前記事⇨姉「進路どうするつもりなん?」俺「就職して早く稼ぎたい」姉「このお金でちゃんと大学出なさい」俺「えっ!?」→姉が通帳を持ってきて…【1/3】
トシ父「子供の前じゃ何なんで…」
トシ父「(無視)一次君、悪いけどトシと一緒に遊んでてくれる?二階で」
子どもに話フるとか、今考えるとずるいよなw
俺はみよ姉の反応を待った。
みよ姉「ここにいなさい、一次」
俺の手を握って、みよ姉は俺の行動を阻止した。
でもトシが立ち上がって、俺を引っ張った。
トシ「行こーや、俺ら居ない方がいいって」
どうしたらいいか迷ったけど、俺はトシを選んだ。
俺「転校するん?」
トシ「うん。まだ他の友達には言ってないけど..」
俺「そうか…」
トシ「いろいろありがとな」
俺「こっちこそ。トシのおかげで友達ができた」
トシ「俺は、お前のおかげで辛い思いしなかった。自分より不幸な人間がいるって大事だな」
俺「…は?」
トシ「トイレ借りるわ」
トシは一階へ降りてった。
はぁ?って感じ。俺不幸じゃねーし
てかそんな目で見てたんだなぁ…
あー、友達だと思ってたのは俺だけか。
俺の勘違いか。
そこまで考えたら、ぼうっとし始めた。
泣いちゃだめだ泣いちゃだめだ、トシが戻ってきたら泣いてるのばれる!そんなん恥ずかしい、俺が一人で友達出来たと喜んでたなんてな。
考える事をやめた。
そーいやみよ姉どうなったんだろう、
てかトシ戻ってくるの遅くね?
と思い、一階に降りてみた。
俺「あれ、トシ、いたの」
トシ「あーうん、もう帰るから」
俺「そっか。じゃあ…」
トシとトシ父はさっさと帰って行った。
みよ姉は無事だった。
俺「なんか….複雑」
姉「そーやねぇ…ねぇ一次。
トシ君さぁ、….いつ頃トイレ行った?」
そんな変な質問してくるもんだから、
一気に不安になる俺。
俺「二階に上がって、ちょっと経って、かな」
みよ姉はダッシュで鏡台に駆け寄った。
普段みよ姉が使っている財布じゃなくて、
多分大元のお金だと思う。
みよ姉の行動がどういう事か、俺にもわかった。
俺「え、嘘やろ?」
姉「わからん」
みよ姉はバッと札入れを見開いた。
空っぽだった。
みよ姉はその場に座り込み、俺は立ち尽くした。
二人とも無言だった。
ホットーケーキの時からそれ狙いだったのか?
1が連れて来た不幸を被ってしまって
姉「…なんで一次が謝るんよ。君が盗ったんやないやろ」
俺「でも、俺が、トシと友達になっちゃったから、こんな…」
姉「いいよ。友達になって、楽しかったんやろ?ならいいよ」
俺「よくないよ、お金….」
みよ姉がお金にうるさいのはよく知ってた。二人で暮らすには十分の収入があるのに、節電しろ節水しろとよく言っていた。
成人したお祝いに買った車も、借金はしたくないと言って現金支払いだった。
姉「こうなるやろうと、薄々わかっとったし。あの親子との手切れ金だと思えば安いもんよ、6千円」
姉はその長財布に大金をいれてなかったらしい。こうなる事を見越して。
巧妙な嘘だな
まさか、本当に6千円しかなかったと思ってる?
