大学生の留学を阻む壁とは

私は国際文化学科に所属しており、周囲には留学したり、ワーキングホリデーをしたりする学生が比較的多いと感じます。しかし、コロナ禍で大きく落ち込んだ大学生の留学者数は、いまだに完全には回復していません。大学生の留学を阻む壁は一体何なのでしょうか。

今月8日に公表された官民協働海外留学支援「トビタテ!留学JAPAN」の海外留学に関する意識調査の結果によれば、留学に対して興味や憧れを抱いているものの留学をしない理由として8割以上の大学生が「経済的な余裕がない」ことを挙げています。私自身、スペインに交換留学した際には、深刻な円安と物価高に悩みました。1ユーロが170円を超えた時期もあり、他の日本人留学生も「円安そろそろ止まらないかな」が口癖になるほどでした。

その他の要因として考えられる要因は、就職活動への懸念です。コロナ禍で大学に入学した世代では、大学一・二年次に渡航制限により留学する機会を逃し、三年次には本格化する就職活動、四年次には採用選考と卒業論文に追われ、留学を断念せざるを得なかった学生も多いと考えられます。実際、周囲の留学経験者の多くは「新卒カード」という手札を残しておくために、休学あるいは留年しています。日本では、新卒一括採用が主流であり、その時期が近くなると否応なしに就活に向かわなければならないという認識が強く、学生の本業である学問が疎かになったり、採用選考を優先するために留学の機会を失ったりすることは、決して珍しくはありません。早期化する就職活動が、留学など学びの機会を奪う可能性があります。

大学生の留学を推進するためには、経済支援制度や採用選考の多様化が求められるのではないのでしょうか。

 

参考記事:

23日付 (教育の小径)留学をためらわせる費用問題、もっと支援を:朝日新聞デジタル (asahi.com)

8日付 「海外留学に関する意識調査」結果,官民協働留学促進キャンペーン『トビタテ!留学JAPAN』