飲酒による事件・事故
~アルコールがもたらす悲劇と加害~

転倒、転落、溺水など、アルコールによる事故や事件は後を絶たず、ときに死を招くこともあります。また、暴力、飲酒運転、窃盗などの犯罪にもアルコールがからんでいることが少なくありません。背景にあるアルコール問題に介入していくことが、さらなる悲劇や犯罪を防ぎます。


脳のマヒが事故に結びつく

イラスト:飲酒運転

飲酒にまつわる事故でもっとも多いのは、階段や駅のホームからの転落です。2011年度の関東運輸局管内の集計によると、ホームでの人身傷害事故の62.5%が酩酊者によるものでした。
酔って足が千鳥足になるのは、アルコールが脳をマヒさせるから。理性をつかさどる大脳新皮質⇒運動機能をつかさどる小脳や感情や本能をつかさどる大脳辺縁系⇒生命機能をつかさどる脳幹へと、外側から内側へ脳をマヒさせていくのです。そのため、酔いが進むと、判断力や自制心が鈍り、運動機能も低下して転倒・転落・交通事故が起きます。また外で寝込むことによる事故や凍死、吐いたものを詰まらせての窒息など、命を危険にさらす事故や事件が起きやすくなります。


飲酒はさまざまな犯罪の背景にもなる

イラスト:飲酒運転

飲酒による脳のマヒは、暴力や犯罪の引き金にもなります。
日本民営鉄道協会は、2011年度に起きた駅係員や乗務員などに対する暴力行為の加害者の75%が飲酒状態だったと発表。また2010年の犯罪白書によると、50代男性の窃盗の23.3%、60代の19.6%が過度の飲酒を背景としています。飲酒運転に関しては、検挙経験者の男性の66.3%、女性の50.0%が多量飲酒者。男性の47.2%、女性の38.9%にアルコール依存症の疑いがあると、神奈川県警が報告しています。
飲酒がらみの犯罪は、背景にあるアルコール依存症や多量飲酒への適切な介入が行われないかぎり繰り返されます。再犯防止の取り組みとして、警察庁は飲酒運転による免許取消処分者講習に、飲酒習慣を見直すプログラムを取り入れました。刑事施設でも、アルコール問題を持つ受刑者に対して教育プログラムを導入するところが増えています。


まとめ:特定非営利活動法人ASK※外部サイトへ移動します。
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社会的損失