たいした女だ。
トシがしょっちゅう家来るようになって、
たまにお金が合わなくなる事があった事を。
最悪の場合を考えて、みよ姉はクレジットカードや印鑑、通帳を別の所へ隠し、
お金がよく無くなる財布にはレシート9割千円札1割をいれるようになった。
厚みをだしてお金ごまかしてたんだとw
六千円っていうには、今までに盗まれたお金の総額。
その時盗まれたのは2千円だった。
トシ父がみよ姉を引き止め、トシが盗むっていう役割りがあったんじゃないか。
あの二人はグルだったんだと思う。
みよ姉はそう言った。
信じられなかった。
みよ姉「人間ってそーゆーもんよ。
だから人に依存せんで、自立せんにゃいけんのんよ」
人間不信になりかけたけど、みよ姉の言うとおり、そういうもんだと割り切るようにした。
じゃないとやっていけない。
トシの姿はなかった。
他の連中は、突然俺に冷たくなった。
トシがいなくなったからだろう。
また俺はぼっちになった。
少し寂しかったけど、元々ぼっちだったから過ごし方は知っていた。
もう誰も信じない、そこそこの付き合いをしよう。
深い所まで関わっちゃだめ、同情しちゃだめ、人は人はだ。
とか、いろいろ自分を律した。
そんなこんな毎日を過ごしてたら誕生日になった。
俺もただじっとしてこの日を待ってたわけじゃない。
アルバムを引っ張り出して父母の顔を見たり、家系図を探したり、なんだかんだ足掻いていた。
毎年通り、ケンタッキーを食べてケーキを食べた。
いつ話してくれるんだろうってドキドキしてたけど、夕食では何事もなかった。
結局夜になった。
俺はみよ姉の部屋を訪れた。
去年みよ姉がそうしたように、
ファンタ2つを持って。
ファンタを一つ、みよ姉に放り投げて
みよ姉の隣に並んで座った。
みよ姉はアルバムの一枚の写真を指差した。
姉「これが森中家。私と君のおじいちゃんおばあちゃんの家ね。そこに生まれたのが、私の母さんと君のお父さん」
そして写真と照らし合わせながら、
森中家の家系図を説明してくれた。
祖父母の間に伯母と父ができて、
伯母が嫁いだ先が川上家。
俺の母方の家が山下家らしい。
この時点で俺は森中一次、みよ姉は川上みよ、という名前だ。
みよ姉の気然とした対応が素晴らしいな。
いい娘だな
俺が4歳の夏、その日も二家族で遊びに行った。
けれど帰り道、事故が起きる。
その場にいあわせたのは父、母、俺、伯母、伯母夫、従姉の長女(17才)、従姉の次女みよ(15才)の8人。
結果助かったのは3人のみ。
みよ姉、俺、伯母夫。
事故として処理されたけど、
みよ姉はそれは違うと言った。
自分の父が心中を企てたんだと、みよ姉は言った。
伯母夫は家族の保険金で借金を返済した後、自ら消えた。
これは前の会社の人から葬式に聞いた話で、
会社が倒産したのも、お金を投資していたのも
そればかりか借金をしていたこともみよ姉は知らなかった。
川上家と俺の家族が住んでいた家や車は売ってお金に替えた。
みよ姉は資格をとるため専門学校に通った。俺は幼稚園に預けられた。
冬、祖父は階段から転倒して亡くなった。
祖父の痴呆と体の衰えが原因。
本当にそうかはわからない。
俺の断片的な記憶を信じると、少し違う気がするけど。
俺とみよ姉は、母兄の養子となった。けど母兄は自分の家庭をもってる。
姉「だから、君と二人暮らししようと決めたんよ。君を施設に預けたくなかったし」
俺の背中をさすりながら、
「けどね、私も、いつまでも君と一緒ってわけにはいかないけん。
君はいずれ、一人で生きていかんにゃーいけん。その時がくるまでに、自立した人になるんよ」
祖父が経営してた駐車場と貸し家があるんだけど、母兄が、
その収入をみよ姉の口座に振り込まれるようしてくれた。
二家族と祖父の財産や、みよ姉のバイトの給料 とかで十分暮らせるお金はあったらしい。
