横浜中華街からエール! こんなときこそ、おうちで本格中華を!!
ココがキニナル!
横浜中華街の料理店の多くが臨時休業や開業時間を縮小する今、「あの美味しい本格中華がいつまた食べられるの?」とやきもきしている方々も多いはず。この状況、どうにかならないの?!(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
編集部からのそんな声に複数のお店が応えてくれた。中華街から横浜市民へのエール! そんな思いを込めて、中華街の料理店が教えてくれた「自宅でできるひと手間かけた本格中華レシピ」をご紹介!!
ライター:結城靖博
横浜中華街善隣門の横断幕
横断幕には、「#がんばれ中華街」よりも大きく「みんなありがとう」の言葉が印されている。この状況下でも来街者への感謝の思いが優先する、そんな街だからこそ、今回のはまれぽの依頼にも応じてくれたにちがいない。そのことに敬意と感謝を表しつつ、さっそくレシピを紹介していこう!
・重慶飯店の「野菜たっぷりピリ辛スブタ」
・福龍酒家の「福建風お好み焼き」
・龍華楼の「広東風本格ワンタン」
重慶飯店の「野菜たっぷりピリ辛スブタ」
一品目は四川料理の老舗「重慶飯店(じゅうけいはんてん)」さんがおすすめする「野菜たっぷりピリ辛スブタ」だ。
自宅での食事が増えると、ついついレトルト食品などに頼りがちに。免疫力アップのためにも、スーパーで普通に手に入る野菜をふんだんに使って、バランスの良い食事を心がけたい。
重慶飯店本館は横浜中華街の北側・開港道に面している
重慶飯店本館
料理を担当してくださるのは、重慶飯店総料理長の陳一明(ちん・かずあき)さん。
総料理長・陳一明さん(写真提供:重慶飯店)
料理を作る前に陳さんからひと言。
「お好みの野菜をたくさん入れて、ピリ辛スブタを作ります。今回はトマト・レンコン・ピーマン・パプリカ・キュウリ・ナス・タマネギ。彩りも豊かです。トマトは自然の甘酸っぱさがあるので、スブタに入れると美味しくなります! スブタにはパイナップルが入っているイメージがありますが、スブタだけのために買うのはもったいないので、今回は入れません。ご家庭の冷蔵庫にある野菜を使って作りましょう」
「野菜たっぷりピリ辛スブタ」レシピ
[材料](2~3人前)
※豚肉はとんかつ用の厚さ1㎝程度のものを使用。
各野菜の切り方は写真のように(写真提供:重慶飯店)
・豚肉肩ロース 180グラム
・タマネギ、キュウリ、ナス、レンコン、ピーマン、パプリカ 各30グラム
・トマト 80グラム
・衣=片栗粉(適量)+卵(1/4個)
・混合調味料=酢・砂糖(各大さじ3)+水・ケチャップ(各大さじ1)+豆板醤(中さじ1)+塩(小さじ1/3)
・ごま油(小さじ1)
・水溶き片栗粉(適量)
[作り方]
• 豚肉の調理
まずは下味をつける。1㎝幅(指の太さぐらい)に切った豚肉と、ひとつまみの塩をボウルに入れて軽く揉んだあと、卵を1/4個入れてさらに揉む。
豚肉の下味つけ(写真提供:重慶飯店)
豚肉に一切れずつ片栗粉をまぶす。高温で揚げるのでしっかり片栗粉をつけないと焦げやすくなる。両面が白くなるぐらいたっぷりつける。
ここは手間を惜しまず丁寧に(写真提供:重慶飯店)
いよいよ揚げていく。初めに油の確認を。温度は180度。高温で揚げたほうがパリッとなって美味しく仕上がる。
少し豚肉を入れてジュワッとなったら適温(写真提供:重慶飯店)
肉はなるべく低いところから入れる。高いところから落とすと油がはねてやけどのもと。怖かったら箸を使ってもOKだ。
