二俣川の1ヶ所しかなく、慢性的な混雑で不便です。県内に複数箇所を設置しないのは、何故なのでしょうか。(吉閥さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

広大な用地や人員の確保、莫大な経費が必要なことから新設は困難だが、施設の建て替えや警察署での即日更新など、利便性の向上に努めている

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ライター:伊藤 健志

世の中に数ある資格の中で、とくに多くの国民が所持していると考えられるのが「運転免許証」だろう。その資格を取得するための場所が「運転免許試験場」や「運転免許センター」などと呼ばれる施設である。
 


二俣川にある神奈川県運転免許試験場


例えば、公認の自動車教習所を卒業しても、運転免許試験場に赴いて適性試験や学科試験に合格しなければ、運転免許は交付されない。従って、普通免許以上の免許を取得しようと思った人にとって運転免許試験場は、必ず1度は足を運ぶ場所、ということになる。

そこで今回は、運転免許試験場の実務を行っている神奈川県警察本部を訪れ「試験場が県内に1ヶ所しかなく不便だという県民の声に対して、県警としてはどのように考えているのか?」疑問をぶつけてみた。
 


海岸通りにある神奈川県警本部




かつて横浜には、二つの試験場があった?



キニナル投稿者のいう通り、運転免許試験場は各都道府県に1ヶ所以上設置されているが、その数は、都道府県ごとにまちまちだ。関東地方の場合だと、東京は3ヶ所、千葉は2ヶ所設置されているが、それ以外の埼玉、神奈川、茨城、栃木、群馬は、それぞれ1ヶ所で運営している(免許更新センターなどを除く)。

一方、前述以外で試験場が1ヶ所しかない県は、秋田、山形、富山、石川、三重、奈良、山口、徳島、香川、愛媛、高知、長崎、佐賀、熊本、大分、鹿児島の16県。それ以外の道府県には、複数の試験場が設置されている。例えば北海道の場合は、土地の広さの問題もあるのだろうが、実に6ヶ所も試験場が設置されているのだ。
 


全国運転免許センターの一覧(全国運転免許センターウェブサイトより引用


ただ、試験場が複数設置されている都道府県の場合でも、メインとなる試験場は1ヶ所で、そのほかはメインの試験場の補助的な役割を担っているケースが多い。1週間のうち、限られた曜日だけ技能試験を実施しているところや、学科試験のみを実施しているところ、警察署の一部が試験場と呼ばれているようなケースもあるようだ。

これは、公認の自動車教習所を卒業すれば技能試験は必要ないので、簡易的な設備の試験場でも適性試験と学科試験のみで運転免許を取得できるよう、受験者を分散させる意味合いがあると考えられる。
 


二俣川の2号館外観


そもそも、どうして都道府県によって試験場の数に違いがあるのか? その数はどうやって決められているのか? 県警の担当者に聞いてみたが「(試験場の数の違いについては)各都道府県ごとの実情によって複数設置していると思われますが、その詳細な設置理由については承知していません」とのこと。要するに、他県のことは分からない、というわけだ。

ただ神奈川県の場合は「神奈川県道路交通法施行細則の中で、免許試験場の位置は、現在の旭区二俣川の1ヶ所とすることが決まっている」のだという。この細則にはご丁寧にも、試験場の現住所までが記載されている。
 


神奈川県道路交通法施行細則は、ホームページ上で閲覧できる


現在の神奈川県運転免許試験場(通称:二俣)は、1963(昭和38)年10月に、それまで神奈川区および南区にあった2ヶ所の運転免許試験場を統廃合して現在に至る。このことは県警の担当者も「今回取材の依頼を受けて、私も初めて知りました」と驚いていたが、かつて神奈川には、同じ横浜市内という狭い範囲の中に2つの試験場が存在していたのだ。

しかし、なぜ統廃合したのか? またどうして二俣川だったのか? ということについては、県警にも当時の記録がなく、明らかではないという。