うろ覚えなんだけどね
じいちゃんが階段から落ちた時、俺もそこにいたんだ
階段下でうずくまってるじいちゃんと、
階段上でじいちゃんを見下ろしてるみよ姉
っていう構図がすごい記憶に残ってる
ってか待て次号的な感じだな
明日まで気長に待つか
それにしても>>128…最悪なことしか考えられない…
確かにスレタイが過去形なのも気になるな・・・
多分ナーバスになっとるじゃろーけど。
そんな事に囚われないでいいけんね」
悲観せずに。
堂々と生きーさいね。
みよ姉は去年と同じ事をまた言った。
その日は久しぶりにみよ姉と一緒寝た。
みよ姉のぬくもりを感じて、
あー俺孤独じゃないんだなあって思えた。
静かに泣いたら、みよ姉は頭を撫でて抱きしめてくれた。
おやすみ。
おやすみ
学校の話になる。
とくに人とつるむ事は無かったけど、
周りの奴らは普通に接してくれるようになった。深い干渉はないけど、本当にクラスメイトとして交友した。
それから、二年生までよく遊んでた奴、
カズと同じクラスになった。
カズは何かと俺に声をかけてくれて、
気を遣ってくれた。
その気持ちは嬉しかったけど、煩わしくもあった。
クラスメイトに、ルミとナナという女子がいた。ルミは昨年兵庫から転校してきたらしく、関西弁だった。大人しい感じの子。
ナナは目鼻口がはっきりしていて可愛い子だった。
昔からそこそこモテるクラスの人気者だった。アヤとユイは同じグループにいた。
俺は少し、ルミが気になってた。
少し影があって、たまにふっと冷めた目でクラスを見てるルミの事を、もっと知りたいなーとか思ってた。
好機は訪れる。
すまん、ルミとナナです。訂正。
笑った顔が可愛いとか、清楚な所が好きとか。
俺は友達いないからこういう秘密を話す事はないだろうって思ってたんだと思う。
俺もルミが気になってたから、その話には
結構食いついた。もちろん、俺もルミが
好きってことはばれないように。
ある時、ナナが俺の事を好きという噂が
流れた。カズを通して知った。
あのナナがなんで?って思う部分もあったけど、
俺の事好きになる奴なんていたんだって驚いた。いやまだ確実な情報では
なかったんだけど、ちょっと浮かれた。
カズと同じ人を好きになってるっていう、
罪悪感がない分、ナナを好きになるのは
簡単だった。明るい子だし、みんなに優しいし、
良い子だなー尊敬するわ と良い所を見つけては好きになっていった。
一方で、カズがルミの事好きという噂も広まった。
もちろん俺が言いふらしたんじゃなく、カズがルミにアタックしすぎてばれた。
カズは俺に提案した。
一次はナナに、俺はルミに告ろう。
そしたらルミもカズが好きだったらしく両思いでちゃんちゃん。
俺もはじめはルミが好きだったからなんじゃそりゃーって投げやりになって
ナナに手紙で告白。ルミからカズ経由で
ナナも俺のこと好きだと聞く。
いきなり2カップル誕生でクラスからちやほや。
なんか俺クラスで目立ち始める。
あのナナが一次を…?!って感じで皆の目が
変わった。俺はイケメン扱いされだした。
みよ姉に、学校での恋愛話をするのは
躊躇した。彼女できたよーって言うのも
恥ずかしいってか、みよ姉そんな事に
興味なさそう。それでもそれっぽい事は
伝えた方がいいのかどうかドキドキしながらみよ姉に話してみた。
姉「まじか!君モテるんやー」
俺「うーん…あーカズがね、ルミっていう去年来た転校生に告ったけぇw」
姉「はぁー!ませてんねぇー!」
俺「みよ姉は小学校ん時モテた?」
姉「私は….まー隠れファンが多かったかねぇ。女子から恰好イイってのはよく言われたわーw」
俺「そうなんやーw….」
姉「君も好きな人おるん?」
俺「特におらんけどー、まー付き合いやけぇwカズに合わせて俺もおるって言いよるw」