肉が油面に触れてから入れるのがコツ(写真提供:重慶飯店)
肉が浮いてきたら火が通ったサイン。
• 野菜の調理
ナスだけ片栗粉をつけて、肉が完全に浮いてくる前に油に入れて、肉と一緒に揚げていく。ナスはちょっと茶色くなったら出来上がり。
ほかの野菜も火が通りにくいものから油の中へ。レンコン→タマネギ・キュウリ→ピーマン・パプリカの順。
トマトは揚げないでネ!(写真提供:重慶飯店)
トマト以外の全部を入れて4秒たったら油から上げる。
• 味つけ、仕上げ
フライパンに混合調味料(塩・砂糖・酢・ケチャップ・豆板醤)を入れたあと、トマトを入れて火をかける。沸いてきたら、水溶き片栗粉を入れて混ぜる。
先にトマトを入れるのがコツ(写真提供:重慶飯店)
とろみが出てきたら、揚げた肉と野菜をフライパンに投入。
ここからは中華っぽく手早く!(写真提供:重慶飯店)
肉と野菜をタレにからめて(写真提供:重慶飯店)
仕上げにごま油を数滴たらして(写真提供:重慶飯店)
ハイ、いっちょう上がり!(写真提供:重慶飯店)
あとはお皿に盛りつけるだけ(写真提供:重慶飯店)
混合調味料に豆板醤が入っているので、家飲みの晩酌にも合う大人向けのスブタだ。
トマトの酸味がアクセントになっていて、辛いけれども上品な味わい。もちろん、炊き立てのご飯にも相性抜群!
福龍酒家の「福建風お好み焼き」
続いての登場は福建料理の「福龍酒家(ふくりゅうしゅか)」さん。同店のおすすめは、福建省ではどの家でも作る代表的な家庭料理のひとつ「福建風お好み焼き」だ。
「福龍酒家」はもともと南門シルクロード沿いにあるが、現在店舗を改装工事中のため、たまたま休業中の知り合いの店「大福林(だいふくりん)」に間借りして営業中(店名は「大福林」のまま)。本来の店の新装オープンは、今年、2020(令和2)年8月の予定だ。
(© OpenStreetMap contributors)
腕をふるってくれたのは、「福龍酒家」店主の安藤忠(あんどう・ただし)さん。
「福龍酒家」店主の安藤さん、仮店舗「大福林」の前にて
料理を作る前に安藤さんからひと言。
「この時期、自宅で過ごすことが多い子どもたちと一緒に作れるメニューを選びました。ぜひご家族みんなで楽しみながら作ってください。福建省の人たちはサツマイモが好きなのでサツマイモの粉『地瓜粉(ティークアフン)』を生地に使いますが、今日はどのご家庭にもある小麦粉と片栗粉で代用します」
ちなみに「地瓜粉」は中華街の食材店でなら入手できる。下の写真は「大福林」のすぐそばにある「隆泰商工(りゅうたいしょうこう)」で売られていた「地瓜粉」。
この値段でかなりの量が入っている
「福建風お好み焼き」レシピ
[材料](1人前)
※福建省では牡蠣を入れることが多いが、今回は子どもでも食べやすいようにエビを使用。
具材はこのように細かく切っておく
・むきエビ、豚バラ肉、ニラ、ニンジン、干しシイタケ 分量はすべて適量
・小麦粉、片栗粉(各大さじ2)
・塩、味の素、こしょう(少々)
・溶き卵(少々)
・水(適量)
・サラダ油(適量)
・ごま油(少々)
・スイート・チリソースorポン酢(つけダレとして)
以上、具材も調味料も量はいたってアバウトだが、要するにあまり細かいことは気にせず、子どもと一緒にワイワイ楽しく調理してほしいという。
[作り方]
• 生地をつくる
ボールに小麦粉と片栗粉を入れて軽く混ぜる。
小麦粉と片栗粉は同量にする
続いて塩、味の素、こしょうを少々入れて混ぜる。
分量はこの程度
さらに溶き卵を少したらし入れる。
