ガキの頃にあった幽霊の女の子の話wwwww

おもしろ/VIP系2chスレ 0


20: 2018/06/02(土) 02:20:33.783

「うー悔しいー」
なんだか先週も聞いた気がするフレーズだ。

「また俺の勝ちだね」
「今回の罰ゲームはなによー言えー」
「うーんとね~、それじゃあ~」

ワザとらしく俺は勿体振った。

21: 2018/06/02(土) 02:21:10.474

実は3日前くらいから決めていたのだが、それを言うと「最初から勝つつもりだったんだな~」 とか怒られそうな気がしたのだ。

「ミキは何歳なの?」
「それが罰?」
「うん」
「変な罰~」

彼女はどこか嬉しそうでいて、寂しそうだった。 花のような笑顔を向けると答えた。

「9歳だよ、小学校4年生」

22: 2018/06/02(土) 02:21:42.448

直後、大きな音が俺の背後で響いた。 実際には響いてなかったかもしれない。 何故なら振り返っても何もなかったからだ。 事故が起きた訳でも、モノが落ちた訳でもないようだ。

「びっくりしたね」
言いながら振り返ると、ミキはいなくなっていた。 この日は待たずに帰った。

23: 2018/06/02(土) 02:22:16.100

また一週間がたった。
俺は目が覚めると、そのまま動かずに考え始めた。

実は先週ミキに会ってから、学校の先生にミキの事を聞いてみたのだ。 俺の住む街は大きな小学校が一つあるだけだから、ミキも当然そこに通っている筈。

だが、結果としては大外れだった。
ミキという名前の小学4年生は数人いたがどれも違う子だったし、ミキとういうあだ名の子も、あの公園であったミキとは違った。彼女は一体何者なんだろう。ほんの少しの不安が、俺の心に突き刺さった。