姉「え、それがさっき言った俺の事好きな女子?」
俺の「まーねw」
姉「おっまえは…悪い男やのーw」
やっぱね、みよ姉に素直に言えんかったw
けど寛容な感じだったから安心した。
カズとルミは携帯をもってたから、しょっちゅうメールしてるって聞いた。
ナナも携帯もってるから、ルミと同じくらい頻繁にカズへ相談メールがくると言ってた。
携帯ほしいなーって思い出した。
連絡先は….カズ、ナナ、ルミ、みよ姉の四人だけになるだろう。
やっぱいらねって思った。
6月に宿泊学習があった。
チームは俺、カズ、ナナ、ルミ他4名だった。
夜は特にありませんでした。
宿泊学習自体は、カレーつくったり森の中でウォークラリーしたり普通に楽しかった
特筆する出来事もなかった
むしろ気になったのは、宿泊学習に行く前。
カレー作りの担当決めの時。
一人はリーダー、薪割りは一人で後は二人。
カズ「お前何やる?w」
俺「なんでもいいw」
ルミ「私食材切りたいなあ」
男A「じゃあカズも食材切れよw二人でやりーやw」
男B「それいいw決定なw」
ルミ「えーw」
カズ「ちょw強引やろーwじゃあ一次もナナとやれよw」
俺「えw」
ナナ「んー、私食材切りたいかもw」
カズ「じゃあナナやる?」
ナナ「えーカズはどうするん?」
カズ「俺なんでもいいしw」
ナナ「そんなw」
俺「ルミと一緒がいいんやろ?w」
ナナ「いやまあなんでもいいわwやっぱw」
ルミ「何それw一緒にやる?」
男A「いやいやそこはルミとカズがw」
カズ「お前は黙っとけw」
文字に起こしてみたら不自然な感じしないけど、俺には違和感があった。
なんか、ナナは俺よりカズに寄ってない?w
はしょって書く。
振り返ってみれば、ナナは俺に直接好きと言う事は無かった。手紙でも、ハートは書くし、気があるような事は書くけれど、
一度も「好き」という文字を見たこと無かった。
四人で映画見に行っても、ゲーセン行っても所々でカズに近寄っていた。
昼飯いってくる。
カズルミ、俺ナナ、四人っていうチーム分けで撮った。フレームごとにね。
カズルミ、俺ナナの時は、まあ普通だったんだけど、四人の時。
(ナナ)(ルミ)
(俺)(カズ)
と並んで撮る事になった。
3、2…とカウントされる。
1!となった時、ナナはひょいっと顔を
俺とカズの間にいれた。
後から、「一次君と隣になりたくて~」
とか言ってたけど、もう聞く気にならなかった。
その後もちょくちょくカズに接近したプリを撮った。
その帰り、ルミと二人きりになる機会があった。
もちろん話はナナの事だった。
俺「何が?」
ルミ「何って、気づいてあらへんの?!
ナナってほんまにアンタん事好いとんかねぇ」
俺「さあ…」
ルミ「うちさぁ、五年になった時、始めは一次君の事が好きやってん」
俺「えっ?!」
ルミ「でもさぁ、一次君、なんか近寄り難いオーラがあってん」
ルミ「そんな時、カズがうちの事好きとか噂で聞くやろ?もう一次君とかどうでもよくなったわw」
ルミ「カズ、クラスでも人気者やろ?かっこいいし優しいやん。まあカズならうちとつり合うかなーて思って、告られて付き合った」
ルミ「でもな、多分ナナも狙ってたんやろな。言っとくけどうちら、言うほど仲良くあらへんよwうちの事カズが好きっていう噂聞いてから、うちに近づき出したんよ、ナナは」
ルミと仲良くなったナナは、カズと仲が良くてすぐに自分に惚れそうな男子を見つけた。
見つけられた俺。
俺の事が好き!というデマを流し、
自分の事を気になりさせて、
まんまと俺に告白させた。
悪女である。
悪女は俺にその気があるようにみせながら、俺と付き合う事で友人のカズとも近づいていった。
いやお前モテるんだから、カズに直接アタックしろよ。俺を使うなよ。
騙された悔しさと自分の馬鹿さに腹が立った。