卵も少々。このぐらい
そこに水を何回かに分けて、少しずつ加えながらよくかき混ぜていく。
生地はトロトロよりも少しチャプチャプになるぐらい水を多めに。理由は薄く焼いたほうが美味しいから。そこが日本のお好み焼きとちがうところだ。
こんな風にタラァ~となるぐらいまで
• 具材を炒める
フライパン(店にはないので代わりに餃子鍋を使用)に、サラダ油をベースに香りづけのごま油も少し加え火をかけ、温まってきたら具材を入れて軽く炒める。
炒めるときは弱火で
生地と具材を混ぜて一緒に焼いてもいいが、具材を先に炒めたほうが香ばしさが増す。
軽く火が通るぐらいでOK
• 生地と一緒に焼いていく
生地をフライパンに入れて焼く。
生地は具材の上にたらし入れる
この状態でしばし触らずに待つ
1分半ほどしたらお好み焼き用のヘラやフライパン返しで裏返す。
ここは慎重かつ大胆に
裏返したら、なるべく薄く焼き上がるように、ヘラやフライパン返し、しゃもじなどで押さえつけながら焼いていく。ここが一番のポイントだ。
ときどき押さえる場所を変えつつ
ペッタンペッタンと、まんべんなく薄くしていく。
やはり1分半ほど焼けば終了
フライパンから取り出したら、食べやすいように4等分に切る
そして皿に盛り付けて、ハイ、完成!
下味がついているのでそのままでもOKだが、つけダレを添えるなら、大人向けにはピリ辛のスイート・チリソースがおすすめ。お子様にはポン酢も合うとのこと。どちらも市販のもので十分だ。
スイート・チリソースは砂糖・塩・唐辛子・水の混合調味料
今回はスイート・チリソースでいただく
つけダレがなくても軽やかな風味で美味しいが、スイート・チリソースをかけるとビールにピッタリという感じ。
生地のモチモチ感とエビのプリプリ感がいいハーモニーを奏で、何枚でもいけそうだ。
具材も味の調合もアバウトでOK。材料をたっぷり用意して、家族で競い合って作ってみよう! 誰のが一番美味しいかな?
龍華楼の「広東風本格ワンタン」
次のお店は広東料理の「龍華楼(りゅうかろう)」さん。ご紹介いただくのは、広東の家庭料理の定番「ワンタン」だ。
龍華楼は関帝廟(かんていびょう)通りから市場(いちば)通りに入ってすぐ左
市場通りは中華街ならではの裏路地のひとつ
いわば路地裏の名店といったところ
店内には有名人の色紙も多い
調理していただくのは洗志雄(せん・しゆう)シェフ
料理を作る前に洗さんからひと言。
「美味しい料理の秘訣は下準備。作る前にしっかり材料を用意しておけば、あとは簡単。親子で一緒に楽しみながらたくさん作ってみましょう」
「広東風本格ワンタン」レシピ
[材料](4~5人前)
材料は写真の中のもの以外にあとから加えるものもあり
・豚ひき肉 300グラム
・むきエビ 200グラム
・ニラ 1束
・ネギ 1/2本
・卵白(1個分)
・塩(小さじ1)
・味の素(小さじ1/2)
・砂糖(小さじ1/2)
・鶏ガラスープの素(小さじ1)
・すりおろしショウガ(小さじ2)
・こしょう(小さじ1/2)
・紹興酒(大さじ1)
・ラード(大さじ1)
・ごま油(大さじ1)
・すりごま(小さじ2)
・片栗粉(小さじ3)
※調味料は配合順に記載
・ワンタンの皮 市販のものを作りたい枚数分用意。今回の材料の量なら、40~50個は作れる。
[作り方]
• あんを作る
豚ひき肉に下味の調味料等を投入
塩、味の素、鶏ガラスープの素、卵白、すりおろしショウガ、こしょうの順に次々と投入していく。
全部投入し終えたら・・・
ひたすら混ぜていく。ここがとっても大事!