24: 2018/06/02(土) 02:23:01.913

俺はそれを抜こうとせずにベッドから起きて着替えた。 風船に針を刺しても、抜かなければ割れない動画をテレビでやっていて、俺の頭ではそれが再生されていた。

この不安は無理にとったらダメなのではないだろうか、俺の心も風船のように割れてしまうのではないだろうか。

針の痛みを誤魔化したくて、冷水でよく顔を洗った。

25: 2018/06/02(土) 02:23:41.428

それから公園に行ってミキと遊んだ。 決まってミキは気づくと傍に現れて、勝負をする。 決まって俺が勝つけど、俺はもうミキの詮索をやめていた。

ミキが何者かより、ミキと一緒に遊ぶ事のほうがずっと大事だったから。

変顔を10秒だったり、三回回って犬の真似だったり、そんな普通の罰ゲームをした。 ミキは悔しそうでいて楽しそうに罰ゲームした。

そして、罰ゲームをするのがミキとのその日のお別れの合図だった。 必ず一瞬俺は視界を奪われる。 砂が目にはいったり、足元で虫が飛んだり、くしゃみをしたり。

するとミキは消えた。
最初からそこに居なかったかのように、心綺楼が晴れて消えるように。

26: 2018/06/02(土) 02:24:23.537

5回もミキと遊ぶころには、このルールのような決まりにも慣れてきて 10回遊ぶころには、俺は自ら目を閉じてミキが帰るのを邪魔しないようにした。

傍から見ても、自分から見ても不思議な関係だとは分かっていた。 だけども、ミキとの時間が俺にはとても愛しくて、謎は謎のままで良かった。

15回遊んだくらいで気づいた、俺はミキに惚れていた。 毎週1度きり、それもたったの数時間だけしか会えない。

27: 2018/06/02(土) 02:24:56.962

そんな状態に俺は焦ってしまった。
年が明けて少したある寒い日。
この日も俺は勝負に勝った。
ミキはホッペを膨らませて悔しがってみせた。

「また君の勝ちか~悔しいなー」

「ねぇ」
「なに?」

ミキは少し身構えた、様に見えた。

「ミキはさ、一体誰なの?どうしていつもいきなり現れていきなり消えるの?」

28: 2018/06/02(土) 02:25:27.019

俺はミキを直視できなかった。
言いたくない事の一つや二つ誰にだってあるじゃないか。 俺は言った事を後悔した。

「ごめんミキ、今のはやっぱなしで・・・」

ミキはそこに、いなかった。

「ミキ・・・」
「ミキっ!!」

名前を呼んだって出て来る筈ない。頭でわかっていても心はわかっていなかった。 針は抜けおちて、俺の風船は割れてしまっていた。

29: 2018/06/02(土) 02:25:55.128

それから一週間がたって、俺は公園にいった。 ミキが来たらまず謝ろう。そう思った。 でも、ミキがくる事はなかった。

ここで初めてミキに嫌われてしまったんだと、言ってはいけないことを言ってしまったのだと実感した。

涙が、溢れて止まらなかった。
零れおちる涙を必死に拭って、きつく口を噛みしめて堪えようとした。 悪いのは俺だ。俺が余計な事を言ったから。 悔しさと、悲しさがグチャグチャに混ざりあって、涙はやっぱり止まらなかった。

30: 2018/06/02(土) 02:27:36.097

ミキと会えなくなってからも俺は日曜の朝は公園に行った。

数分ベンチに座ってミキとの日々を思い出して、それから家に帰る。 そんな日々を過ごしていた。

俺がミキと再会したのは半年後。
その日の前日は大雨で、沢山の雨を降らしたお詫びをするかのように空は澄み切っていた。

水溜まりに反射した光を一杯に浴びながら、公園に入るといつものようにベンチに座ろうとする。

この日は先客がいた。

「ミキ!?」

31: 2018/06/02(土) 02:28:07.817

ミキがいた。いつも俺が座ってる場所の隣に、静かに座っていた。

「ミキおれ!俺ずっとお前に!」
言葉が溢れて支離滅裂になってしまっていたが、それでもなんとか言おうとするとミキが口を開いた。

「ねぇ、遊ぼう?」
「え?」
「だから、遊ぼう~って言ってるの!」

ミキはニコッと笑う。その笑顔を再びみれただけで、何もかもどうでもよく感じた。

「今日はブランコしようよ」
「いいよ、勝負するでしょ?」

32: 2018/06/02(土) 02:28:37.788

「もっちろん!今日こそ私が勝つよ!」

「こっちだって!」
まずちゃんと謝れよって思うけど、当時の俺はまたミキに会えた喜びですっかり忘れてしまっていた。 なんとも単純な子供だった訳だ。

この日初めてミキに負けた。
別に手を抜いた訳とかじゃなく、純粋に負けてしまった。

「まっ、負けた」
「わーい!初めて君に勝ったね!」

33: 2018/06/02(土) 02:29:05.865

ミキは嬉しそうにピョンピョン跳ねた。 その度に白い色をしたスカートが跳ねて、俺は顔を赤くした。

「罰ゲームは何をすればいい?」
「夕日を見せて」
「夕日?」
「そう夕日」

この街で一番夕日が綺麗に見える所に連れて行って。 そうミキは付け加えてた。

34: 2018/06/02(土) 02:29:36.694

「無理かな?」
「ううん、無理じゃないよ」
「一緒に行こう」

俺の差し伸べた手を、ミキはそっと触れて、それからギュッと握ってくれた。 なんで夕日だとか、そういう疑問は捨てた。 ミキといられる。それだけで俺は十分だったんだ。

「それで、どこに向かってるの?」
「山の家だよ」
「山の家?」

「うん、学校のお泊りなんかで使う大きな家があるんだ。そこの近くにある小さい広場が一番夕日が綺麗に見えると思うんだ」

35: 2018/06/02(土) 02:30:07.614

「おぉ~それは楽しみ!」
山の家ってのは正式名称じゃなくて別にちゃんと名前はあったけど、10歳の俺には読めない漢字が使われてたりして、結果山の上にあるから山の家
と呼んでいた。