日がたって、ナナに直接聞いてみた。
俺「ナナ、俺の事好き?」
ナナ「え?wそんなんハズくて言えんようw」
俺「遠慮せんで言って?本当は誰が好き?」
ナナ「….秘密ぅーw」
ナナは逃げた。
微妙な距離感ができたまま夏休みが明けた。
カズはルミからナナへ鞍替えしていた。
いつのまにやらナナと付き合っていた。
フられた俺とルミ。
というか利用された俺とルミ。
もう、カズともナナとも距離をおいた。
恋愛する気になれんかった。
カズは俺に絡まなくなった。
カズも、ルミが俺の事を好きと知って俺に近づいていたんだと思うと…
噂の怖さを知った。自分が見聞きした事だけ信じようと思った。
爆笑された。
姉「ひっどい話やねwwwwいやー、小5をなめちゃいけんわーwwww腹黒すぎww」
俺「もうマジでない。もう恋とか無理や」
姉「諦めんなwwwまだ君11でしょwww」
俺「みよ姉は諦めてんの?w」
姉「馬鹿いうなwwwまだ22じゃwww
結婚願望有りありやしwww」
俺「え、結婚したいん!?」
姉「当たり前やん!せっかく女に生まれたんやけ、子供産んで育てたいわ」
俺「そっかー、みよ姉結婚できるんかねー」
姉「どういう意味w」
俺「みよ姉、彼氏とかいた?」
姉「一次に関係あるか!あほんだら!」
みよ姉、彼氏とかいたんかな。
今でも教えてくれない。
ルミは小6になると転校した。
ナナとカズとはまた同じクラスになった。
修学旅行。九州へ行った。
吉野ヶ里遺跡やスペースワールドに行った。
遊園地というか、こういう遊ぶ所に行った事がなかったのですごく興奮してた。
だからか知らんけど、高熱を出した。
スペースワールドには行きたかったから、
先生と病院に行って解熱剤もらった。
クラスメイトと同じ部屋で寝る事は出来なかったから、先生と同じ部屋で寝た。
どこで寝てもどうせぼっちだから良かったけど。
みよ姉にも電話した。
心配かけたくなくて、39度あったけど37度と嘘ついた。
その後電話を代わった先生が「39度あるんですが~」ってさらっとバラして意味なかったが。
この辺はだいたいそれが鉄板コースw
カズと同じ班。
俺らの班はタイタンとか怖くて乗れない派だったけど、室内にある暗闇を走るジェットコースターには乗れた。
人もいないし、言うほど怖くないし、穴場だった。
4、5回くらい乗って、酔ったからおりた。しかしカズ達は7回くらい乗ってた。
お土産屋さんでは、みよ姉にボールペンとストラップ買った。あとはお菓子と自分用に下敷きとか諸々。
万引きしている高校生2人と目が合った。
一人が周りをキョロキョロして焦ってて、もう一人が盗んでた。
馬鹿やってんなあ、と冷たい視線を送って、何も言わずに去った。
そんなクールな対応をした俺だけど、
俺も万引きした事あるけどな、とか自分にツッコミいれて自虐的に笑った。
九州でスペースワールドにいく修学旅行か、学校ごとで違うんだよなw
人数が多いほど、統率しやすい広島になるんだけどw
帰還式?みたいなのを最後やるんだけど、
先に抜けて家へ帰った。
みよ姉はすごく心配してて、俺の肩を抱きながら「頑張ったね、家に帰ろう」と言った。
季節はずれのインフルエンザみたいで、
学校へ行くのに二週間くらいかかった。
行った頃には、修学旅行のまとめみたいな授業はとっくに終わってた。
あっけなく修学旅行はおわった。
二週間もみよ姉は会社を休めるわけがなく、後半はほとんど一人で過ごした。
このまま学校行きたくないなあとか
考えた。
夏休みになると、みよ姉は英語の塾に行く事を勧めてきた。
中学生になれば英語の授業があるから、
今のうちに先取りしときぃ とな。
夏休みにする事もないので、承諾して塾へ通う事となった。
塾へ行くと、勉強したい!っていう意欲が
