夏だし恐怖体験語るわ
俺が20歳ぐらいの時の話なんだが お前ら聞いてくれるか?
はよ
はやくしろ
当時の彼女との話なんだが まず最初に言っておくとメンヘラの話だ
心霊じゃなくキチガイ恐怖のほうかよ
こんなとこにいたの。探した
当時のの俺はコンビニバイトをしてて 多少お客と接する機会もあったんだが その精算の時間の会話すらしてほしくないって 彼女には言われていた
ただ仕事だし話し掛けられて無視するわけにもいかない そんなたわいもない事でいつも喧嘩になっていた
人間の話はガチで怖い
バイト終わりが21~22時くらいだったんだが そんな事が続いてるうちに バイト終わりの携帯にメールが来るようになった
内容は手首切った写メ付きてそれだけの内容なんだが 当時の俺はメンヘラなんて知らなくて 焦ったんだ
すぐに電話を掛けて大丈夫か聞くと 浅く切っただけだから大丈夫 けど、俺君が他の人と話してると また切っちゃうかも
そんな感じの事を言われた
俺も焦ってたってのもあって なるべく話さないって言ってしまったんだが これが悪かったのかもしれない
分かる右手切られるとまともな思考出来なくなるよな
バイト先で話すと言っても 彼女はコンビニに来てないし 分かるわけもないと思うが なるべく会話を最小限にする努力はしてた
そこから多少彼女も落ち着いてきて 普段通り過ごしてたんだが ある時バイト先に18歳の女の子が来た もちろんバイトするためにね
控え室で多少の自己紹介なんかもあって 年齢が近い俺が簡単な品出しやレジなんかを 教える事に決まってしまった
年齢が近いこともあって その女の子A子と呼ぶけど A子も俺に話しかけてくる事が多くなった
俺は最低限の返事しか居ないんだが そこがガツガツしてなくて A子からしたら好印象だったのかもしれない
数週間経ってA子がバイトにも慣れてきたある日 バイト終わりの時間が同じ事もあり 一緒に帰りませんかと言われた
帰る方向は同じなのでいいよと言うと A子は喜んでいたな
近過ぎず離れ過ぎずの距離で 会話はほぼ無いが俺とA子は歩いていた 帰り道に公園があってその先で 別れる事になるな、なんて事を考えてると A子もそう思ってたのか
「あの公園過ぎたら帰り道別れちゃうんで少し寄っていきませんか?」
そんな事を急に言われて 俺はびっくりしたが彼女がいるから 無理だよと断った
A子も諦めたのか「分かりました」 素直に諦めてくれた
公園が見えてきてもうそろそろだなと思った時 公園から彼女が歩いてきた
「俺君、その子誰?」
ヒェッ
流石に焦ったがここで嘘は付けない
「バイト先の後輩だよ、たまたま帰り道同じだから」
俺は素直にそう言うと彼女は
「そう、分かったわ ここからは私と帰りましょ」
そう言って俺の手を引いた
「それじゃあA子この辺でまたな」
俺はそうA子に言うと A子も 「俺さんありがとうございました」 そう言って俺達は別々の道を歩いていった
家までの帰り道彼女からは あの子との関係は?どんな子? ずっとA子の事を聞いてきたが 知ってる事だけを話してその日は終わった
それから数日何事も無く過ごしていたんだが ある休み日に店長から電話が掛かってきた
「A子ちゃんが階段から落ちて怪我したみたいでね 俺くん少しの間忙しいかもしれないけど大丈夫かい?」
俺はバイトもそれなりに長くやってるので 大丈夫ですよと言った
A子が階段から落ちるね…ドジだな 大丈夫だといいけど そんなことを考えながら休みの日をダラダラ過ごしていた
初めはダラダラ過ごすのもいいが 段々と飽きてくる 携帯を触りながら彼女にでも連絡するかと思ったが そう言えばバイトがあるって言ってたのを思い出し いつも暇な友人に電話をかけてみた
「もしもし、俺だけどB太今何してる?」
そう言うといつも決まって 絶賛ニート中のB太は 「暇してるよ」と返してくれた 「じゃあ、とりあえず駅前で集合で」 いつも通り決まったやり取りをして 電話を切り準備をして駅に向かった
駅に着くとB太はもう来ていた
距離的に俺が遅くなるのはいつもの事なので お互いそれには何も言わない