その山の家自体は特別高い所でも特別遠い所でもなかった。 大人の足で30分程度くらいだろう。 それでもその時の俺には一番高くてとっても遠い場所に感じていた。

「少し休憩しよっか」
「うん、疲れたね」

俺はミキの足がゆっくりになると休憩をはさんだ。子供ながらに気づける疲れのサインがそれくらいだったのだ。

「腹へったなー」

36: 2018/06/02(土) 02:30:32.704

モロ創作だけどいいのか

39: 2018/06/02(土) 02:32:31.192

>>36
気づいてないフリで読んでよ・・・

37: 2018/06/02(土) 02:30:58.934

近くにある工場の壁掛け時計を見たら時間はおやつ時を回っていた。朝も昼も食べてない俺はもうクタクタでぺこぺこだった。

「ごめんね」
ミキが下を向いて謝った。

「ちがっ、ミキのせいじゃないよ!」
「でもお腹すいたでしょ?」

「別にっ!ハラヘッタナーってのは、頑張るぞ!って意味の言葉なんだ」

「ふふっなにそれ、へんなの」
「さっあと少しでつくから頑張ろう」

38: 2018/06/02(土) 02:31:47.422

「うん!ハラヘッタナ~」
「うっ、それはやめて」

ミキと軽口をたたくと、少し疲れが取れた気がした。少し空腹が紛れた気がした。 それから足をひたすら動かして坂道を上った。

俺もミキもなぜか笑顔だった。
広場へつくとミキはベンチに座り込んで「ついた~」と叫んだ。

40: 2018/06/02(土) 02:33:22.581

俺もすぐにでも座りこみたかったけど、近くにある自販機へ行って500mlのジュースを1本買った。 全財産が16円になった。

「ミキ飲んでいいよ」
「ありがとう」

ミキは砂漠を旅してきた人みたくジュースを流し込んだ。 一通り飲んで満足したのか、ぷはぁ~なんて言っている。

「君は飲まないの?」

41: 2018/06/02(土) 02:34:10.745

「俺はのど乾いてないから大丈夫だよ」

「うそだ」
うそだった。喉の砂漠化問題は非常に深刻で今ならお風呂一杯の水も飲み干す自信があった。

「うそじゃない」
それでも我慢しようとしたのは、子供ながらの恥ずかしさだった。 具体的に言うと、間接的な口と口の重ね合わせになってしまうというもの。

「君のお金で買ったんだよ?君が飲まなきゃ変だよ」

42: 2018/06/02(土) 02:35:06.078

「俺はもとから変だ」
「へりくつ!」
「ねぇ、なんでいじはってるの?」

ミキの表情は段々心配そうに変わっていって、俺は根負けした。

「いや、間接キスになるから恥ずかしいし・・・」

「へ?」

ミキの間抜けな反応に少しイラついた。こっちは死ぬほど真剣なのだ。のどが干からびる程真剣なのだ。 ミキは間抜け面を優しい笑顔に変える顔をこっちに寄せて、そっと口と口を合わせた。

「これで間接キスは恥ずかしくないでしょ!」

43: 2018/06/02(土) 02:36:09.045

顔を真っ赤にしてミキはジュースをこちらに向けた。

「うっ、うん」
俺も同じく顔を真っ赤にしながらジュースを受け取ると、すぐさま流し込んだ。 本当に生きかえったような気分になって、ほとんど飲んでしまった。

それから二人で笑いあってベンチに座って手をつないだ。

「あっ!見て!」
「うん、凄い綺麗だ。本当に、凄い綺麗」
「ね!綺麗!!」

44: 2018/06/02(土) 02:36:57.382

凄いと綺麗しか言えなくなっていた。俺もミキも。

でも本当にその時見た夕日は、この世で最も綺麗だった。 夕日が沈んで、静かに黒色が広がっていく。 等間隔に並んだ灯りがそれぞれ暗闇を照らして、それがまるで終わりを告げているように感じた。