ある奴ばかりだった。
塾の友達は普通に出来た。学校の奴より話しやすかった。会話がね、低レベルじゃないんだ。話し方とかからして賢そうって思えた。話の内容はもっぱら中学受験の事。
賢い奴が集う学校なら、俺は俺のレベルにあった人間関係が築けるんじゃないかと思い始めた。
地元の中学へ行けば、今のメンツともまた三年間付き合わなきゃいけなくなる。
そんな無駄な中学生生活を送るなら、誰も知り合いのいない学校で新しく頑張ってみたい。
中学受験しようと決めた。
夕飯を食べながら、さりげなく。
俺「今日塾の友達が言いよったんやけどさ、中学受験するらしいんよね」
姉「へー、中学受験。私もしたわー」
初耳だった。
俺「みよ姉、したの?!」
姉「したよ。公立の中学やなくて、国立行った」
俺「じゃあ、…俺も受験したい」
姉「したいの?いいよ、私も勧めようと思っとったしwあーでも、国立一本ね。
私立はお金かかるから。受験用の塾行かんにゃーねぇ」
あっさりOKを貰って脱力した。
みよ姉が通っていた国立の中学じゃないけど、隣市にある似たような国立の中学を受けることにした。
それからの残りの小学生生活は受験勉強に費やした。
一月。入学試験を受けた。
国数と面接のの試験があった。
周りはみんな賢そうで気後れした。
国語は割とできたけど、数学は計算問題
くらいしか解けなかった。これは落ちたな、と悟った。
面接では
部屋への入り方とか、すごく意識した。
面接官「最近読んだ本の感想か、気になったニュースの感想を教えてください」
俺「・・・・・・・・・・・・。
中国の、冷凍…ギョーザ、中毒事件のニュースをみて…….怖いなと思いました」
なんでもっとうまい事言えなかったんだろうねw今思い出しても恥ずかしいwww
面接官「貴方が今、熱中している事を教えてください」
キターーーーーー!!!て興奮したw
これはすごく練習した内容だったからねw
俺「そろばんです。小さい頃からそろばんを習っていて、こつこつ努力してきました。その結果、珠算一級、暗算二段の資格をとることができました」
質問内容とはずれるけど、
みよ姉は資格をアピールしとけってアドバイスくれてた。
実際、面接官の人たちも、おぉって感じになってて手応えを得た。
その後2・3問答えて退出した。
算数は悪かったけど、落ちる気はしなかった。
結果合格した。
みよ姉は赤飯炊いてくれた。
めっちゃ喜ぶかと思いきや、安心したーっていう割と軽い反応だった。
小学校の卒業式。
みよ姉はもちろん来てくれた。
俺の小学校は、卒業証書を貰う時に、
将来の夢を大きな声で発表するっていうアクションをする事になってたんだ。
将来の夢とか、全然考えてなかった。
俺「みよ姉さ、子供の頃何になりたかった?」
姉「私?小3頃は教師やったけど…小5くらいからは税理士だよ」
俺「税理士?今働いてる会社?」
姉「そう。なんだかんだあったけど、夢に近づく事はできたねぇ」
俺「税理士にならんの?」
姉「んー、もう良いかなぁ。そこそこ稼げとるし。一次の将来の夢は?」
俺「みよ姉が諦めるんなら…俺が目指してもいい?卒業式で言わんにゃいけんが」
姉「一次が?!いいよいいよ、目指しい目指しい」
てなわけで、卒業式で俺は
「将来の夢は、立派な税理士になる事です」と公言した。
税理士の仕事とか知らなかったけどw
俺は驚いたよ。周りはボンボンばっか。
医者の息子や公務員の娘っていう奴が
ほとんどだった。
でも人間的に出来た奴が多くて、友達を
つくるのに苦労しなかった。いい奴ばかりだった。
先生達も熱くて面白い先生ばっか。
良い環境だったと思う。
みてる奴少ないようだし
中学はいって初めての授業参観。
みよ姉は行くと言ってくれた。
でもさすがに中学生だし、親が授業参観に来るのは皆恥ずかしいんじゃないかな?
