最近、筆者がハマってずっと見ているのが、お笑い芸人ラランドのYouTubeチャンネル。チャンネルの中でも特に人気なのが、「お母さんヒス構文解説」の動画です。再生回数は130万回にものぼります。
まず、「お母さんヒス構文」とは一体何なのか。
「お母さんが論理を飛躍させる、または論点をすり替え、ヒステリックな語気を伴うことで相手に罪悪感を抱かせる構文」のことです。この構文の中にも、種類がいくつか存在するそう。動画内では、一番ベーシックなものとして、論理飛躍型というものが挙げられています。家族の発言を拡大解釈することで論理を飛躍させて問い詰めていく構文型です。
この説明だけでは、ピンと来ない人も多いかもしれません。動画内では、以下のような具体的な構文使用事例が挙げられています。
実家で子猫を飼っています。しかし、「自分は猫アレルギーだから帰省できない」とお母さんに伝えた時のお母さんの返答です。
「じゃあ子猫をいますぐ捨てろっていうの?捨ててってことね。あ、じゃあ虐待するような人のところに預ければいいんだ。」
猫アレルギーがひどく、実家に帰ると体調が悪くなってしまうから実家に帰ることができない、と、ただ、そのことを伝えただけなのに、なぜか論理が飛躍し、猫虐待の話にまで広がっています。猫アレルギーで実家に帰れないことと、虐待はどう考えても結び付きませんし、子猫を捨ててほしいとは一言も言っていません。
このように、言ったことが勝手に悪い方向に飛躍し解釈され、詰められる。これこそが「お母さんヒス構文」と呼ばれるものです。
この他にも、話していることとは全く関係のない別の論点を持ってきて優位に立とうとする「論点すり替え型」、自身を否定することによって「そんなことないよ」を引き出そうとする「自己否定型」など、計5種類の構文が紹介されています。
「お母さんヒス構文」
この言葉だけを聞くと、「ああ、ネタか。」と感じる人も多いかと思います。もちろん、動画内では面白可笑しく紹介されています。しかし、中には笑えない構文もあります。実際コメント欄を覗くと、「本当に救われる人いるよな、悲しみの言語化と共有化」「気づいたら号泣してた」など、苦しめられてきた人たちの声も目立ちます。「お母さんヒス構文」は、一種の虐待とも言えると思います。
しかし一番の怖さは、この構文を使った本人は、これを虐待だとは全く捉えていないことです。多くの人が、知らず知らずのうちに使ってしまっています。中高生であれば知識もありますし、この構文に対し、言い返すこともできるかもしれません。しかし幼稚園児や小学生となると、そうはいきません。小さい子供にとっては、お母さんが全てです。お母さんにそんなことを言われたら、「ごめんなさい」と謝るしかないのです。また、食事を抜く殴る蹴る怒鳴るのような、代表的な目に見える虐待ではないからこそ、人には言いづらくSOSを出しづらかったり、あるいは構文を浴びせられている側も虐待だと気づくことができなかったりすることもあります。
この「お母さんヒス構文」で傷つく子どもを減らすためにはまず、多くの人がこの「お母さんヒス構文」の存在を知ることが必要です。そして、この構文を使っている本人が「人を無意識のうちに傷つけてしまっていること」に気づくことが大切だと思います。
お母さんヒス構文は立派な虐待です。無意識のうちに使ってしまっていませんか?子供を傷つけてはいませんか?この記事が、「お母さんヒス構文」を知るきっかけになり、苦しい思いをする子どもを一人でも多く救えたら幸いです。
参考記事 朝日新聞 20日付25面13版 大人の責任だからごめんなさい 虐待死事件をきっかけに支援活動 犬山紙子さんの思い
参考・引用 ララチューン【ラランド公式】YouTubeチャンネル お母さんヒス構文解説https://www.youtube.com/watch?v=cQG5j8hdfUE