今日はなにして遊ぼうかなと考えてると 「今日はカラオケな」 とB太が勝手に決め俺の手を引いて進む が途中で止まり
「そう言えばお前知ってるか?一昨日ぐらいにそこの駅の階段 女の子が突き落とされたってさ」
そう言って階段の方を指さす 俺は一瞬変な気がしたが気にせず
「俺のバイト先の後輩も階段から落ちて怪我したってさ最近多いのかね」
そんな冗談を言うと
「実はその後輩が突き落とされた子だったりして」
B太も俺に冗談を返してくる
そんなやり取りがあったがまた歩き出し やがてカラオケに着いた
俺はB太が歌うアニメソングを延々と聞かされ これいつまで続くの?と思いながら いい暇つぶしにはなったかなと その日を満喫した
カラオケから帰りシャワーを浴びて ベッドで横になってると 彼女から電話があった
「俺君、今バイト終わったよ少し話しようよ」
内容はありきたりなものだったが やけに嬉しそうに喋る彼女が印象的だった
何事も無いまま数日が経った
バイト先に向かうと 今日A子ちゃん復帰するからと 店長に聞かされて 今日からまた少し楽できるなとそんなことを考えていたら A子がやって来たので俺は
「A子大丈夫だったか?」
そう聞くと
「もう大丈夫ですよ、骨折もしてなかったんで打撲だけで済んでよかったです」
そんな事を言いながら 青色から黄色になりかけの腕の打撲痕を 見せてくれた
「痛そうだな、まぁ無理するなよ」
それだけ言って仕事に取り掛かる
休憩に入り控え室で休んでると A子も入ってきた
「俺さんには言いますけど… 実は駅の階段で転けたんですけどね 誰かに押された様な気がしたんです 人が多かったので誰が押したか分からないんですけど 俺さんの彼女さんがいた気が…」
俺は驚き「そうか…」とだけ言った
まさかB太が言ってた事が本当になるとは 俺はA子が押された事より 彼女がいた事に驚いてしまった
そう言えばA子が階段から落ちたって聞いた後 彼女電話で嬉しそうな感じだったな…
休憩が終わった後も
俺はそのことが頭から離れなかった
バイトが終わっても胸のモヤモヤは消えない 俺は思い切って彼女に聞くことにした
「もしもし、俺だけど、うんバイト今終わった 夜遅いけど会えるかな?」
そう聞くと彼女は嬉しそうに
「私も会いたかったよ、じゃあ帰り道の公園で待ってるよ」 「うん、分かった」
そんなやり取りをして電話切った
冷静な振りはしてたが内心焦っていた もし彼女が押していたら… A子が怪我をしたから嬉しかったのか… 色々考えてしまうが答えなんて出てこない 思っていたより考え込んでいたみたいで 公園が目の前まで見えてきた
公園のベンチに座り彼女を待つが 頭の中は不安でいっぱいだった しばらくして彼女がやってきた
「俺君お待たせ」
「いや、俺も今着いたところだよ」
聞いてしまったら終わるような気もして なかなか言葉が出てこない すると彼女が
「どうしたの?元気無いけどなにかあった?」
何かあったと言えばあるが… 言っていいものか だが聞かなければこのモヤモヤは消えない 俺は勇気を振り絞り
「この前さ駅で女の子が階段から落ちたの知ってる?」
そう聞いてしまった
「あーあれね、私も駅にいたから知ってるよ 遠目でしか見えなかったけど」
彼女は焦った様子もなく答える
「あれ、A子なんだよ」
すると
「そう…」
それだけ言って彼女は黙ってしまった
「あの後の電話で嬉しそうにしてたしさ お前A子を嫉妬してたろ? こんな事言いたくないけど もしかしたらお前が突き飛ばしたのかなって…」
彼女は小さい声で
「私はやってないよ…俺君信じて…」
だけど俺からすれば 誰かと話すだけで嫉妬で手首を切ったりする女だ A子とは一緒に帰ってる所を見られてる 手を出す可能性がないとは言えない
「じゃあ、帰り道で A子の事を俺に質問したのはなんでだ A子が駅で電車に乗って帰るのも知ってたろ 電話の時嬉しそうにしてたのはなんでだよ 俺も疑いたくないけどお前の嫉妬の事も知ってるから どうしても疑ってしまう」
俺は半ばヤケになって言ってしまった
「ごめんなさい…でも本当にしてない」
泣きながらそう言って彼女は帰っていった