来る人少なくて、みよ姉に注目されないかな?
とかいろいろ心配してたけど、
現実は斜め上をいった。
小学校でもそれは無かったわwww
公務員って普通に休めるんだなwww
俺もみよ姉もびっくりwwww
みよ姉、普通の授業参観だからっつって
ラフな格好で来たのに、他の保護者は
スーツとか着てきやがったwww
生活レベルが違うと思い知ったわ
でもまあみよ姉は気にしてるようでは無かったし、姉が授業参観に来たのは初めてだったから妥協した。
発表とか目立った事はしなかったけど、
みよ姉は家に帰ったらテンション高かった
姉「すごかったねぇ、授業参観。あんなもんなん?」
俺「いや、俺もびびったw」
姉「恐るべし金持ちw」
次の日、学校ではみよ姉の話ばっかフられた。
かわいいだのなんだの、悪い気はしなかった。
2人暮らししてるっていっても、「良いなあ」ぐらいで悪意は全く感じない。
ちょっと自分をさらけ出しても大丈夫かな、と思った。
きつかった。部活して帰ったら夜遅くになるから、帰宅部になった。運動は得意じゃないから好都合だった。
会社が忙しいのか、みよ姉の帰りが遅くなる日が多かった。その度に自分が料理を作って、みよ姉用にラップして机に置いて寝た。
みよ姉と一緒にいる時間が少なくなりだした。中学生になったから仕方ないよなあ、
とか楽観してた。
友達もいたけれど、浅く広く付き合うような癖がついてた。
そんな10月頃、俺は交通事故にあった。
学校の帰り道、チャリで駅まで走ってた。
左から車が来てるのを確認して、一旦停止。
車はとまってくれた。
だから俺は再びチャリをこぎはじめたんだが。
車も発進し始めた。
ぶつかった。
横からドンっとぶつかって、そのまま横にチャリごとバタンと倒れた。
右手で地面に着いて、放心。
あ、轢かれた?って気づくのが遅かったw
事故を目撃した近所のおっさんらが
わいのわいの出て来て、椅子を用意してくれた。
足がすごいガクガクしたけど、なんとか歩いて椅子に座る。
救急車呼ぶ?けがない?警察誰か呼んだ?
とかいろいろ質問されて、
あぁしっかりしなくちゃと思い、気丈に振るまった。
俺を轢いた車の運転手は若い女の人だった。大丈夫?ごめんね本当に…って心底
心配してた。
通りすがりの消防員の人が、救急車呼ぶ?としつこく聞いて来た。
そのうち警察がやってきた。
消防員の人が「緊急性は低いですね」
とか言って、救急車は呼ばなかった。
加害者の人が連絡先書いてって言ってきたんで、ペンを持とうとしたけど力が入らんww神経切れたかと思ったwww
一通り落ち着いて、みよ姉に連絡しなきゃって思った。けど携帯もってないww
消防員から携帯借りて電話した。
俺涙声ww
俺「あーみよ姉?」
姉「一次?どした?」
俺「ちょっと事故った」
姉「えぇっ?!大丈夫なん、怪我ないん?!」
俺「たいしたことない」
姉「頭打ってないやろーね?」
俺「うってない」
姉「本当に?警察呼んだ?」
俺「近所の人が」
姉「学校にも連絡しぃ!病院は地元のとこ行くけんね。救急車呼んじゃった?