時計回りに手を回転させ、空気を入れるように混ぜていくのがコツだ。
ときどき手のひらでギュウッと押しつぶしたりもして
ねっとりと粘り気が出るまで頑張って混ぜていこう
次に紹興酒を入れてまた混ぜる。紹興酒は肉の臭みを消してくれる
ここでエビを投入し、さらに混ぜる
豚肉とエビがなじんできたら、ラードとごま油を投入
油はどちらか1種類でもOK。その場合は量を倍(大さじ2)に。「日本人にはごま油だけでもいいかも」と。
すりごまも加えて、さらに混ぜていく
ごまを入れることで風味がグッと引立つ。
片栗粉を入れて、なおも混ぜ
ニラをどっさり入れてまた混ぜる
最後にネギを入れて混ぜていく。ネギは仕上げのために少し残しておこう
ハイ、これでようやくあんの完成
具材と下味がまんべんなく混ざるように、何回にも分けて「混ぜ混ぜ」を繰り返す、このあん作りこそ決め手だ。
とはいえ一人ではなかなか大変そうなので、家族みんなでタッチ交代しながらやってみてはどうだろう。
• あんを皮に包む
ワンタンの皮は市販のものを使用。
あんを皮に載せる
載せる量はお好みだが、このぐらいだと食べ応えがあっていい感じ
包み方は三角状に半分に折ってから
左右の端を真ん中に寄せてシワを作る。これが一番簡単な包み方
そのほか包み方はいろいろ
上の写真の手前3つが、今回おすすめのシンプルな包み方。上の3つは、中国でよく見られるパスタのトルテッリーニに似た包み方。ほかにもいろいろできそうだ。自由な形に包んでみよう。
• ゆでる
鍋の中で沸騰したお湯にワンタンを優しく投入
ワンタンがくっつかないように、入れた直後に一回軽く混ぜ
あとはゆで上がるまで触らずに待つ。
7分間でゆで上がり。ワンタンの完成!
• 仕上げ
ここからは、さまざまな料理が考えられる。お皿に盛ってタレにつけてご飯とともに食べてもいいし、ラーメンに入れればワンタンメンになる。
今回は、「ワンタン・スープ」にする。
ドンブリに出汁醤油、ごま油、残しておいたネギ、こしょうを適量入れる
お玉杓子を使ってドンブリにゆで汁と一緒にワンタンを入れる
これで「ワンタン・スープ」の出来上がり
ワンタン自体にすでに下味がついているので、調味料は食べながら適当に調整しよう。
ツルンとした皮の食感、自作だからこそできる食べ応え十分な具材。それでいてサッパリしていて、子どもでもいくつもいけそうだ。あんを包むときは、不公平にならないように、必ず1かけらはエビを入れよう!
取材を終えて
中華鍋をチャチャッと扱うプロの手さばき。それは素人ではなかなか無理でも、プロだからわかるちょっとした「ひと手間」は、心持ち次第で誰でもできる。
こんなときだからこそ、「ひと手間」を楽しみながら、本格中華に挑戦してみよう!
―終わり―
取材協力
重慶飯店(本館)
住所/横浜市中区山下町164
電話/045-641-8288
https://www.jukeihanten.com/
福龍酒家
住所/横浜市中区山下町106-15
電話/045-663-8896
http://www.hukuryu.com/
大福林
住所/横浜市中区山下町138
龍華楼
住所/横浜市中区山下町137
電話/045-681-6078
Gallery art Truth ※「福龍酒家」をご紹介いただいた中華街のギャラリー
住所/横浜市中区山下町112-5 日絹パークビル1F
電話/045-263-8663
http://www.yccp.jp/art-truth/
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Yang Jinさん
2020年05月15日 15時02分
細かな料理の写真など素晴らしいですよー好味香菜ですね!