「ミキ、ごめんね」
「ううん、私こそごめん」

俺はミキの手を少し強く握った。ミキも俺の手を少し強く握った。

「私ねお化けなんだ」
ミキは震えてた。俺はミキに肩を寄せた。少しでも震えを抑えてあげたかったんだ。

45: 2018/06/02(土) 02:38:12.808

「なんとなくわかってたよ、ミキいきなり消えちゃうもんね」

俺は少しでも明るく冗談っぽく言ったつもりだったが、俺の声も震えていた。 別にミキがお化けだからじゃない、なんだかミキが遠くに行ってしまいそうに感じたから。

「私もね、私がよくわからないんだ。ミキって名前と年齢、これしかわかんないの」

「それに君以外の人にはちゃんと話したり触れたり出来た事ないんだよ」

「俺は特別だったんだね」
「うん、君は特別」

俺は空いてる片手でミキの頭を撫でた。ミキはくすぐったそうに笑ってくれた。

「どうしていつも罰ゲームが終わると消えちゃったの?」

46: 2018/06/02(土) 02:39:01.306

「あんま長くいると他の子も公園に来ちゃうでしょ?そしたら君が独り言いってるようにしか見えないじゃない」

だから罰ゲームが終わった帰るって決めてたんだ。そうミキは続けた。

「まだ、私に聞きたい事あるでしょ?」
「あるにはあるけど・・・」
「ちゃんと答えるから、今日は逃げたりしないから」

ミキは震えながら笑顔をつくった。それは笑顔というよりも泣き顔のそれだった。

「それじゃあ一つだけ聞かせて」
「うん」

47: 2018/06/02(土) 02:39:52.953

「好きです、俺と付き合ってください」

「え?え!??」
驚いて、え?え?と繰り返すロボットになってしまったミキの頭にチョップを入れる

「うぐっ」
「答え、聞かせてよ」
「だっ、だって他に聞きたい事ないの?」
「ないよ、それよりも告白の返事を教えてよ」

本心だった。ミキの正体も過去も無理に聞く気はなかった。ただこの子が好きなんだと。

48: 2018/06/02(土) 02:40:34.970

それだけだった。
「やっぱり君って変だね」そういうとゴホンとミキは整える。

「私も、君の事が好きだよ」
多分俺の顔は真っ赤だったと思う。でも同じくらいミキの顔も真っ赤だった。

俺は握っていた手を緩めるとミキをそっと抱きしめた。 ミキも俺の背に腕を回すと優しく抱きしめた。

「でもね、君とは付き合えないんだ」
「なんでさ、お化けだから?俺はそんなの気にしない!」

49: 2018/06/02(土) 02:41:43.534

「ふふっ、君は優しいね。でもそれだけじゃないんだ」

「今日でお別れなの」
「おわかれ?」

その四文字が重く全身にのしかかる。

「なんとなくわかるんだ。私は今日が終わると消えちゃう」

「貴方とはもう会えないんだ」
ミキは笑おうとして、笑えなくて泣いた。

俺も泣いた。こんなのあんまりだ。せっかく想いが伝わったのに。

「ねぇ、私貴方と会えてすごく良かった」

「俺もだ、ミキと過ごした日々絶対忘れない」

それから俺とミキは強く抱きしめあって、ミキは消えた。

50: 2018/06/02(土) 02:42:30.911

終わり

お目汚しすまそ

55: 2018/06/02(土) 02:48:48.308

>>50
終わりの始まり

56: 2018/06/02(土) 02:49:39.699

>>55
普通に終わりです
この後は特に書いてないよ

51: 2018/06/02(土) 02:45:00.701

おつ
こういう切ない話好き
10歳~14歳くらいくらいのこういう感覚って長い人生の中でもう味わえないよね

53: 2018/06/02(土) 02:46:37.860

>>51
ありがと
中学卒業するまでって本当に不思議だよな

57: 2018/06/02(土) 02:56:05.339

>>53
中学不登校の俺に喧嘩売ってる?

58: 2018/06/02(土) 02:57:46.938

>>57
えぇ・・・
なんかごめん

59: 2018/06/02(土) 03:00:02.041

それくらいの頃は問題起こしまくって引きこもってネットサーフィンし始めた時期やわwww

60: 2018/06/02(土) 03:02:09.761

>>59
陽キャだか陰キャだかわかんねーなおい

62: 2018/06/02(土) 03:18:11.701

嘘松!!!キィィィィィ

64: 2018/06/02(土) 03:19:44.999

>>62
おちついておちついて

61: 2018/06/02(土) 03:11:09.111

良い創作でした!久しぶりにVIPで読んだ気がするなー何故かミキの声が水瀬いのりで脳内再生余裕だった。寝る前に読めてよかったお休みー

63: 2018/06/02(土) 03:19:02.748

>>61
ありがとう!
水瀬いのりかw確かにあってるかもw

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