俺「よんでない」
姉「すぐそっち行くけん。どの辺?」
俺「駅前」
姉「わかった、すぐ行く」
電話切った。
警察がちゃっちゃか動くのをみながら、
事故った時のを思い出して泣きそうになった。怖かったわ。
事故った時の状況を詳しく聞かれたけど、
そんなん覚えてるわけねーだろwww
無理矢理歩かされて現場検証した。
俺が、この辺でチャリ停めて~相手はこの辺で~車のどこにぶつかって~
と証言した事は全部物的証拠と違ってた。
バンパーの左側でぶつかった→実際はバンパーの右側に傷がある とかね。
なんか俺が狼少年みたいな感じで泣きそうになった。気丈に振舞っても動揺してたんだと思う。
40分くらいでみよ姉は来た。
警察とかにお世話になります~とかあいさつしながら俺にかけよった。
五体満足の俺を見て安心したのか、
心配したやろ!とか怒りながら、
俺の頭を自分に寄せてわしゃわしゃした。
人前で抱きつかれるのは嫌だったから、
俺もちょっと安心した。
俺に親切にしてくれたおっさんら一人一人に頭下げて
お世話になりましたありがとういございましたって言って回った。
結局4時間くらい拘束されて、
加害者の連絡先を聞いて帰った。
帰り道、病院に寄った。
もう時間がほとんど迫ってた。
3分前!って時に駐車場に入った。
診察券渡されて、先に中入っとって!
と言われ、車から降り、走って病院に入った。超健康体w
足と右手に数カ所打撲していた。
湿布もらって家に帰った。
チャリと車なので車の方が悪いんだけど、
大きな事故にならなかったから、姉的には
物損事故にする方針でいたようだった。
けど加害者は、姉の嫌いなタイプの人だった。
誠意のない人間。
しびれを切らした姉自らが電話をした。
姉「もしもし、Aさんのお宅ですか?
今日事故に遭った山下一次の保護者ですが」
男「え?えっと…?(向こう側で話す様子)あ、お待ち下さい」
A「お電話代わりました、Aです…。」
姉「Aさんですか?電話が無いものですから、こちらからかけさせていただきました」
A「すみません…。早めに電話しようと思ってたんですが…。一次君の怪我は大丈夫でしたか…?」
姉「えぇ、打撲でした。支払いはまだです、保険屋さんに連絡はとりましたか?」
うんぬん。俺にはわからない話は始まった。
加害者の女の人は、自分が事故ったことを
夫に言ってなかったらしい。
すごく気の弱そうな人で、俺を轢いた事を相当後悔して病んでるっぽかった。
ちょっと申し訳なく感じたけど、姉は
被害者面すんなやw被害者こっちやしw
とかキレぎみだった。
人身にしろ物損にしろ、車のバンパー修理代は三割こっちが支払う事を要求された。
加害者は全額でも良いとか言ってたけど、保険屋的には7:3が良いらしい。
多分保険屋が多く支払いたくないだけw
結局俺の知らない所で解決したみたいだった。
俺に親切にしてくれた近所のおっさんにしろ警察にしろ、大人がいて良かったなあって感じた。同時に俺はまだ子供なんだなって思い知らされた。
いつもみよ姉と2人でのんびりしてるんだが、今年のクリスマスはみよ姉がいなかった。
仕事だと言われたけど、薄々気づいてた。
男がいるんじゃないかって。
明日で終わらす
そう感じたのはいろいろ証拠があった。
今まで俺と同じリンスインシャンプーを使っていたのに、
急にエッセンスシャンプー?かわいいはつくれる!ってCMの奴使いだしたり、
俺と同じニキビ予防のスキンアクア使ってたのに、なんだか高そうな化粧品を揃えだしたり。
急におしゃれに目覚めだしてたんだ。
みよ姉には何も言わなかったけど、
応援する事を決めた。
中2になった。一番バカな年頃の中2。
けど特に馬鹿をする事もなく、だらだらと過ごした。真面目な学校だったから、悪ぶる奴もいなかったし、みんな型にはまった人間ばっかだった。
ちょっとくらい刺激が欲しいなあと思って、恋をしようかとも思ったけど、
ブスが大半だった。残りはかわいいけど性格キツそうな子。
仕方ないから、クラスにテロリストが入ってきて俺が果敢にやっつける妄想とかして
日々を過ごした。ある意味中2らしい。