アルコール依存症による社会的損失

2013年の厚生労働省研究班の調査によると、日本の飲酒人口は、男性の82.4%、女性の60.1%で、合わせて8428万人です。では、どのくらいの人が飲みすぎているでしょうか?
リスクの高い飲酒者(1日平均男性40g以上、女性20g以上)は、男性の14.4%、女性の5.7%が当てはまり、合わせて1039万人です。普段の1日飲酒量が純アルコール60g(ビール換算中瓶3本)以上の人を「多量飲酒者」とすると、男性の15.6%、女性の3.6%で、合わせて980万人にのぼります。
飲みすぎは様々な病気や事故、職場での労働損失を引き起こします。2011年に研究班がこれを金額に換算したところ、社会的損失は年間4兆1483億円という結果になりました。この金額は酒税の3倍を超えます。飲みすぎは個人や家庭だけの問題ではなく、社会全体の問題でもあります。


飲酒によるけがや病気の治療費は膨大

イラスト:飲酒運転

アルコールは、全身の臓器に害をおよぼしたり、事故などによる外傷を引き起こしたりします。2011年のWHOの報告では、ある要因が社会に与える影響を測る指標であるDALY(障害調整生命年)に換算すると、飲酒は3番目に大きな健康リスクになるといわれています。(WHO Global status report on alcohol and health, 2011.)
日本では飲み過ぎによる病気やけがの治療は年間1兆101億円と推計されています(2011年厚生労働省調査班)。


労働や雇用の損失が社会を圧迫

イラスト:飲酒運転

飲みすぎによる労働・経済への影響は、治療費を大きく上回ります。飲酒や体調不良により生産性が低下する、病気休暇や死亡により労働力を失うなど、労働損失と雇用の喪失は年間推定3兆947億円にも上るのです。また、自動車事故・犯罪・社会保障によるその他の社会的損失は、年間約283億円(2011年厚生労働省調査班)。まさにWHOが言うように、「アルコールの有害な使用は、個人や社会の発展を危険にさらしている」のです。


飲酒問題の早期発見・介入がカギ

社会的損失を抑えるためには、飲酒問題の早期発見・介入が欠かせません。飲酒運転対策も含む職場でのメンタルヘルス対策はもちろん、救急医療や内科・外科での介入、節酒・禁酒指導など、早期に飲酒問題を発見し、治療に結びつけていくシステムやネットワークが求められています。


まとめ:特定非営利活動法人ASK※外部サイトへ移動します。
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